第16話

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2021/09/02 14:14

二人は前回の日本のレストランのように
向かい合って美味しいご飯とお酒と会話を楽しんでいた


前回と違うのは私を見るジョングクの目が
いつになく優しくて男らしさを感じた



改めて私はとんでもない人を好きなってしまったものだ


今回ジョングクを好きになったきっかけで韓国に遊びに来たけど
ジョングクと会えるなんて思ってなかった


電話で今夜会おうと言われて
すぐにホテルの近くのエステに飛び込んだ



少しでも可愛く見られたい
年上のヌナは必死なんです


相変わらず話が止まらず
気がついたらレストランの閉店時間


だが店員さんが最上階に
個室のBARがあると提案してきた


ジョングクは私の方を見る


私は頷く


ジョングクはニコッと笑うと
店員さんに行くと伝える



あんな目で見られて断れるわけない


と言うか断りたくない



まだもう少し一緒にいたい






〜〜〜〜






『わー!さっきの場所も景色良かったけど、こっちもいいね』


BARの個室は想像以上にオシャレで部屋1つ1つにバーテンダーさんがいて
小さなミニカウンターバーになってる


さすがオシャレな梨泰院にあるホテルなだけあるな



「いいね!ここならまた落ち着いて飲めそうだ」


ジョングクはそう言いながら私の椅子を引いてくれる



『また?さっき別に落ち着いてなかったけど?』

ちらっと俺はあなたの方を見る
意地悪そうな笑顔でこっちを見ていた



目の前のバーテンダーさんがいるから
カッコつけたかったのに…

まぁ、確かにさっきまで笑ってばっかりの
お酒の席だったけど…



「…何飲む?」


ジョングクは話を変える
それがまた可愛い


『うーん。ワイン飲もうかな?』


「あ、俺もワイン飲みたかった」

あなたは俺の言葉にニコッと笑う


「それではボトルにしますか?」

バーテンダーさんがリストを見せてくれる


というわけでワインボトルで頼むことにした






〜〜〜〜




初めてあなたの真横に座って
夜景を見ながら二人でいろんな話をする


バーテンダーさんも俺たちが
ワインをボトルで頼んじゃったもんだから
いつの間にかカウンターの中から姿を消していた


空気を読んでくれたに違いない。ありがたい。



『それでね!その先輩がね!』


あなたは酔いが回ってるのか、さっきよりハイテンションで話をする



めちゃくちゃ可愛い



それをずっと見ていたい気持ちもあるが、ちょっと空気を変えたかった



今日は前回みたいにお酒に潰れるなんてしない

ちゃんと自分で飲む量を調節してワインを飲むことに徹底した




「ヌナ」


急なジョングクのヌナ呼びに二度見する



『ん?どしたの?』


「俺本当今日嬉しいよ、ヌナに会えて」



ジョングクの素直すぎる言葉といつもと違う呼び方にキュンとしてしまう



やばいやばい

お酒飲んでるから更にドキドキしてしまう




『…そんなん言ってくれるの?ありがとう…』

あなたは照れ臭そうに答える



ジョングクはそっとあなたの手を握る

『!』



熱を帯びているように温かい



「気付いていると思うけど…俺…」


あなたは顔を上げる
ジョングクとバッチリ目が合う



だめだ…言葉が出ない




『ジョングク…?』


「…えっと…ごめん…なんて言えばいいか…」


『うん?いいよ?ゆっくりで。どうかしたの?』




このヌナは本当に気付いてない


本当にこの人は鈍感なのか

それとも俺が下手すぎるのか


たくさんの愛の歌を歌ってきたけど
言葉にするのってこんなに恥ずかしいものなの?




「…俺たちの事で」


『俺たち?』


「…あなた。俺…」



ジョングクがそう言いかけた時
ジョングクのスマホが鳴る



二人の肩はビクッと跳ね上がる
なんでこのタイミングで!



『出ていいよ?』


あなたは笑う



ジョングクはあなたの手を握ったまま、スマホの画面を確認する




マネジャーだ…



これは無視すると後々面倒くさい




「ごめん、ちょっと出てくる」



ジョングクは名残惜しそうにあなたの手を離して
個室の部屋を出て電話に出た




「おぉジョングギ、友達との食事会は終わったか?もう迎えに来てるんだが」



「ヒョン、今日は自分で帰りたいって言いませんでしたけ?」


ジョングクは答える


「明日早い仕事入ってるからもうお開きにしな。もうホテルの駐車場にいるからね」

マネージャーは一方的にそう言って電話を切った



この人はテレパシーがあるのだろうか

いつもは比較的自由にさせてくれるのに
今日に限ってマネージャーの仕事をしっかりしようとしている




「はぁ〜」



ジョングクはため息を吐きながら個室の部屋に入る



『もう帰ってこいって?』



少し電話の声が聞こえてたらしい

部屋を出たと言ってもドアが少し開いてたみたいだ



「うん…でも俺…」


『明日も早いんでしょ?お開きにしよ』



本当はジョングクを帰したくはない

だってせっかく会えたんだもん



だけど彼には仕事があるし わがままを言って嫌われたくない


ジョングクは優しいから
自分から言い出せなそうだから
こうやって年上の私が言わないと




「…うん」




ジョングクは渋々頷くと、チェックをするためにバーテンダーを呼んだ

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