第51話

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2022/04/05 14:01



『じゃあ…身体には本当気を付けてね…』





ホテルのドアの前でジョングクを見送る

荷物は自分の部屋にあるらしいし、私が寝ている間に一度部屋に戻って荷造りしてたみたい



ギリギリまで傍に居てくれて、本当に嬉しい





「あなたも…健康に仕事も頑張り過ぎたらだめだよ」



二人は両手で手を繋ぐ





『へへへ…それはこっちのセリフだよぉー』





「あと、他の男の人と必要以上に接したらダメだからね?」





『はいはいw』





「連絡も!無理はさせたくないけど、できればほんともっと連絡してね」





前回、ジョングクの家の玄関でこのようにお別れをした時のことを思い出す



あの日は付き合った直後で、まだ夢の中にいたようなそんな感覚



今では容赦なく要求を言ってくれる彼に

心を許してくれてるんだなと嬉しくなる





『わかった!』





ジョングクは繋いだあなたの手をぐいっと引っ張って

そのまま優しくキスをする



何度も重なった唇



なのに、毎回初めてのような

でも安心するような

胸が高鳴るキス



深くもなく触れるだけのキス





そして、ゆっくり抱きしめて

あなたの耳元に顔を近づける





「…愛してるよ」









彼はそう言ってホテルの部屋を後にした















ジョングクは自分の中で切り替えが必要だった



本当はもっと一緒にいたいし

まだ韓国に帰りたくない



ここでもっとあなたの顔を見てしまうと

離れづらくなって辛くなってしまいそうで…







しかし、残されたあなたは

今更になって寂しさが込み上げてくる







『…私だって愛してるって言いたかったのに…』







思わずドアを開ける





廊下の奥の方には後ろ姿のジョングク



4部屋しかない廊下には勿論誰もいない









『ジョングガー!』



あなたの声に足を止めるジョングク



振り返って驚いた顔をしている





「あなた?」







『私の言葉聞かないで行く気!?』







「へ!?」





あなたは裸足のままフカフカのホテルの廊下を掛ける



ジョングクも小走りであなたに駆け寄る



二人は手を伸ばせば届く位置に辿り着く









「言葉って…?」



ジョングクは丸い目をする

さっきまでカッコよく去っていったのに

子供みたいなに純粋な目



あなたはそんな彼を見てクシャッと笑う







『私も愛してるよ。ジョングク』





あなたはそう言うとハハッと笑い声を上げて

方向転換して部屋に戻ろうとする



すると、ぐっと手首を握られて



振り向くと嬉しくて堪らないといったジョングクの顔がそこにある







「ああ…あなた…。俺わざとあっさりお別れしたのに…意味ないじゃん…」





ジョングクはあなたの顔を両手で包み込む







「ごめん…5分だけキスさせて。走っていくから」





『ふふ…いいよ』





もう我慢できないって顔してるジョングクにあなたは笑う

二人は誰も居ないホテルの廊下で時間が許す限り

甘くて深いキスをし続けた





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