第42話

37
814
2020/04/04 15:00
______________________

こんなところには居られない…

「逃げよう…」

こそっと布団から抜け出す。

『どこへ行かれるのですか?鬼狩りさん?』

「えっ、」

見つかってしまった。

『ダメですよ。行く宛もないでしょう?』

つかつかと歩み寄ってくる。

「や、やめろっ、はなっ!?」

ぎゅっと捕まれたその手は、

想像の何倍も強くて。

『ダメ、行かないで…』

「や、ややゆめてくれ…」

ゴリゴリッと骨の折れる音がする。

怪力だ。

『何処にも、行かないで?』

「わ、わかった、わかったから…離せっ…」

グジュッと肉が潰れていく音がする。

『約束だよ?  逃がさないからね』

その子が手を離す。

「!?」

確実に潰された手は何ともなっていなかった。

ただ、小さな痣があるだけで。

『お部屋に、帰ろうねぇ』

袖を引かれた。

「あっ、あぁ…」

俺は、逃げることを、諦めた…

_______________________
あなた「ごめんね、何度も何度も… 
     すぐ帰りますから」

雪乃「わかった、空が起きちゃうから、早くね」

あなた「はい、行ってきます。
     あの子のことよろしくね」

私は空が少年とお昼寝している間にこそっと抜け出す。

いや、少年が空に手をがっしり捕まれて寝かせれてるだけよ?

一応晴彦を横につけてるし。

まあ、あの子はそんな変なことはしないとおもうけど。

一応ね。


昨日、少年を家に連れて帰ってきたあと気が付いた。

お饅頭を回収し忘れたこと。

あと、ハイヒールがどっかいってしまったこと。

なので私は、それらを回収するために家を出た。


あなた「あっ、あった…」

昨日、あの鬼と出会った場所に、片方落ちていた。

ヒールが折れてしまっていたけど。

もう一方は山の中で見つけた。こっちは無事。

お饅頭は…当然のごとく、なくなっていた。

いや、さすがに1日たったのはあれなので

新しく買い直すつもりだったし、いいだけど…。

私は新しくお饅頭を買い直した。

あなた「そうだ、炭治郎の所に寄ろう」

なんか、また無意味なことをしようとしている気がする。

あなた「おじさん、お饅頭あと100個頂戴。
     あとお萩20個。つぶあんで」

おじさんがかなーり吃驚してたけど、

手際よく準備してくれた。

あなた「さあ、行くか」

この間来た手紙によると、今は不死川さんのところにいるらしいから。

また稽古に紛れ込んじゃおうかな?

そんなしょうもないことを考えながら、

私は不死川さんの家に向かった。



あなた「お邪魔しまぁぁす!」

スタスタと風柱の家の家の敷地を堂々と進む。

風柱様に見つかったら怒られるだろうか?

稽古に来た鬼殺隊士の振りをすればいいか。

あなた「あ、我妻くん?大丈夫?」

善逸「う、あなたちゃぁぁぁぁん、」

あなた「大丈夫…?」

善逸「もうダメだよ…俺死んじゃうよ…」

ヘロヘロになった善逸と同じような隊士が数人転がってる。

あなた「…お饅頭、食べ…」

ピリッ

なんか、悲しい怒りの気配。

あなた「なんか、来るね」

私は持っていた荷物を全部地面に置く。

善逸「えぇぇ…」

その時だった。

バタンと、障子が外れ、炭治郎と玄弥くんが飛び出してきた。

あなた「あまりよろしい状況ではなさそうですね、」

善逸「なんでそんなに冷静なの!?」

隊士「伏せろ!失神したふりだ!」

隊士「血も涙もない男が帰ってくるぞ!」

あなた「…?」

みんな失神したふりしだしてしまった。

いや、確かに実弥さんは怖いけどさ…。

そこに噂の実弥さん登場。

炭治郎と実弥さんが言い合いを始めた。

話から察するに実弥さんは玄弥くんを鬼殺隊に

置いておきたくないんだろうな。

私も雪乃達を鬼殺隊にはしたくない。

気持ちは、わかr…

あなた「ちょ、風柱様!ダメです!ダメダメダメ!」

実弥さんが炭治郎殴る。

慌てて止めにはいる。

あなた「ダメです!お痛はダメです!」

実弥「あァ?うるせぇんだよォ」

炭治郎「善逸ーっ!玄弥を逃がしてくれ!頼む」

ちょ、声がでかいわよ!杏寿郎さんかよ!

あなた「やめてぇぇぇ!ぐはっ、」

近すぎた、実弥さんの蹴りに巻き込まれてしまった。

実弥「離れとけやァ!」

あなた「風柱様、痛いれふ…」

特に痛くはなかったんだけど、吹っ飛ばされちゃった。

あっちでは玄弥と善逸が喧嘩し出したし…。

あなた「あぁ、もう!ダメです!やめましょう!」

私はお尻をはたきながら立ち上がるが、

あなた「あぁ…」

すでにスマb((

大乱闘が起こっています。

あなた「もう、しょうがないなぁ…!」

『血鬼術 桜演舞』

私の手から桜の花びらが舞い出す。

大乱闘を起こしている隊士達にぶっかける。

隊士「はっ、ちょっと、前が見えっ ぐはっ」

何の役に立つのかよくわからなかったんだけど、

このタイミングで役に立つとは、、、。

いや、止めないと。

とにかくその桜吹雪の中に飛び込む。

隊士を掴んでは遠くに投げ飛ばす。

途中で何度か叩かれたのは、気にしないでおく。

桜の花が消え失せる頃には、私と風柱様、

炭治郎だけがそこに立ってた。

あなた「まだやりあいますか?
     私も本気出しますよ?」

鴉「オ前ラ、イイ加減二シロヤ」

あなた「はい、ごめんなさい、私帰る…」

騒ぎを聞き付けて上から鴉が送られてきた。

この子が来なかったら恐らく私はミンチになっていただろう。

なお、実弥さんと炭治郎くんは接近禁止らしい。

私は大乱闘を宥めるためだとしても

皆を投げ飛ばしてしまったことに変わりはない。

怪我した人がいなかったのだが幸いだが…。

持ってきたお饅頭を皆に配って謝罪して回った。

皆優しくて「だ、大丈夫ですよ、」って言ってくれた。

本当に優しいのね。

あと、当然玄弥くんにも謝ったわ。

実は、前に二人で行った任務のあと、

私は玄弥くんが目が覚める前に帰らないといけなくなって、

書き置きだけ残して置いて帰ってしまっていたのだ。

あなた「あの時は本当にごめんね?」

玄弥「いや、、あの、本当に、イイですから…」

あなた「いや、よくない顔してるよ?」

玄弥「本当、マジですから…」

あなた「えっ、でも、ほら、言いたいことは…」

玄弥「マジで平気ですからっ…」

玄弥くんはそれだけ言うと足早に去ってしまった。

あなた「私のことそんなに嫌なのかな…?」

善逸「あいつ思春期なんだよ、あなたちゃぁん」

あなた「我妻くん、怪我は?もう平気?」

善逸「へへっ、あなたちゃんに会えたからもう平気だよ」

あなた「…お饅頭食べる?」

善逸「!?いいの?」

あなた「皆にあげようと思って持ってきたやつだし。」

私は手にもっていた紙袋からお饅頭を2つ手渡す。

あなた「じゃあ、私、そろそろ帰らないといけないから、
     稽古頑張ってね!」

善逸「おぉ!あなたちゃんが応援してくれるなら、
   俺、いくらでも頑張る!」

あなた「ふふ、頑張れ頑張れ!
     じゃあね」

善逸「またねー!」

私は実弥さんのお屋敷をあとにした。

せっかく買ったので、お萩は

風柱のお屋敷にいた隊士さん達に渡してきちゃった。

美味しく食べてくれるといいな。






空「ねぇねぇ、これ作って!」

少年「…あぁ?」

空「紙飛行機!」

少年「…嫌だね」

空「お願いします、お兄ちゃん。」

少年「…仕方ないな」

少年は空の面倒をとてもよく見てくれる。

きっと色んな事情があって鬼にされそうに

なったんだと思うけど、

鬼になろうとしたんだろうと思うけど、

まあ、責めるのだけは、やめておこう。

ご飯もそれなり美味しそうに食べてくれるし、

私が転べば笑うし、

晴彦の気持ちも汲んでくれるし、

空は彼のことを気に入ってるみたいだし。

こいつは、私には何もわからないけど、

どうしようもない奴なのはわかるんだ。

だから、人のために残りの人生を使えばいい。

他の人から奪った時間の分も…

私と、同じように。

そんなことを思いながらお茶を啜っていた時だった。


鴉「オイ!女!」

あなた「はい?」

屋敷に鴉が1匹飛んで入ってきた。

鴉「手紙ダ!受ケトレ!」

鴉が手紙を届けてくれた。

あなた「ありがとう、いい子ね」

私は鴉を撫でてあげようとしたのだが、

鴉「フン!時間ハ守リナサイ!」

鴉は私に文を渡すとすぐに飛んでいってしまった。

私は文に目を通した。

あなた「ごめーん、雪乃。」

雪乃「なに?」

あなた「私、また明日出掛けなきゃ…」

雪乃「また?」

あなた「ごめんね、」

雪乃「…わかった、気を付けて。」

あなた「ありがとう、」

私は文を懐にしまった。

  

小豆「あなた!」

あなた「小豆!どうしたの?」

小豆は桃太郎の娘の見習い鎹梟である。

小豆「手紙ダヨ!」

あなた「ありがとうね、」

今日は手紙が多いね。

私は小豆にお礼として金平糖を与えた。

小豆が金平糖を食べている間に私は手紙の差出人を確認する。

あなた「珠世様…」

珠世様からの手紙だった。

私は今は読むべきではない、と判断して

その手紙もまた、懐にしまった。

小豆は、イガを探しに行ってしまった。



桃太郎「あなた!大変ダ!!」

あなた「何!?」

私は3杯目のお茶を飲もうとしていた。

桃太郎「早ク来イ!!」

桃太郎がたいそう慌てた様子叫ぶ。

あなた「今行くから!行ってくる!」

私は桃太郎に急かされるまま家から飛び出る。

まともに草履も履かずに。



桃太郎「早ク!早ク!」

あなた「わかったから!」

私は走りながら一回転する。

地面に足がつく頃にはすでに鬼の姿。

こっちの方が早いからいい。

桃太郎「走レ走レ!」

あなた「おう!」

私はものすごい早さで走っていく。


桃太郎「ココダ!」

桃太郎に案内された、山の中の小さな家。

桃太郎「早クシロ!死ヌ!」

あなた「はっ?」

促されるまま、勢いに乗ったまま、家の塀に飛び乗ってしまった。

そして、その家の庭を見た私は思わず叫んだ。

あなた「待てゴラ、じじいぃぃぃぃ」

私はお爺さんの腕を蹴り飛ばす。

うまいこと傷付けずに蹴り飛ばせたかな。

本来なら、こんなことしたらいけない。

でも、私はその、

小豆とイガが必死につついている、刀を持ったお爺さんを

恐らく、死ぬ意思を持ったお爺さんを

止める方法がこれしか思い付かない、アホだったんだ。




その後、しばらく乱闘があった。

驚いたおじさん、元鳴柱らしいけど、に襲われた。

反撃しなかった私偉い。

ようやく落ち着いて話が聞けそうだったので、

少し家にいる少年のことを知らないか聞いてみると、

自分の弟子だと言って驚いていた。

あんまり話聞いてなかったけど(私が)

だって厠に行きたかったんだもん。ものすごく。

あなた「で?あんたの弟子は?檜岳って奴?
      まだ生きてるよ、人間として。


どうもこのおじさんは私の家にいる少年、

獪岳って子の育てらしい。

どうも、獪岳ってのが鬼になったと聞いたから

腹切って自害しようとしてたんだと。

知るかよ。

あなた「お前さん所の迷惑な弟子が私の家にいる。
    連れ戻してくださいな。
    教育が足りてませんから。

    ほら、乗ってください。」

私はおじいさんに背中を貸す。

あなた「早く行きましょ?ね?」

おじさんが遠慮がちに背中に乗ってくる。

あなた「首だけなくさないように気を付けてくださいね。」

私はおじいさんを背負ったまま、家を飛び出した。

 
家にその、育てのおじさん(名前聞いてなかった)

を連れていくと、

獪岳は、とても驚いた様子だった。

そして、奥の部屋に閉じ籠ってしまった。

さすがに私も迷惑なので、

獪岳の育てのおじさんに獪岳を引きずり出して

帰ってくれと頼んだ。

3日かかった。

その間、おじさんは獪岳を付きっきりで説得していた。

もちろんおじいさんも獪岳もちゃんともてなしたよ。

雪乃と空がね。

本当に頼りになるんだから。







そういえば、あなたが獪岳の育て、桑島慈悟郎さん?

を背負って家を出てきたとき、

あなたさんの方が桑島さんに切られて

血が出ていたのですが、

その光景を見た人は、

鬼が瀕死のお爺さんを連れていったのだと

勘違いしたらしいですよ。

そしてその話がそのまま広まってしまって、

獪岳の弟弟子の耳に入ってしまったことなんて、

あなたさんは知りもしませんでした。


_______________________

大正コソコソ恥ずかしい話



作者の卯月は阿呆なので、

「獪岳」のことをずっと「ガイカク」って読んでたらしいですよ。

阿呆ですね。

数学的な名前だと思っていたそうです。

妹に指摘されて知りました。

卯月「勉強のしすぎだった(大嘘)」



それと、つい最近くらいまで

サイコロステーキ先輩は生きてるものだと思っていたらしいですよ。

卯月は阿呆ですね。

「あれで生きてるわけないじゃん」

と、妹に指摘されて(以下略)


卯月「蝶屋敷の力ならいけるかと思った。」



あと、岩柱の悲鳴嶼行冥さんの名字を

ずっと「悲鳴"嶋"」だと思っていたそうです。

作者、こちらは読むだけですが、

占いツ⚪⚪ルにもアカ持っていて、

1度も悲鳴嶼さんの夢小説を読もうと、

検索してたとき、

あまりにも出てこないので不思議に思ったら

字を間違えていたそうです。

作者の妹(以下略)


卯月「悲鳴嶼さんの夢小説少なくね?」



以上、作者卯月の阿保自慢でした。

プリ小説オーディオドラマ