第39話

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2020/04/03 11:19
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ガサガサ  ゴソゴソ

「あった…」

遠い遠い、古い古い記憶。

1度だけ、見せて貰った古い古い記帳。

これが、何か、私はよく知っているのだ。

こ こ に す べ て が 書 い て あ る 。

私が生まれたわけも。   

私が一体何者なのかも。

何故生かされたのかも。

すべてすべて。

知っているが、開くことはできない。

私はこれを、ある人に送った。

私には…とても見られないから…。

真実を教えてください、の一言を添えて。


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あなた「ふはぁ、負けた負けた!」

雪乃「ねえ、手加減してない?」

あなた「してないよ、雪乃は強いね?」

雪乃「むー…」

空「空も!空もして!」

私は今、雪乃に剣術を教えている。

元々教えるつもりなんてなかった。

しかし、どうもこいつらは策士らしく、

教える気のない私を取り込むより先に、

教えてくれそうなカナエ様に、蝶屋敷に行くたびに

教えてもらっていたらしい。

しかも、カナエ様ったら

「あの子達ね、なかなか筋があるわよ」とか言うもんだがら、

教えてあげないといけなかったんだな、

カナエ様には逆らえない。

しかし、マジで雪乃も空も強い。

本当に12歳と3歳か?

ちなみに、晴彦は剣術に興味はないらしい。

晴彦「あなた、見ろ。」

あなた「ん?」

晴彦は艶々のトマトをいっぱい抱えている。

晴彦は剣術より畑仕事の方が楽しいらしい。

それもいいと思うけど。

あなた「トメートじゃん、綺麗ね」

晴彦からトマトを一つ受けとる。

あなた「今日の夕飯かしら?」

空「空トマト嫌い」

あなた「あらあら」

私もあんまり好きじゃないなんて言えないけど。


あなた「うん、美味しい」

晴彦の作った夕飯を食べる。

ご飯と味噌汁と、野菜の漬け物と、サラダ。

シンプルだけど、美味しいよ。

空 (コソー)

雪乃「ちょっと、私のお茶碗にいれないで!
   ちゃんとトマト食べなさい!」

あなた「ふふっ」

コトコトコト

あなた「何の音じゃ?」

誰かが窓を叩いている。

あなた「はいはい、今出ますよ」

私が窓を開けてやると、桃太郎がいた。

桃太郎「オイ!今夜ハ見回リダゾ!
    早ク準備シロ!」

あなた「げっ、忘れてた!待って、今準備するからー!」

私はさっきまで食べていた

夕飯の残りをがっとかきこむ。

味噌汁と、トマトの組み合わせは、微妙だった。

あなた「ごちそうさま!」

雪乃「時間くらい守れなきゃダメじゃん…」

あなた「雪乃!私の桃色の帯知らない?」

雪乃「…その右手に持ってるのは?」

あなた「えっ、あっ、本当だ、ごめん、ありがとう」

バタバタと準備を続ける。

あなた「よし!じゃあ、行ってきます!」

雪乃「行ってらっしゃい」

空「ばいばい!頑張れ!」

晴彦「気を付けて…」

あなた「ちゃんと藤のお香焚いてね!」

そうして私は、家を飛び出した。


あなた「つ、疲れた…」

初めて一人で見回りしたけど、疲れるわね。

柱の人手不足だから、仕方ないんだけど。

自分で言うけど、私だって柱相応の力はあるし。

まあ、できる人がやればいい。

あなた「みんななにしてる…か、な?」

私の方に何かが猛スピードで突っ込んでくる。

あなた「えっ、な、、栗?」

栗「ヒュー,ヒュー,フー…」

小鉄君に預けている梟の栗だ。

あなた「一体どうしたの?」

栗「里ガ、危ナイ、近クノ隊士、あなた…」

栗が何を伝えたいのかはよくわからない。

だか、何かよくないことだというのは分かる。

栗は小鉄君が大好きだ。

片時も側を離れてくれないのだと手紙に書いてあった。

用もないのに小鉄君から離れるなんて

何かあったに違いない。

あなた「よし、頑張ったな栗。
     お前のご主人様の所へ案内してくれる?」

栗「コッチダ!」

栗がバタバタと飛び上がる。

あなた「さあ!全力で連れていきなさい!」

私は、桃に続いて駆け出した。
栗に着いて、山道を上る。

絶対ここ、人が通っていいところではない。

あなた「ちょっと待ってよ」

栗「?」

あなた「ふぅぅ、」

あがった息を整えて、神経を尖らせる。

もっと、正確に、気配を……。

あなた「…小鉄くん?」

小鉄君の気配を、弱々と感じた、

あなた「こっちか」

私は走る。

木が邪魔ねぇ、あっ、

あなた「見っけ!小鉄くん!」

あら嫌だ、後ろに金魚。

金魚?でかくね?気持ち悪。

あなた「汚いわよ!不意討ちは!」

ザンッ

小鉄「あなたさん!」

あなた「大丈夫?小鉄くん、と…無一郎…?」

無一郎くん?

あなた「なんで金魚鉢に…?」

いや、血鬼術だろ、どう見ても。

あなた「玉壺の仕業だね」

小鉄「ぇっ、」

あなた「ん?」

私、今、何て言ったかしら?

いや、そんなこと言ってる場合じゃないか。

取り敢えず、こっそり後ろから忍び寄る気持ちの悪い

金魚たちを成敗せねば。

『闇の呼吸 参の型 雪華爛漫』

そのまま、

『闇の呼吸 壱の型 山裂光』

無一郎くんを捕らえている金魚鉢を叩きわる。

バシャン

あなた「うおっ、かたっ」

ギリギリ割れたけど、大丈夫だろうか?

無一郎「ゲッホ、ゲッホ、グオッ、」

グオッ?

あなた「息できますか?霞柱様?」

無一郎くんは肩で息しているだけで答えないけど、

まあ、平気でしょう。

あなた「鬼はあっちですね。
     彼をお願いします。小鉄くん、」

小鉄「はっ、はい、」

私は小鉄くんに無一郎を頼んで、鬼の、

玉壺の方へ向かう。

小屋の中にいるようだ。

あなた「よお、玉壺、久しいのぉ」

私は玉壺…?という鬼に向かい合う。

はじめて会うのに、久しいとか言い出す私の口。

一体どうなっているんだか。

もう、抵抗はしないど。

玉壺「ヒョヒョッ また人間ですか
     はて、久しいとはなんでしょうねぇ
   貴方には私の作品の素晴らしさが
   分かって頂けますかねぇ…」

あなた「ん~…わかんない!」

あなた「歪な壺。汚ならしい。」

玉壺「なんとっ、」

あなた「それに、私は

     人間じゃないわよ?」

私は瞬時に鬼の姿になる。

どうも玉壺の向こうには人がいるらしい。

里の人間だろうね。

庇いながら、いけるだろうか?

やるしかないんだけど。

『闇の呼吸 弐の型 闇血晶』

玉壺に切りかかりながら立ち位置を変えてしまう。

あなた「動かないでくださいね。」

私は後ろにいる人に声をかける。

刀鍛冶「ひっ、お、鬼が2匹…」

あぁ、

あなた「私は貴方の味方です。ご安心を。」

そりゃあ、普通の人から見れば鬼と鬼が戦ってるしな。

まあ、怖いのも仕方がない。

あなた「なあ、玉壺よ、一つ問おう。」

その間も、よくわからん攻撃は続く。

私はそれをなんとか2本の刀で切り続けた。

後ろの、刀鍛冶の二人に当てないように。

玉壺「なんだ、私の作品についての質問か?」

玉壺が答えた。

あなた「わらわの目は、可笑しいか?」

この間、堕姫が私の目がなんたらかんだらと言っていた。

ので、こいつにも聞いてみた。

玉壺「そなたの目かぁ?
   どこかでみたことあるようなぁ…
   誰かに似ているような…」

『血鬼術 一万滑空粘魚』

『闇の呼吸 陸の型 闇色一波』

気持ち悪い魚はすべて溶かしてやりましょう。

あなた「お前の攻撃きもいわ。全体的に。」

一応感想だけ述べてやる。

いや、私にも煽り癖がついたのか?

煽る必要なくね?

玉壺「私の芸術も理解できない癖に、生意気なぁ」

『血鬼術 水獄鉢』

あなた「ふふっ、馬鹿ねぇ、」

『闇の呼吸 壱の型 山裂光』

あなた「鬼に血鬼術が効くわけないだろぉぉぉ!」

ダメだ、私完全に頭がパーよ、ぱっぱらぱー。

玉壺「そなた…それなりに強い鬼と見た…
   どうじゃ、私の作品にならんか?」

あなた「ヌード?」

玉壺「なっ、なんと破廉恥な…」

あなた「冗談よ、くたばれ」

『闇の呼吸 肆の型 一魂闇撃』

『血鬼術 蛸壺地獄』

まずい、小屋がぶっ壊れる。

あなた「死なないでねぇぇぇ」

私は後ろにいた刀鍛冶二人を掴みあげて

崩れてくる小屋の瓦礫から逃げていく。

もうええか、

あなた「受け身取ってね」

後ろの安全をちらりと確認してから軽く放り投げる。

大の男ならいけるだろ。これくらい。

『闇の呼吸 陸の型 闇色一波』

玉壺「よくよけたなぁ…」

あなた「よけてないわよ。溶かしただけ。」

今日の私は毒舌絶好調ね。

いや、そんなこと言ってる場合じゃないんだけど。

玉壺「私の真の姿を見せてやろう」

あなた「いや、頼んでない…」

ちょつと若返った…?

『血鬼術 陣殺魚鱗 神の手』

玉壺がさっささっさと動き回る。

やっぱ若返ってんじゃねぇの?

いや、壺から壺へ移動してるだけか。

あなた「なにそれ、気持ち悪い…」

玉壺が触ったところがどんどん魚になる。

あなた「やめてくれぇ、生魚は嫌いだ…」

『闇の呼吸 参の型 雪華爛漫』

生の魚…気持ち悪い…固まっちゃえ。

あなた「いやー、魚いやぁ、来ないでぇぇぇ!」

思ったより気持ち悪い、冷静になれよ、私。

あなた「無理ーー!」

魚増えるし、キモいし、嫌だ。

『闇の呼吸 参の型 雪華爛漫』

連発してやる。

玉壺「な、小癪な…」

知らないうちに玉壺も固まってるし…。

『闇の呼吸 参の型 雪華爛漫』

『闇の呼吸 参の型 雪華爛漫』

魚嫌い。もう嫌。

あなた「た、たすげでぇぇぇぇー」

『霞の呼吸 漆の型 朧』

あなた「あぁ、、おー、」

玉壺の首が落ちた、助かった。

あなた「はぁ、はぁ、」

ようやく魚から解放された、よかった…

私はへなへなと地面に座り込む。

あなた「ありがとう、ございます…」

無一郎「おい、鬼」

ぐっ、と腕を捕まれる。 私のことかよ。

無一郎「兄さんは、どこ?」

あなた「…はい?」

がばっと顔をあげた。

そこには絶世の美女…もとい無一郎くんがいた。

無一郎「君でしょ?あの日兄さんを連れていったの」

あなた「!?覚え……思い出し、たの…?」

無一郎「さっきね」

あなた「…大丈夫だよ、お兄さんは。」

私は無一郎にへへっと笑って見せる。

あなた「ちゃんと助けたか…らっ?」

無一郎「……」

いつか見たときと同じ。彼の目がものすごく虚ろ。

あなた「だ、大丈」

フッ

あなた「あ、あの、毒の匂いが…」

ゴボッ   バタッ

あなた「ひぃぃぃ」

無一郎くんが倒れてきた。

私は、咄嗟に避けたから平気だけどさ、

無一郎くんが泡吹いちゃったんだけど…。

あなた「も、もしもし?大丈夫!?」

小鉄「あなたさん!」

あなた「小鉄くん…ど、どうしよう!?」

小鉄「横向きにしたらどうですか?」

あなた「…なるほど」

私は全力で彼を横向きにする。

重い…いや、私に力がないだけかな?

あなた「あの、刀鍛冶の人たちは?
     私ほら、放り投げちゃって…」

小鉄「大丈夫です。」

あなた「そう、よかった…
     小鉄くんは?怪我はない?平気?」

小鉄「はい、助けてくれてありがとうございます」

あなた「お礼は栗に言ってね?」

小鉄「栗に…?」

あなた「栗が貴方を助けてくれって呼びに来たの」

小鉄「そうだったんですか」

あなた「そうじゃないと私も来れないよ」

へへっと笑ってしまった。

あなた「…行かなきゃ」

小鉄「どこへ?」 

あなた「まだ、鬼がいるわね…
     話が通じそうにないやつ。」

私はまた小鉄くんに無一郎を託し、走り出した。






あなた「ぬあっ、」

気がついた時には鬼に蹴り混んでた。

刀を振るわなかったのは、炭治郎がいたからか。

鬼が吹っ飛んでいく。

あなた「大丈夫か、竈門くん?」

炭治郎を吹っ飛ばさないようにぐっと掴む。

炭治郎「あなた!?どうして、」

あなた「私もわからぬ」

鬼が燃えた、禰豆子ちゃんの気配だ。

あなた「あっつ!」

禰豆子ちゃんの火は鬼だけを燃やす。

ようするに、私は燃えちゃう…。

そのまま崖の下に消えていく。

炭治郎が追おうとするが、

あなた「刀はどうした!?」

刀を持ってないやん。

あのときの私より無謀よ。

炭治郎「鬼にっ、」

あなた「鬼?」

なるほど、持っていかれたか、ならば

あなた「炭治郎!お前に1本やるよ!」

私は刀を1本炭治郎に渡す。

あなた「1本ありゃ、十分よ!」

私の刀は皆が使ってる刀と同じサイズ。

本当に1本あるば十分。

炭治郎「ありがとう!あなた」

炭治郎が鬼を追う、私も行かなk…

あなた「あっ、」

もう、日が出る。隠れなきゃ。

私は退いてしまった。


『円舞一閃』
 
鬼の頚は落ちたのに、

あなた「い、生きてる…!?」

私も遠いのでぼんやりとしか見えない。

でも、あいつは生きてる。

炭治郎は…まだ、戦えるね、たぶん。でも、

あなた「禰豆子ちゃん!」

崖の下は開けてる。

日の光から、逃げられない、

あなた「禰豆子ちゃああああん」

私は思わず走り出す、崖の下へ向かって。

鬼の体力を舐めんな。

日が登り出す。

大丈夫…このくらいなら平気。

あなた「ぎゃあぁぁぁ」

禰豆子ちゃんが燃えちゃう。

むぎゅ、

ジュワッ、と嫌な音がした。

あなた「禰豆子はもらったぁぁ!行けぇー!」

炭治郎にさげぶ。

間に合っただろうか。

いや、間に合ってる。

生きてる。

私は禰豆子ちゃんに覆い被さり、抱き締める。

私は着物の袖から折り畳み式の傘を取り出し、開く。

ないよりマシだろ。

でも、私もキツイ…。

あなた「大丈夫?禰豆子ちゃん、」

あなた「…禰豆子ちゃん、」

私は腕の中をそっと覗く。

そして気がついた。



あなた「燃えて、ない…」










禰豆子ちゃんは、太陽を克服した。

鬼は、炭治郎が無事斬った。

ということは、、

あなた「あっ、やばいの私だけか…」

私はいそいそと日陰に避難する。

私は今回特に何もしてないし。

そっと、逃げよ、叶うなら。


あなた「あの、手、離して…」

無一郎「まだ聞きたいことあるんだけど。」

あなた「…わかりましたよ、もう…」

私はそのまま無一郎くんに引きずられて皆の所に逆戻り。

皆さんはそのまま蝶屋敷に連行されていきました。

しかし私は毎度のことながら無傷なので

里の片付けを少し手伝ってから帰りました。



もし無一郎くんが目が覚めたら、

尋問されるんだろうなきっと…。

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