第54話

45 END③-2
829
2020/04/28 07:26
※ 作者の推しカプ

実弥&カナエ 義勇&しのぶ 小芭内&蜜璃

炭治郎&カナヲ 善逸&禰豆子 伊之助&アオイ

以上を踏まえてご覧ください。



あなた「はぁ…」

1人部屋を出てため息をついた。

派手柱の嫁さんズに着せれた着物がまどろっこしい。

袖をパタパタと振ってみる。

あなた「重た…」

普段私が来ていたのより随分と立派。

いい着物だよこれ、絶対。高いやつ。

私は1人で月を見上げた。

満月、かな?

ついさっきまで私が目が覚めたお祝い、ってことで

ずっと宴してた。

私含めお酒飲めない組は

ジュース飲んだりご飯食べたり。

蝶屋敷の女の子と雪乃と空、宇髄さんの嫁さんズが

ご飯作ってくれたらしい。

食べ過ぎた気がする。だって美味しかったんだもの。

炭治郎くんと、伊之助くんと…善逸くん?は
 
おおはしゃぎしてたよ。

見てて楽しかったけど。

カナヲちゃんとアオイちゃん、禰豆子ちゃんも

楽しそうだったよ。

酒飲める人は延々と飲んだくれてたね。

天元さんとか杏寿郎さんとか実弥さんとか。

で、潰れた人たちを女の子達が介抱してたよ。

義勇さんと錆兎さんは悪酔いしてたな。

しのぶさんと真菰さんにぶん殴られてたよ。

伊黒さんはすぐに潰れて蜜璃さんに介抱されてた。

なんだろう、この差は。

お館様とそのファミリーも来てくれた。

頑張ったね、って誉めてもらえちゃった。

お館様の娘さん達と息子さんと

雪乃達が仲良くなってたな。可愛い。

なんか、素敵な人たちに恵まれたな。


私、幸せ……だけど…

無一郎「あなた」

あなた「…えっと、無一郎くん?」

無一郎「そうだよ」

私の横に腰かけてきた。

あなた「宴はおしまいですか?」

無一郎「みんな寝ちゃったからね」

あなた「そうなんですか、」

無一郎「飲んでた人がね、あとは片付け」

あなた「私もお手伝いしなきゃ」

ギュッ

立ち上がろうとした手を、捕まれてしまった。

無一郎「…もう少し、話そう?」

そんな期待した目で見られたら、

あなた「…いいよ」

そう言う他無くて。

また腰を下ろした。

あなた「この世界には、もう鬼は…」

無一郎「いないよ、多分だけど」

あなた「そっか…」

無一郎「うん」

あなた「じゃあ、鬼殺隊の皆は、
     今どうやって暮らしてるの?」

無一郎「えっと…
    お館様がね、おっきい会社を作ってね。
    働きたい人はそこで働いて良いって。
    住むところも準備してくれてるよ。
    家に帰った人もいるけど。」

それは、、知らなかった。

あなた「無一郎…くん、は?どうしてるの?」
 
無一郎「僕はね、お兄ちゃんと2人で暮らしてるよ
    お館様にもらった屋敷でね」

あなた「そうなんだ…」

誰だっけ…有一郎くんか。

無一郎「あっ、僕は学校行ってるよ」

あなた「学校?」

(これが後のキメツ学園、なんちゃって by作者) 

無一郎「お館様がね、作った。」

お館様の財力ぱねぇ。

無一郎「元鬼殺隊の人なら無償で行けるよ」

あなた「…教えてくれて、ありがとう」

そこからずっと黙ってた。

苦しかった。

無一郎「あなた?」

彼の声がした。

無一郎「どうして泣いてるの?」

私が?泣いてる?

あなた「なっ、泣いてないよ…」

無一郎「泣いてるよ、どうしたの?」

泣いている自覚がない。

なんで…?

あなた「ごめんね…」

無一郎「何が?」

あなた「手…左手…」

無一郎「君のせいじゃないよ」

そうは言われても、

あなた「ごめんなさい…」

私がもっと強ければ。

もっときちんと守れれば…。

あぁ、私泣いてるわ。

…ん?

あなた「ねぇ、」

無一郎「どうしたの?」

あなた「なにが、あったけ…?」

無一郎「え、」

あなた「実はね、覚えてないの…

     私、寝ちゃう前に何があったのか。

     覚えてるのは、皆の下の名前と顔だけ。

     何をしてたのか、全然覚えてないの…」

無一郎「……?」

何を言ってるの?みたいな顔をしてる。

当然だと思う。

あなた「覚えてないの、思い出せないの…

     でも、わかる、わかるの。

     君の左手がないのも、

     義勇さんの右手がないのも、

     錆兎さんの右足がないのも、

     真菰さんの左足がないのも、
 
     天元さんの左手がなくて、

     目が瞑れちゃってるのも、

     小芭内さんや杏寿郎さんの

     目が瞑れちゃってるのも、

     しのぶさんや不死川さんの

     顔に大きい傷があるのも、

     全部、全部、私のせいだって…」

ダメ。視界が霞んできちゃった。

私は、泣いたらいけないのに…。

無一郎「そんなことない。君は悪くない」

彼が背中を擦ってくれた。

だけど…

あなた「私が、もっともっと頑張ってれば!

     もっと早く動けてたら!
   
     もっともっと強ければ!

     みんな元気にいられたはずなのに!」

何があったのか、思い出せない。

違う、思い出したくない。

都合が悪いから、思い出さないようにしていただけ。

あなた「嫌だよぉ…思い出したくないのに…

     思い出したいのぉ…」

無一郎「……」




ずっと泣いてたと思う。

気が付いたら、布団の中に戻されてた。 

あなた「…あれ」 

朝が来てる。

カナエ「おはようあなたちゃん」

あなた「カナエさん…おはようございます」

カナエ「昨日は楽しかったかな?」

あなた「はい、とっても、

     あの、私昨日の夜…?」

カナエ「縁側で寝てたらしいね、
    月でも見てたのかな?風邪引いてない?
    ご飯食べられそう?」

あなた「…はい」

カナエ「じゃあ、朝御飯にしようね
    少し待っててね」

…縁側で寝てた…彼は?

私をここに連れてきてくれたのかな?

カナエさんが朝御飯を用意してくれたので

それを1人で黙々と食べた。

朝御飯が終わったら散歩にでも行ってみたら?

と言われた。

ので、そうすることにする。

雪乃「これ着てみてよ!」

雪乃に渡された着物を着てみた。

春らしい、明るい、お花の絵柄のお着物。

あなた「ありがとう、雪乃」

雪乃や空や晴彦と暮らしていたのは覚えてる。

…どうしてそうなったのかは覚えてない。

私はベッドの脇の小さい棚の上に置いてあった桜の帯留めを手に取った。

付けようとして、ふと手を止めた。

あなた「ねぇ、雪乃」

雪乃「なぁに?」

あなた「この帯留め…私の?」

雪乃「?そうだよ、何言ってるの?」

あなた「…そうだよね、ありがとう」

止めていた手を再び動かして、付けた。

何故か、急に私のものかどうか不安になったから。

あなた「…これは?」

帯留めの横に置いてある桜の簪。

こんなもの、持ってたかな?

雪乃「うーん…昨日付けてなかった?」

そうだったかもしれない。

確かに昨日まきをさんと須磨さんに髪を纏めてもらった。

そのときに使っていたやつかもしれない。

断ったけど、あげるよって言われたし。

きっとそうだろうね。

あなた「そっか、ありがとう」

それも手にとって髪をまとめて刺してみた。

あなた「どう?」

雪乃「とっても可愛い!」

あなた「ありがとう、じゃあ、私少し歩いてくるね?」

雪乃「行ってらっしゃい!」

私は、雪乃に見送られて蝶屋敷を出た。

あなた「日が当たっても…平気…」

私は、久しぶりに街がみたくて歩き出した。



丸1年寝ていたというのに。

よく食べるし、普通に動ける。

恵まれた体みたい。  鬼…だから?

私は、鬼だったんだ。

いや、本当に鬼だったんだろうか…。

どこからどう見ても、普通の人間ではないかな…。

ガシッ グイッ

男「へいへい、姉ちゃん1人かい?」

あなた「そうだけど…?」

いきなり腕を捕まれて路地に引き込まれた。

どうしよう、 2回目な気がする。

1回目はどうやって切り抜けたっけな…。

男2「俺たちと楽しいことしようぜぇ?」

あなた「離して。私急がしいから。」

振り払おうとしたけれど。

男「うるせぇ、静かにしろっ」

バンッ

あなた「うっ…」

お腹蹴り込まれた。痛い。どうしよう。

男「さあ、一緒にk…」

ドーン

男2「ぐはっ、」

男「はぁっ!?」

もう1人の男が飛んでいったんだけど。

あなた「なんで…」

無一郎「ちょっと、お前何してるの、」

あなた「無一郎…くん、」

男「はっ?お前、なにしやがんだ!」

無一郎「早くあなたの手、離して。汚いから
    君もああなりたいの?」

無一郎くんがもう一人の男2に目をやる。

壁にぶち当たって動かないけど。

死んではないでしょ。

男「ちっ、お、覚えてろっ、」

ドンッ,

男は私を突き飛ばすようにして逃げていった。

無一郎「大丈夫?」

あなた「…ありがとうございます」

彼が支えてくれて。転ばずにすんだ。

…頼もしいね。

無一郎「…あっ、」

あなた「ん?」

一瞬、私の頭をちらっと見て、少し嬉しそうに笑った。

私は、見逃さなかった。

あなた「何かおかしいですか?」

無一郎「なんでもないよ、行こう?」

彼に手をがっちり捕まれて、

私は路地から抜け出した。


あなた「あっ、あの、」

無一郎「なに」

あなた「歩くの早い、です…あと、手…」

無一郎「ああ、ごめんね?」

許す。圧倒的許す。(語彙力)

1度止まってくれた。

そのまま、捕まれていた手首を離してくれたので

安心し…たかった。

無一郎「これでいい?」

あなた「なにをもってそう思うのだ?」

繋ぎ直された。

きゃー、って、なにこの状況。

無一郎「違うの?」

手を再び繋ぎ直された、けど。

あなた「違うってば…」

私知ってるわよ。恋人繋ぎっていうんでしょ。

恥ずかしいんですけど…

(思考力がショートしました。ショートしました。)

無一郎「ねえ、あなた」

あなた「はい?」

平然と答えてはいるけれど。

腕は彼の腕を振り払うことに務めていますからね。

無一郎「縮んだ?」

あなた「…はい」

なんて観察力が鋭いのか。

あなた「残念なことに…5㎝ほど…」

昨日カナエさんに教えてもらった。

目が覚めたら5㎝ほど身長が縮んでいたの。

理由は、わからないのだけど…。

無一郎「ふぅん」

彼は舐め回すように私を見つめてくる。

無一郎「いいんじゃない?」

あなた「なにが?」

無一郎「別に、早く行こう」

彼は私の横に並んで歩きだす。

わー、コイナカみたいっ…って違うもん

あなた「離してよ…」

無一郎「嫌だね」

あなた「離して…」

無一郎「嫌」

あなた「離れてくださいお願いします」

無一郎「嫌だ」

あなた「というか何処へ行くんですか?」

無一郎「うーん、秘密」

もういいや、諦めよ。

私は連れられるがままに、歩いていった。





あなた「ここは…」

ここ、来たことある。綺麗な…梅の咲く丘。

無一郎「覚えてる?」

あなた「これは…梅?」

無一郎「…いや、これは桜」

あなた「前来たときは、梅だった気がする…」

無一郎「うん、そうだよ?」

覚えてるじゃん、と彼が笑う。

あなた「連れてきてくれたのは、貴方?」

無一郎「そうだよ」

…見たことある気がする。

その時も、私の横で、笑っていたのは君だと思う。

大丈夫、楽しい記憶ならすぐ戻ってくるはず。

戻ってこないのは、悲しい辛い記憶だけ…。

無一郎「あなた?」

あなた「はい?」

無一郎「顔死んでるけど大丈夫?」

あなた「うん、ありがとう。
     ここに連れてきてくれて。」

2人で並んで桜を見てた。

自然に手が離れてたのが、少し寂しい。

…なんだろう、この感情は。

ギュルルルルル

あなた「あは、ははははは…」

無一郎「お腹すいてる?」

あなた「みたいです…」

おかしいなぁ、朝御飯ちゃんと食べたのに。

無一郎「じゃあ、何か食べて帰ろうか。
    何か食べたいものある?」

あなた「…あっ、ふろふき大根が食べたい」

無一郎「いいよ?行こうか」

あなた「はい!」

さっと差し出された彼の手を、何気なく握ってしまったけど

そんなこともう気にならなくて。

ただただ、幸せでした。




~その後~

財布ぱかっ

あなた「うん、5人分はある

     すいませーん、私ふろふき大根の定食5人分!」

無一郎「えっ、それ全部食べるの?」

あなた「お腹すいてるからね。」


5人分ぺろりと平らげたあなたでした。


あなた「あの、お会計…」

店員「もう済んでますよ?」

無一郎「僕が払っておいたよ」

あなた「えっ、ごめんなさい…」

無一郎「いいよ、はやく戻らないと胡蝶さんに怒られるから。
    早く帰ろうね?」

あなた「はい…」


お館様「おやおや、あの2人は仲がいいんだね」

あまね「そうですね」


彼に手を引かれて蝶屋敷へと戻る私は、

まるで親に手を引かれる子どものようだったと、

のちに目撃していたお館様に言われたのであった。

(鬼がいなくなったため、お館様の呪いは解けてます。

もう目が見えるまで快復しているのです。)





_______________________


あなた「あっ…」

目が覚めると、明け方だった。

今日は忙しいからね。

あなた「よっし!」

布団から飛び起きる。

目が覚めてから半年経った。今日は記念すべき日よ!

あなた「雪乃!空!晴彦!起きてるか!」

雪乃「んー、おはようあなたお姉ちゃん…」

空「起きてるよ!」

晴彦「ん…あともう少し…」

あなた「はやく起きろい!」

3人を叩き起こして、準備をさせる。

私はその間に朝御飯の支度。

3人にぱっと食べさせて、私も小綺麗にしておく。

あなた「はぁ…私も17かぁ…」

鏡の前でふとため息をついてしまった。

雪乃「こんな日にため息なんてやめてよね!」

いつのまにか後ろに回り込んでいた雪乃にお叱りを受ける。

あなた「…そうね、早く行かないとね。
     準備はできた?」

空「晴にいがまだ厠から出てこないよ」

晴彦「うるさい、もう出とるわ」

空「あれ?いたの?」

晴彦「ばーかー!」

空「ばかって言った方がばかなのぉぉぉぉ」

あなた「もう、喧嘩しないで!早く支度しなさい!」

空と晴彦によそ行きの着物と袴を着させる。

私と雪乃はまだ普段通りの着物だけど。

あなた「さあ!行くわよ!」

皆「はーい!」

そして私たちは家を出た。




朝早いのにみんなすでに集まっていた。

しのぶ「カナヲ!ご飯炊けてる?」

カナヲ「禰豆子ちゃんが炊いてくれてるよ」

真菰「もち米炊けたよ~」

カナヲ「それ、私やる」

真菰「よろしくね!私小豆見てくるから」

アオイ「すみちゃん、きよちゃん、なほちゃん、
     おかずの仕込み手伝ってぇ!」

すみ きよ なほ 「了解です!」

あなた「しのぶさん!蜜璃さんが来ましたよ!」

蜜璃「しのぶちゃん!遅くなってごめんなさい!」

しのぶ「いらっしゃい蜜璃さん、
    では、台所をお願いします、あなたさん、行きましょう」

あなた「はい!雪乃、ここお願いね!」

雪乃「任せて!」

しのぶさんと共にバタバタと屋敷の奥へ向かう。

カナエ「しのぶ、あなたちゃん、ありがとうね」

あなた「お礼は今じゃないですよ?」

しのぶ「姉さん!紅は?紅はどこ!?」

カナエ「そこの鏡台のところにないかしら?」

しのぶ「どこ!?」

あなた「カナエさん!後ろ向いてください!」

カナエ「はーい」

あなた「しのぶさん!髪!髪!」

しのぶ「あー真菰ちゃん!!」

スタスタスタスタ

真菰「なんですか?」

しのぶ「姉さんの髪を纏めてあげて!」

真菰「わかりました。カナエさん、失礼します」



あなた「おぉ…綺麗…」

真菰「素敵だねぇ」

すみ きよ なほ「さすがカナエ様…」

禰豆子「カナエ、可愛い」

しのぶ「姉さん、すごく綺麗だよ…」

アオイ「ううっ…」(感動の涙)

雪乃「な、泣かないでアオイちゃん」(感動の涙)

カナヲ「姉さん…」

カナエ「みんな、ありがとう」

白無垢にその身を包む天使、もといカナエさんは、

この世のものとは思えないほどお綺麗で。

空「みなさん来られましたよ!」

空と晴彦に続いて、

義勇さん、杏寿郎さん、天元さん、行冥さん

小芭内さん、炭治郎くん、善逸くんとその兄、伊之助くん、

時透ツインズや錆兎さん

そしてお館様とあまねさまもいらっしゃった。

あなた「こちらでお待ちください」

みんなを控えの部屋に通した。

あなた「で、肝心の実弥さんは?」

空「あっち」

空は隣の部屋を指差す。新婦のいる部屋ではないが…?

トントン

あなた「実弥さん?入りますよ?」

ガチャッ

あなた「うわぁお」

玄弥「あっ、あなた…」

匡近「こんにちは、お邪魔してます」

玄弥くんと実弥さんと、お友だちの粂野匡近さんがいました。

あの荒くれにしか見えない実弥さんも、

袴を纏えばそれなりの紳士でした。 

実弥「なんだよ…文句あんのかァ…」

匡近「実弥、お前照れてるだろw
いいなぁ綺麗な嫁さんもらってよw
羨ましいなぁ、おい」

へえ、あの実弥さんも照れるのね。

あなた「花嫁さん、準備できてますよ?こちらです」

実弥「まっ、待ってくれ…」

実弥さん、一通り照れて笑ってた。

花嫁の前でにやけるのが嫌だとかで。

匡近「情けねえ顔してるぞ」

実弥「っ、うるせーな!
   よし、たのm…」

ガチャッ

カナエ「実弥さん」

実弥「ぐはっ」鼻血ブシャー

しのぶ「もしもーし、不死川さん、大丈夫ですか?」

あなた「あら…」

玄弥「ちょ、兄貴、起きてくれよ…」

匡近「実弥、大丈夫か?」

実弥さんは、花嫁さんの可愛さにやられたようです。

祝言は少々延期されましたが、無事にとり行われました。


おめでとう。不死川実弥さん。カナエさん。





《1年後 春》

あなた「よし!」

カナエ「あら、もう用意できてるの?」

しのぶ「ええ、姉さんの時は慌てすぎちゃったから」

アオイ「今度は早めに準備を始めたんです。」

あなた「ほら見て下さい!桜餅200個造ったんですよ」

カナエ「あららこんなにたくさん、すごいわね~」

真菰「あの、蜜璃さんは?」

カナエ「そうね、そろそろ準備できる頃かな?」

雪乃「お姉ちゃーーん」

あなた「丁度そうみたいですね」

あなた「今行く!」

雪乃に呼ばれて部屋に行くと、

あなた「おぉ、蜜璃さん…」

蜜璃「ど、どうかな?変じゃないかな?」

あなた「めっさ、綺麗だよ…」

カナエさんの時とはまた少し違って、

可愛らしくフワフワとした感じの花嫁さんだ。

雪乃「頑張らせていただきました」

空「蜜璃ちゃん、可愛いね」

すみ きよ なほ「とっても素敵です!」

しのぶ「準備できましたか?」

カナエ「あら、とっても素敵ね」

真菰「うん、すごく可愛い」

カナヲ「おめでとう、甘露寺さん」

禰豆子「もう、伊黒さんだよ」

カナヲ「…そっか、おめでとう伊黒さん」

蜜璃「あら 恥ずかしいわ( 〃▽〃)」


実弥「おい、準備できたか」

カナエ「ちょっと実弥さん、ダメですよ
    レディーの部屋にいきなり入っちゃ」

実弥「あぁ…わりぃな、かんろ…伊黒」

義勇「(俺は平気だが準備は)まだ
(終わっていないのか、何か手伝うことはある)か」

しのぶ「もう終わりましたから、待っててくださいよ」

空「そんなんだから嫌われるんですよ!」

義勇「俺は嫌われていない…」

雪乃「おいこら、やめなさい空!」

空「へへっ、ごめんなさい」

あなた「ふふふ」



あなた「いいな…綺麗だったな」

蜜璃さんと小芭内さんの祝言を見守った。

小芭内さんは…目見えないらしいけど、

「きっと甘露寺は綺麗だろう」って言って泣いてた。

号泣してた。

みんなで用意したご飯とかお酒とか食べて飲んで

おおはしゃぎして。

一通り祝言を終えて少し収まってきてる。

そろそろ片付けないとね。

無一郎「あなた~」

あなた「キャラどうしたの?無一郎くん」

祝言やってる部屋の隣のお部屋で静かにしてた私。

すみ、きよ、なほ、あと空が疲れちゃったから

少し寝かしてた。

朝早くから働かせて申し訳ないしね。

無一郎「ちょっとね~」

あなた「さては、酒か…」

なんかお酒臭いのはこいつらしい。飲まされたな。

あなた「天元さんかな?」

無一郎「ふふっ、そうみたい、」

なんか、可愛いからいいんだけど。

あなた「とりあえず、この部屋は出ようね。
    みんな寝てるからね」

無一郎「はーい」

無一郎を半ば引きずるように部屋の外へ出した。

あなた「水持ってきてあげる」

部屋の外の縁側に放置して水持ってきてあげよう。

無一郎「ねえ、あなた」

あなた「何?」

着物の袖を捕まれた。

無一郎「あなたはぁ、僕のこと好き?」

あなた「…ええ」

無一郎「本当に?」

あなた「…好きだよ」

無一郎「じゃあ」

________

あなた「酒の力か…」

私の腕の中で力尽きるように彼は寝てしまった。

ここに捨てて?いくのもあれだけどさ…

私に動かせるかしら?

あなた「よいしょ…」

彼をなんとかみんなのいる部屋の端に連れていった。

あなた「おやすみ」

羽織をさっと脱いで彼にかけてあげた。

あなた「さてと、」

酔いつぶれた男達。完全にお疲れのお姉さん方。

未成年組もちょっとウトウトしだしてる。

あいつらも酒盛られてないか?

そして主役は手を握っておやすみ。

私は一人で片付けを始めた。

途中からカナエさんやアオイちゃんが手伝ってくれた。

次の日、未成年に酒を飲ませた輩(主に天元さん)を

しばき倒してくれたのは、しのぶさんでした。

おめでとう 伊黒小芭内さん、蜜璃さん。




《さらに1年後 夏》

バッシャーーン

あなた「とったー!」

雪乃「お姉ちゃん、やり過ぎよ…」

私は今さっきまで川に潜ってた。

鮭をとるために。新鮮なのがいいやんね。

あなた「さっ、これ持っていきな!」

雪乃「まあ、わかったよ」

大きい鮭を5匹も抱えた雪乃が走っていく。

空「お姉ちゃん、これ着替え」

あなた「ありがとう」

空から手拭いを受けとり、体を拭いた。

暖かいけど、びしょびしょじゃ失礼だしね。

着物をしっかりと着込んだ。風邪引かないように。

あなた「さあ、私たちも行かないと、ね?」

空「うん!」

私たちは今日の主役のもとへ向かった。




あなた「し、しのぶ様!ちょっと動かないで…」

しのぶ「ごめんなさい、なんか焦れったくて…」

しのぶさんの髪をくるくると纏める。

あなた「簪を」

しのぶ「はい、これです」

しのぶさんが差し出してくれた簪を受けとる。

あなた「これを?あの義勇さんが!?」

しのぶ「はい、そうなんです」

しのぶさんの声が嬉しそうだった。

しのぶさんによく似合う蝶の簪。

これを求婚でしのぶさんに送るとは…。

なかなかやるやん義勇さん。

カナヲ「師範、ちょっと手…」

しのぶ「あら、ごめんなさい」

カナエ「しのぶ~用意できた?」

赤ちゃん「うぅ~~」

しのぶ「ちょっと姉さん、恥ずかしいから入ってこないで!」

カナエ「あらあら、ごめんなさい」

赤ちゃん「ああぁぁぁぁ(泣く)」

カナエ「あらあら、よしよし」

あなた「よく泣きますねぇ、サエちゃんは」

サエちゃんは、カナエさんと実弥さんの娘さん。

めっちゃ可愛い。ぷっくぷく。

生後半年だぞ?

実弥「ちょっと貸してくれェ」

カナエ「ほら、お父さんですよ~」

サエ「うぎゃぁぁぁぁ~~…へへっ」

カナエ「さすがお父さん」

雪乃「不死川さんあやすの上手いんですね。意外」

実弥「弟妹が多かったからなァ…」

愛しそうに我が子を見つめる実弥さんは完全にお父さんでした。

空「しのぶさん、用意できた?」

しのぶ「あっ、はい、もうすぐです」

カナヲ「師範、できましたよ」

しのぶ「できました」

アオイ「旦那さんお待ちですよ!」

しのぶ「いっ、今行きます…」

あなた「じゃあ、みんなお部屋で待っててね」

みんなが会場に行ったのを確認。

そして、しのぶさんを連れて、

みんなが待っている部屋に向かう。

ちなみに実弥さんとサエちゃんは隣のお部屋にいます。

サエちゃんのお昼寝のお時間だそうです。

あなた「花嫁さんの入場です」

ガラッと襖を開けた。

一同「おぉ」

義勇「……」

杏寿郎「うむ!綺麗でいいと思う!」

天元「派手に綺麗だな」

蜜璃「きゃー!しのぶちゃん!おめでとう!」

小芭内「…おめでとう」

行冥「南無…めでたい…南無…」

錆兎「義勇、おめでとう。
   嫁さん大事にするんだぞ」

真菰「義勇さん、おめでとう。しのぶさん綺麗だね」

有一郎「おめでとうございます」

無一郎「あの冨岡さんが結婚するのか…へぇ…
    おめでとう」

炭治郎「おめでとうございます!胡蝶さん!冨岡さん!」

善逸「炭治郎、両方冨岡さんだ、
   冨岡さん、おめでとうございます」

伊之助「おい!飯はまだか!」

アオイ「伊之助、静かに。」

伊之助「オメデトウゴザイマス」

禰豆子「しのぶ、綺麗だね!おめでとう!」

玄弥「おっ、おめでとうございますっ、」

カナヲ「おめでとう師範…しのぶ姉さん、義勇さん」

アオイ「おめでとうございます!しのぶ様!」

カナエ「しのぶ、綺麗だよ」

蔦子「義勇…しのぶちゃん…おめでとう!
   ちゃんとしのぶちゃん幸せにするのよ!」

お館様「おめでとう、私の可愛い子供たち…
    義勇、しのぶ、幸せになるんだよ」

あまね「おめでとうございます」

しのぶ「あっ、ありがとうございます…」

義勇「…感謝する。」

義勇さんが赤くなってる。なんか、可愛い。

白無垢のしのぶさんは完全に天使で。

見ているだけで幸せになれそうだった。

厳かな感じで祝言は済んでしまった。



義勇「俺は…幸せだ…」

しのぶ「とみo…義勇さん…やめてください」

義勇「俺は、こんな綺麗な嫁をもらえて…幸せだ…」

錆兎「はははっ、義勇よく言うな」

真菰「あの義勇さんが…素直になってる…ですって?」

実弥「お前、酔ってるだろォ」

玄弥「兄貴も酔ってるだろ、飲みすぎだって」

天元「派手に飲んだからな!ふへっ」

杏寿郎「飲みすぎはよくないぞ!」

蔦子「ははっ、義勇たら。よく喋るわねぇ」

アオイ「お姉さんも飲みすぎですよ」

雪乃「みなさん、お水どうぞ」

行冥「ああ…ありがとう」

善逸「雪乃ちゃん、俺にも頂戴」

空「どーぞ!」

善逸「ありがとうね、はい、禰豆子ちゃんどうぞ」

禰豆子「ありがとぉ」

お祝いの宴も佳境を過ぎただろう。

みんな一応落ち着いて来ている。そろそろお開きになるかな。

あなた「ちょっとお盆取ってくるね」

カナヲ「はい」

私は、一人お台所に向かった。

あなた「あら、無一郎くん…」

無一郎「あなた…」

あなた「…厠ならあっちですよ?」

無一郎「さすがにわかるよ」

一人で縁側に腰かけて、月を見上げる彼を見つけた。

あなた「どうしたんですか?」

無一郎「月が、綺麗だなって」

あなた「本当だ、満月だね」

夜空に浮かぶ真ん丸な月。すごく綺麗。

無一郎「ねえ、あなた」

あなた「はい?」

無一郎「ちょっと、こっち座って」

彼の横をさされた。

あなた「いいですけど、少しだけですよ
     片付けがありますので。」

彼の横に並んで座る。

…幸せだと思ってしまうのは、何故だろうね。

あなた「なんの話ですか?」

無一郎「特に用はないよ?」

あなた「…ん?」

悪意はなさそうだった。顔、キラキラしてたし。

あなた「そうですか…」

すぐに立ち去ればいいものを、彼のとなりは心地よくて。

立ち上がるのが、もったいなかった。

なんだか、師範の隣にいるみたい。

あなた「今日のしのぶさんと義勇さん、綺麗でしたね」

無一郎「うん、すごく似合ってた しのぶさんは」

あなた「冨岡さんも、袴様になってましたよ」

無一郎「…ねえあなた」

あなた「はい」

無一郎「僕と結婚しない?」

あなた「…また飲みましたか?」

無一郎「…?飲んでないけど」

あなた「じゃあ、おかしくなったんですか?
     お勉強のしすぎかな?」

無一郎「どうして?」

あなた「そうじゃないと好きでもない女に求婚しないでしょ」

無一郎「僕、あなたのこと好きだよ」

あなた「…へぇ、じゃあ、おやすみ」

多分この子、変な物食べたんだわ。

放っておきましょう。

無一郎「待って」

ぎゅって手を捕まれた。

あなた「離して…」

無一郎「なんで?」

あなた「嫌だから…」

無一郎「本当に?」

あなた「…嘘、…」

彼に嘘がつけなかった。つきたくなかった。

無一郎「あなたは、僕のこと嫌いなの?」

あなた「…違う、」

ダメなの、ダメなんだ。

そんな子犬みたいな顔で、こっちを見ないで。

あなた「私は、ダメだから…」

無一郎「何がダメなの?」

あなた「私は、所詮鬼だし…
     人間じゃない。化け物なの。
     そんなのが普通に恋をしていい訳がない。
     それに…」

無一郎「それに?」

あなた「鬼が増える。
     私の子供は…確実な鬼 
     せっかく鬼がいない世界になったのに
     鬼はもう…いらない…」

なんか、視界が霞んでしまう。

泣いてるのかな…。泣くなよ、泣き虫。

無一郎「そんなことない」

あなた「離してっ…」

彼の腕の中にすっぽり収まってしまった。

無一郎「泣いていいよ、もう、我慢しなくていいよ」

あなた「うっ…うぁっ…うぅ…」

よしよしと背中を擦ってくる。

無一郎「頑張ったね」

あなた「うぐっ…」

何故こんなに泣けるんだろう。

逃げ出そうと思えば逃げられるのに。

ここにいたいと願うのは。何故なんだろう。

あなた「わっ、私ね…」

無一郎「うん」

あなた「思い、出してるの、本当は…
     本当はもう、覚えてるの…」

無一郎「全部?」

あなた「しょう(そう)…」

覚えてるんだ。

私が鬼殺隊の隊士だったことも。

みんなと一緒に戦ってきたことも。

私も鬼だったこと。

無茶苦茶な作戦を、無理に実行したこと。

そして…

あなた「みんなの…体、斬った感覚も…」

そんなもの、思い出したくなかった。

でも、思い出したんだ。知ってたから。

無惨の、体を操れたけど

感覚も全て共有してしまったから。

人を斬る感覚も…私は覚えてるんだ。
大事な人を、斬ってゆく感覚を。

あなた「ごめんね…」

止めどなく溢れる涙を必死にぬぐった。

無一郎「…泣き虫。甘えん坊」

あなた「なっ、」

無一郎「本当のあなたはこっちでしょ?」

そうかもしれない。

ずっと…

あなた「そうかも、ね、へへっ」

我慢してた。

私なんかは他の人に甘えたらいけないんだと思ってた。

他の人に頼ったりしたらいけないと思ってた。

…人を好きになってはいけないと思ってた。

でも、

あなた「ありがとう…」

無一郎「うん」

いつも私を助けてくれるこの人が。

私の横で微笑んでくれるこの人が。

私の背を、優しく撫でてくれるこの人が。

あなた「私、貴方のこと好きです」

無一郎「えっ…」

あなた「私と恋仲になってくれませんか?」

無一郎「僕が言いたかったのにな…
    でも、よろこんで」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を必死に拭った。

あなた「大好きだよ  無一郎くん」

せめて、笑って伝えたかったから。

無一郎「僕も大好きだよあなた」

彼の腕の中をしっかり堪能させてもらってから

ごそごそと腕のなかから抜けたした。

あなた「じゃあ、私片付けっ…?」

バタン

あなた「ちょ、ちょっと?えっ?」

彼、顔真っ赤にして後ろにぶっ倒れちゃいました。

やっぱり飲んでたのかこの未成年め。

頭打ってないか?大丈夫か?

えっ、でもじゃあ、さっきのは…

あなた「嘘か…」

無一郎「嘘じゃないもん…」

あなた「起きてたの?」

無一郎「大丈夫…」

あなた「ではなさそうですのでお布団へ連行します」

無一郎「いいって大丈夫だって」

あなた「いいえ、よくありまっ…」

チュッ

あなた「なっ、何を…」

無一郎「…接吻だけど?あなた好きでしょ?」

あなた「もう…」

強引に引っ張られちゃった…。

嫌いじゃないけど…じゃないけどさ…

あなた「なんでそんなこと知ってるのよ変態!」

無一郎「前したときも嬉しそうだったよ?」

ニヤニヤすんなって…

あなた「っ!?」

そう、確か伊黒さん達の結婚式で1回されたんだ。

完全に酔った勢いだと思ったんだけどさ。

好きな人に接吻されて嬉しくない奴がいるわけない。

あなた「覚えてるのかよ…」

無一郎「真っ赤になって、あなた可愛かったよ」

あなた「もう!嫌い!」

逃げたかった。

ツルッ

あなた「ぎゃっ、」

滑った。逃げ損ねた。

あなた「痛い…」

無一郎「お馬鹿だね。可愛い」

あなた「っ…もう! 私は片付けに行くの!」

無一郎「僕も手伝うよ」

あなた「そりゃあありがとうね!」

私たちは2人でお台所に行ってお盆を取ってきて

後片付けを済ました。

義勇さんは相変わらず悪酔いしてたし。

しのぶさんもデレデレで面白かった。

私が、取った5匹の鮭も立派な鮭大根に。

みんな(主に義勇さんが)食べてくれて嬉しいな。

おめでとう、冨岡義勇さん、しのぶさん。




カナエ「おめでとう、あなたちゃん
    ようやくだね」

ニコッと微笑む人がいたのを、私は知らない。





_____________________
無一郎side

※過去話

あなたが泣きながら寝てまった。

カナエ「どうなさいましたか?時透さん?あなたちゃん?」

無一郎「胡蝶さん、あなたが…」

カナエ「あら、じゃあベッドまで運びましょう」

カナエさんはひょいっとあなたを抱き上げた。

カナエ「すこしお話しませんか?」

無一郎「わかりました」

カナエさんについてあなたをベッドに運んだ。

カナエ「よいしょ」

カナエさんがあなたをベッドに下ろす。

カナエ「髪ほどいてあげようね」

天元さんのお嫁さんにされたお洒落な髪を外していく。

カナエ「時透さん」

無一郎「はい」

カナエ「貴方は、あなたのことが好きなの?」

無一郎「…わかんない」

だって、こんな俺じゃ…

カナエ「そっか~」

あんまり重たい着物じゃ寝づらいね~って

着物にも手をかけてた。

僕はあなたからちょっと目そらした。

カナエ「この子はね…」

カナエさんが静かに話し出した。

カナエ「本当はものすごく甘えん坊なの。

    すごく、我慢してるんだと思うの。

    いっつも1歩引いてね。

    この子、人の名前をなかなか覚えないんだけど、

    本当は覚えないようにしてるだけなの。

    仲良くなればなったぶん、

    自分が鬼になったとき、

    みんなが私を斬りづらくなるからって。

   だから、この子が、

   みんなの名前をちゃと呼ぶようになったとき、

   私感動したの。

   あぁ、この子は立派になったなって。

   人を信じられるようになったんだなって。

   本当は人一倍寂しがり屋で、泣き虫で。
  
  ずっと強がってたの、見てて痛かったの。

  この子…ずっと1人で頑張ってきたから…」

カナエさんは僕の方をちらっと見た。

カナエ「もし、貴方が自分じゃ

    この子を支えていけないって思ってるのなら
  
    しっかり甘やかしてあげてね

    それでも、この子は喜ぶだろうし、

    支えられることになるからね?」

じゃあ、おやすみ

そう言うとカナエさんは部屋を出ていった。

無一郎「あなた…」

静かに眠る、その子の今だ枯れぬ涙をそっと拭った。

無一郎「そうだ…」

こそっと懐から桜の簪を取り出した。

あなたがさっきまで着けていた星の簪が横の棚にあった。

それをそっと引き出しにしまって、

桜の簪をそっと置いておいた。

無一郎「怒られるかな…」

なんだろう、独占欲と呼ばれるやつだろうか。

無一郎「あなた…俺、あなたのこと…








_______________________


《次の春》

また、桜の簪が似合う季節になりました。

ここに来るまでいろいろありましたけど。

まず、雪乃達が家を出ていっちゃってね。

隣に住んでるんだけど。

3人のお母さんが迎えに来て一緒に暮らしたいって

迎えに来やがったんだ。

で、監視下に置くために隣に暮らしてる。

毎日遊びにこられるけど。

そして、入れ替わりに新しい同居人が来た。

そして、そいつが、今新しい問題を引き起こしてる。


『無一郎「あなた、俺と結婚してください」』


あなた「うっ…」

思い出すだけで恥ずかしい。

彼にされた求婚を。

あの桜だか梅だかが綺麗な丘で。

2人で桜を見てるときにされた。

綺麗な桜の簪を貰った。

いっつも身に付けてるほどお気に入りよ。

絶対に私の顔は赤い。

もちろん返事はyes、だったのだが…

無一郎「本当にダメ?」

あなた「…ダメ」

無一郎「なんで?どうして?」

あなた「恥ずかしい…」

今は夫婦?で押し問答の真っ最中。

無一郎「そんなに恥ずかしくないよ」

あなた「無理ぃ…」

祝言をあげたい彼VS恥ずかしい私。

ちなみに、これは3ヶ月前から毎日している。

私はしのぶさんやカナエさん、蜜璃さんみたいに綺麗じゃないし。

無一郎「…わかった」

今日は、嫌に聞き分けがいい。おかしい。

あなた「ごめんなさい…」

無一郎「いいよ、少し出掛けてくるから」

彼はどこかにお出掛けになった。

なんだか…申し訳ないな…

でも、あんなに綺麗な花嫁さんを見てたら、

普通にその次に祝言をあげられるのは相当な自信家だけ。

お詫びに今日はふろふき大根にしよう。

ちゃんと帰ってきてくれるよね…?

あれ、そういえば遊びに行った雪乃達が帰ってこないな…


ドンドンドン

あなた「はーい」

ご飯を作ろうと台所に出てきたところだった。

彼にしては雑に扉を叩くから、お客さんかな?

ガラッ

あなた「どちらさっ!?」

ぐるりと視界が反転した。

俵担ぎ?誘拐?

杏寿郎「すまんな!あなた殿!」

あなた「お、降ろして、降ろしてください!」

天元「それは派手に聞けないな」

天元さんがさらっと家の鍵を閉める。

杏寿郎「では行こうではないか!」

あなた「行かないってば!」

天元「俺の嫁たちも待ってるからな」

あなた「嫌だぁ!」

実弥「うるせぇ黙れ」

ぽいっ

あなた「こっ、金平糖…」

実弥さんに口に入れられた。

うん、美味しい。

おとなしく抱えられることにする。

あなた「どこ行くの?」

実弥「秘密だァ…」

杏寿郎「悪いところではない!」

天元「ド派手な所だ」

そうか、、諦めよう。

こんな屈強な男3人に勝てる気がしないし。

私はおとなしくついていった。



杏寿郎「ではこの部屋に入ってくれ!」

ようやく降ろしてもらえたのはお馴染みの蝶屋敷で。

あなた「?わかりました」

ガラッと扉を開けると

あなた「不死川さん、伊黒さん、冨岡さんも…」

カナエ「いらっしゃい、あなたちゃん」

蜜璃「こっちよ~」

しのぶ「次はあなたさんの番ですからね」

須磨「あなたさん!」

雛鶴「ようやく来ましたか」

まきを「とっとと準備しますよ」

あなた「えっ、ちょっと、えっ…」

美女6人に囲まれて。

あっという間に服を変えられた。

あなた「これ…」

雛鶴「天元さん!出来ましたよ!」

ガラッ

天元「おお!派手でいいな!」

杏寿郎「よく似合っているぞ!あなた殿!」

義勇「…(とても似合っていて)良い(と思う)」

小芭内「早くこっちにこい」

行冥「南無阿弥陀仏…」

あなた「えっ、えっ?」

サエ「あなたちゃ、」

あなた「サエちゃん…」

サエ「あげる!」

サエちゃんが花束を渡してくれた。

しのぶ「ブーケという西洋の結婚式で花嫁が持つものだそうです。」

雪乃「私と空で作ったよ!」

空「作ったの!」

あなた「あり、ありがとう…」

蜜璃「じゃあ、みんな行きましょう!」

あなた「えっ、ちょっと、みんな?」

みんな出ていってしまう。

晴彦「あなた、こっち」

晴彦だけか残ってくれた。

晴彦に手を引かれて、屋敷の中を進んでいった。

晴彦「入るからね?」

あなた「えっ?う、うん、」

ガラッ

カナエ「おめでとう!あなた!」

しのぶ「なかなか可愛いと思いますよ」

蜜璃「きゅんきゅんしちゃうわ!」

カナヲ「うん、綺麗、おめでとう」

アオイ「あなたちゃん!素敵」

雪乃「きゃー!!素敵」

空「おめでとう!あなたちゃん!」

すみ きよ なほ「おめでとう!」

義勇「おめでとう」

杏寿郎「綺麗だな!あなた殿!」

千寿郎「あなたさん、おめでとうございます」

天元「ド派手な花嫁だな!」

雛鶴「綺麗よ、あなたちゃん」

まきを「すごく良いよ!」

須磨「あなたちゃん、可愛いよぉ」

行冥「南無…めでたい…」

小芭内「精々幸せになるんだな」

実弥「まあ、馬子にも衣装って感じか?
   嘘だよ、似合ってらァ…」

サエ「おめでちょう!」

炭治郎「おめでとう!すごく綺麗だぞ!」

善逸「ぎゃぁぁぁぁ、本当にあなたぢゃん?
   めっちゃ可愛いぃぃぃぃ」

禰豆子「おめでとう、あなた」

伊之助「おめでとう、でいいのか?」

玄弥「合ってるぞ
   おめでとう、あなた」

珠世「おめでとうごさいますあなたさん」

愈史郎「…綺麗だな、珠世様には劣るが」

お館様「おめでとうあなた、無一郎。
    しっかり幸せになるんだよ」

あまね「私も嬉しいです。
    どうぞお幸せに」

お館様の子供たち「あなたさん、おめでとうごさいます」

有一郎「弟泣かしたらぶっころ(ピー)からな
    覚悟しろよ」

無一郎「あなた…可愛いね」

あなた「無一郎くん…」

晴彦「はやく行きなよ、待ってるよ旦那が」

あなた「はっ、はい…」

彼の横に静かに歩いていった。

あなた「似合いますか…?」

無一郎「うん、すごく可愛いよ」

あなた「無一郎くんもとってもかっこいい」

袴姿の彼は、なかなかかっこよかった。

カナエ「無一郎くん、あなたをよろしくね」

有一郎「弟を幸せにしろよ、あなた」

無一郎「任せてください」

あなた「はい、頑張ります」


あなた「無一郎さん」

無一郎「なに?」

あなた「好き。大好き」

無一郎「僕も、大好きだよ」

チュッ

あなた「…!」

皆「おめでとう!」

みんなが、すごく祝ってくれた。

祝言、恥ずかしくて嫌だったけど、

みんなにやってもらえて、私は幸せだった。

ねえ、私幸せ。

スッと、私のあかぎれだらけの手を握られた。

無一郎「俺、あなたのことちゃんと守るから 
   ずっと一緒にいてね?」

あなた「ふふっ…ありがとう。もちろんだよ
     これからもよろしくね」

カナエ「あなたちゃんあなたちゃん」

あなた「はい!」

しのぶ「こっちこっち」

カナエさんたちに連れられて外に出た。

新郎と手繋いだままなのがちょっと恥ずかしいけど。

みんなぞろぞろと付いてくる。

しのぶ「ブーケトスをしましょう?」

あなた「ブーケトスって?」

しのぶ「あなたさんがブーケを投げて、

    それを取った女の人が次結婚できるという
    西洋の文化です」

あなた「へぇー!おもしろそう」

私はみんなに背を向けて並んだ。

カナヲ、禰豆子、アオイ、雪乃、空、サエ、

すみちゃん、きよちゃん、なほちゃん、あとご息女様たち。

その後ろに他の人が並ぶ。

あなた「それじゃあ!行くよ!」

ブーケが空を舞った。

ボスッ

義勇「…俺か」←ブーケキャッチした人

一同《大爆笑》

しのぶ「義勇さん…ふはぁっw」

無一郎「あなた、天才w」

義勇「俺には嫁がいる」

実弥「逃げられるんじゃねぇか冨岡ァ」

サエ「ととっ!めっ!」(お父さん意地悪はダメ)

小芭内「…言われてるな」

カナエ「あらあら、サエったら」

実弥「わりィ…」

しのぶ「もう1回しませんか?w」

あなた「わかりましたw」

もう一度ブーケを受け取って投げる。

あなた「行くよー!」

それっと、ブーケが空を舞う。

みんな幸せそうで私も嬉しい。

ねえ、私も幸せになれたよ。







主人公生存END 「幸せ」




※結婚式でおかしいところがあっても突っ込まないでください。

よくわかっています。


作者がHAPPYEND苦手で遅くなってごめんなさい。

しかもくっそ長いし。

これで本当に物語は完結です。

ここまで読んでくれてありがとう。

これからも気まぐれに短いお話は書きますので

また読みに来てください。

(ここまでとは違う世界線です。)

20以上の🌟 200以上の❤ コメント💬

とっても励みになりました。

たくさんの人に目を通してもらえて嬉かったです。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました。


2020年  4/17(金) 作者 卯月

プリ小説オーディオドラマ