第26話

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2020/03/27 15:00
隠「着きましたよ」

あなた「あっ、ありがとう」

私は、地面に降りる。

懐かしの地面、LOVE。

隠「お気をつけて」

あなた「えっ、」

隠「後ろ…わっ、私は、失礼します。」

隠がさっと行ってしまう。

あなた「えっ、ちょ、はや…」

何だろう。

私も背中に気配を感じる。

やばい、消される。

恐るおさる(?)振り替える。

霞柱「遅い、」

あなた「ひえっ、か、か、か、霞柱様
     おはにちは…」

あっ、頭が全く働かないの、

あなた「も、も申し訳ありませんですた、」

霞柱「罰としてお風呂掃除しといて」

あなた「はっ、はひっ!?」

霞柱「早く」

あなた「かっ、かしこまりました…」

なにその罰。

子供か継子にするやつだろ。

子供も継子もいないし知らんけど。

そう言えば私も師範に掃除させられてたな…。

うちだけなのか?

とか、考えながらさっさと掃除する。

てか、なんなん彼奴。親か?

私の親か?parentなんか?

今日私移動と掃除しかしてないよ。

別に掃除は好きだし良いけど…

あなた「おわりましたよー
     …
     おわりましたよ?」

霞柱様が出てこない。

あなた「人に掃除させといてどこ行ったの」

私は、屋敷の中をウロウロする。



あなた「ここ通るの3回目じゃね…?」

広い。

蝶屋敷なみに広い。

迷子になっちゃったよ。

あなた「あっ、待ってここじゃね」

ようやく稽古場見つけたよ。

あなた「し、失礼します。霞柱様
     掃除おわr…」

霞柱様様が一人で鍛練されてた。

なんか、迫力がすごい。

あなた「うおぉ」

その迫力に押され、私は、しばらく黙って見とれてた。



霞柱「…なに見てんの」

あなた「あっ、霞柱様」

気付かれた。

霞柱「遅い」

貴方が気が付かなかっただけですよ。

とは言えない。

あなた「遅くなって申し訳ありません霞柱様」

霞柱「早く、始めるよ」

霞柱様が持っていた竹刀を投げてくださった。

受け止める。

持っていたやつ?

…持っていたやつ。

えっ、違うのくれよ。

なんか手の温もり感じるよ、

変 態みたいじゃん、

いや、我慢する。

あなた「はいっ」

私は竹刀を構える。

あなた「よろしくお願いします。」


私が人と手合わせすることはほとんどない。

だって怪我したくないから。

手合わせなんてしたら、怪我するでしょ?

切り傷、かすり傷、痣。

怪我するとしてもこれくらいなんだけど。

でも、私は違う。

その程度の怪我なら

みんなが瞬きする間になくなってしまう。

そんなことで鬼だとバレたらみっともない。

だから、基本的に師範以外と手合わせしたことない。

したことあるのは、

自分より、確実に弱い人だけ。

私が怪我せずにすむから。

でも、

あなた「うっ、」

速い。

この人、速い。

2ヶ月で柱になった人なんだよね、

だから、強いだろうとは思ってたのよ。

でも、無理だ。この人に勝てる気がしない。

怪我しちゃう。

怪我しないように基本的に私が避けてるだけ。

でも怒られないように少しだけ攻める。

本当ならもっと攻めるべきよね。

でも、怪我したらバレr…

あなた「あっ、やべっ、」

ドシッ,

あなた「痛っ、」

尻餅ついたんですけど。

無一郎「…弱」

首に竹刀当てられて終わった。

あなた「うっ、」

無一郎「君。弱いね。」

なんか、いらっとした。

あなた「もう一回しませんか?」

皆さん、お忘れではないか?

私、着物で戦ってるんですよ?

動きづらいのよ。

なので、

あなた「ちょっと待ってくださいね。」

着物で尻餅ついた代償は大きいよ。

お尻痛いの。

私は、お尻をはたきながら立ち上がる。

袖を止めてしまう。

これで、戦いやすくなる、はず。

無一郎「…隊服着れば?
    動きにくくない?」

あなた「貴方に言われる筋合いはありませんよ」

私は、竹刀を握る。

あなた「お願いします。」

本気、出しちゃうわよ。




速いね、この人の動き。

隙がないです。

でも、

あなた「えいっ、」

私の方が速いわよ、

飛び上がる。

避ける。

後ろに回れるかしら。

いや、

あなた「消えよう」

風になる。

『血鬼術 光溶』

無一郎「…?」

あなた「えいっ、」

無一郎「…えっ」

あなた「うふふ」

後ろから彼の首に竹刀を当ててる。

私は、風の、いや、光の速度で上に飛び上がった。

ように見せかけて

血鬼術で、一瞬だけ光に溶けた。

で、

彼の後ろに回っただけ。

一瞬だけ、普通の人間なら見えない速度で。

あなた「私の勝ちですね、ふふふ」

無一郎「…速いね」

あなた「もうできませんよ」

そう、これ結構体力使うの。

たった一瞬なのにね。

無一郎「もう負けないから」

あなた「はい」



その後はボロ負けした。

もう血鬼術使えないし。

午後から曇り出したけど、

多少は日の光浴びちゃってさ。

普通の稽古場なので日光さすのは仕方ないし。

我慢してたんだけど、

鍛練で使う体力+日の光のダメージ

で、私もうボロボロ。

あなた「死、死ぬ…」

疲れた、

異常に疲れた。

無一郎「…お疲れ」

あなた「ご指導ありがとうございます霞柱様」

平然を装うよ。

あなた「お強いんですね、柱って」

霞柱「君が弱いだけじゃない?」

口悪。有一郎くんを感じる。

さすが、双子。

あなた「あはは、面目ない…」

額の汗をぬぐう。

鬼なんてみんな涼しい顔して戦ってるって?

ごもっとも。

私だって普段は汗なんてかかないよ。

でも、今日は別。

これはただ単に命の危険を感じて脂汗が出てるだけ。

あなた「ふぅ…」 

思わずため息が出ちゃう。

霞柱「お風呂、使ってもいいよ」

あなた「…はい?」

霞柱「汗だくで汚い」

言い切ったぞ。こいつ。

可愛い年頃の乙女に向かって汚い、だと?

あなた「なっ、、」

霞柱「まだ夜の見回りまで時間あるから。」
   
あなた「ん?」

今、この人、何て言った?

夜の見回り…?

あなた「私も夜の見回りするんですか?」

霞柱「何言ってんの。
   それが本題でしょ。」

そうだったの、

そうだったのか、

あなた「…か、かしこまりました。
     ありがたくお風呂、借りさせていただきます」

これ、私、大丈夫かねぇ…



あなた「ぬぁぁぁ」

お風呂借りたはいいものの、

自分でお風呂沸かしてさ、

ようやく入れたよ。

てか、このために掃除させたの?

え、このため?

そのとき、扉の外に人の気配を感じた。

霞柱「終わった?」

あなた「へっ、あっ、はい、今出ます」

ですよね、霞柱様ですよね。

わかってましたよ。

なんか呼びに来たんだけど。

これは催促なのよね?

霞柱「ん」

無一郎くんがどこかへ行ってしまった。

私は、急いで湯浴みを終えた。



あなた「お待たせしまっ、」

霞柱「じゃあ、僕お風呂入るから。」

あなた「はいっ?」

霞柱「君、ご飯作れる?」

あなた「そ、それなりに…?」

霞柱「じゃあ、あるもので何か作ってよ」

あなた「えっ、」
 
違うだろ、私は客人だぞ。

もてなすのはあなたの仕事では?

階級は私の方が貴方よりも下だけれど!

霞柱「じゃあ、よろしく」

あなた「えっ、ちょ、霞柱様ぁ!」

無一郎くんはスタスタ行ってしまった。

あなた「し、仕方ねぇ…
     お姉さまらしらを見せようか」

私は台所を漁った。

大したものがないです。

しかし、

大根とほうれん草と玉ねぎちゃんを見つけました 

調味料は一通り揃っています

なんと嬉しい玉子と豆腐とわかめを発見。

これだけあれば、十分ですな。

私はるんるんでご飯を作る。


ご飯を炊いて、

玉ねぎと豆腐とわかめに大根で味噌汁を。

ほうれん草はおひたしにしてやりましょう。

残りの玉子を玉子焼きにして、

最後に

あなた「うん、これ、この味」

有一郎くんに教えてもらったふろふき大根を

作ってみたのだが、私天才だった。

めっちゃ旨い。

完全再現できてるわ。

普段から他人の血鬼術パクって

自分の血鬼術編み出してるだけあるわ。

さすがパクり女王。

霞柱「できた?」

あなた「うおっ、」

いきなり話しかけないでほしい。

驚いて死んじゃう。

あなた「できましたよ~」

霞柱「ふぅん」

私の作ったら料理を眺める。

霞柱「ふろふき大根…」

あなた「そうですよ
     ある人に教えてもらったんです」

霞柱「へぇ」

なんか目がちょっとキラキラしてない?

やだ

あなた「可愛い…」

霞柱「何」

あなた「何でもないです
     あっちで座って待っててください」

霞柱「ん、」

無一郎くんを座敷で待たせる。

柱を待たせるなんて、よくないよね、

私は急いでご飯、お味噌汁、おかずを

取り分ける。

1人前だけ。

それを無一郎さんの前に運ぶ。

あなた「お待たせしました。霞柱様」

霞柱「ありがと」

可愛いな、この人。有一郎くんそっくりだし。

ちょっと感想が聞きたい。

私は無一郎くんをじっと見る。

が、

あなた「あの、はやく…」

霞柱「…君のは?」

あなた「私はいいですよ」

霞柱「一緒に食べよ…?」

あなた「なっ、はっ、はいっ」

どこから湧いてくるのその可愛さ。

私の負けです。

私は急いで自分の分も用意する。

あなた「じゃあ、いただきます」

霞柱「いただきます…」

静かに食べる。

我ながら上出来だ。

あなた「お口に合いませんでしたか?」

霞柱「………」

なぜか、ふろふき大根を食べる途中で

フリーズしている無一郎くんに問いかける。

あなた「霞柱様…?」

霞柱「…不味くはないよ」

何それ、

不味いの?

あなた「そうですか、」

その後は、ずっと無言だった。

が、無一郎くんは全部食べてくれた。

よかった。

あなた「じゃあ、洗い物してきますね」

霞柱「…ご馳走様」

私は二人分の食器を洗う。

久しぶりだった。

二人分の食器を洗うのは、

有一郎くんと暮らしてたとき以来?

でも、その頃は家事ほぼほぼ有一郎くんに

丸投げしてたので、

数年一緒に暮らしてたのに

食器洗いなんて数えるほどしかしてなかったな、

とか思ってる間に終わっちゃった。

霞柱「終わった?」

あなた「はい!今終わったところです」

見てたのかな?ってくらい

ナイスタイミングで声をかけてきた。

霞柱「じゃあ、見回り行こ」

あなた「はい、今行きます」

私は無一郎くんに続いて屋敷を出る。

霞柱「じゃあ、行こ」

あなた「はい!」

なんか、今夜は長い夜になりそう…。

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