あなたside
高橋「そっ、か。あの部屋、
入っちゃったんだ・・・」
『ごめんなさい・・・・・ッ』
高橋「いやいや、いつか見られることは
わかってたから」
『・・・・・・・・ッ』
どうしよう。震えが止まらない・・・・ッ。
生で見ると、こんなに怖いんだ・・・・・。
お願いだから、震え止まって・・・・・。
橋本「あなた」
ビクッ
橋本「あ、ごめん・・・」
『ううん・・・。何・・・ッ?』
橋本「怖、い・・・・・?」
『怖く、ない・・・』
井上「嘘つくなよ」
『え・・・』
井上「震えてんじゃん。強がんなよ」
『・・・・・ッ』
どうしてわかったの・・・・・?
瑞稀の言う通りだ・・・・・。
私、ただ強がってるだけなんだよ。
ほんとは怖くて怖くてたまらない・・・・。
だから震えが止まってない。
でも、怖いなんか言いたくない・・・・。
本当のこと言っちゃうとみんなに迷惑かけるから。
みんなに迷惑かけたくないから・・・・。
橋本「あなた・・・」
『何・・・・?』
ギュッ
ビクッ
『はな、離して・・・・・ッ』
橋本「離さない・・・・」
涼の抱き締める力がつくなる。
それだけで泣きたくなる・・・・。
でも、泣いちゃダメだ・・・。
わかってるけど、涙が滲んでくる。
ダメだよ。堪えないと・・・ッ。
橋本「我慢すんなッ!怖いって言え!
思いっきり泣け!!」
初めて涼が怒ってるところみた・・・。
橋本「これ以上、一人になんなよ・・・ッ!」
その言葉を聞いた途端、
私のなかで何かが切れた・・・。
『・・・・ッ!グズッグズッ』
井上「あなた・・・・」
『怖かったよ・・・グズッ本当は・・・!
すっごく、グズッ、怖かった・・!』
橋本「・・・・・・うん」
『だけど、グズッ、ホントのこと、は、
言えなかったの、グズッ
また誰かに、迷惑かけちゃうからグズッ』
高橋「迷、惑・・・?」
『うん・・・グズッ』
猪狩「誰かに言われてたの・・・?」
『・・・・・グズッ』
作間「言われてたんだね・・・」
コクン
私は小さくうなずく。
小さい頃から言われてきたこと・・・・。
ずっと言われてきたから頭のなかにずっとあって
ずっと守ってきた・・・・。
だからこんなんになっちゃったんだ・・・。
『本音は誰かに迷惑かける言葉なんだよ』
『本音は人を傷つける言葉なんだよ』
『本音は
人を遠ざける言葉なんだよ』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。