あなたside
先生「今日は転校生が来た。
橘。自己紹介しろ」
『橘あなたです。よろしくお願いします』
先生「んじゃ、1番端っこの猪狩の隣な」
『はい』
私は先生に言われた席につく。
あ、長谷川と同じ席………。
この席嬉しいんだけどさ……。
長谷川と同じっていうのが、さ………。
あいつらのこと思い出したくないのに。
ヤバイ、今日ほんとにイライラしてる。
あー、やばいぞーーーーーーーー。
先生「んじゃ、教科書開け~。
授業始めるぞ~」
生徒「はーい」
………………届いてねぇ…。
まぁ、いいか。一応ノートはあるし、
それ開いておけば聞いてますよー、
的な感じな雰囲気なるくね?
よし、それでいこー。
暇。
猪狩「あなた、教科書は?」
『ん?届いてない』
猪狩「は。何で言わないの。
見せてやるから机くっ付けて」
『蒼弥がくっ付けてよ。
私めんどくさいから動きたくない』
猪狩「はぁ……。はいはい」
そう言って蒼弥は机をくっつける。
『あ。私ここ習ったよ』
猪狩「え、まじ」
『こんなとこで嘘つくわけ』
猪狩「だよな。さすがエリートだな…」
『やめろ。もー、思い出したくない』
猪狩「ついこの間までのことなのに」
『うるさい。嫌なのは嫌だから』
猪狩「はいはい。
とりあえず習ったは習ったでいいから、
授業集中して」
めんどくさい………。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!