蒼弥side
さっきは焦った………。
まさかあなたがドア開けるとは……。
しかも何気に俺side初じゃない?
こんな形で初になるって嫌だねw
てかまぁ、こんな話はどうでもいいんだよね。
あなただよ。あなた。
今日のテンションどうしたの。
あのテンション。絶対おかしい。
まだ一緒にいはじめて2、3日だけど、
これは絶対あなたじゃない。
ガラッ
?「あ、」
ビクッ
猪狩「ビックリした~。はしもっちゃんか…」
橋本「ごめんごめんw」
猪狩「てかどうしたの。なんでうがい?」
橋本「あ、えと、これは……」
猪狩「?」
橋本「な、なんでもない、!」
コトッ
タッ
はしもっちゃんがコップを置いて、
部屋を出ていく。
え、どうしたんだろ……。
うがいしてただけで、あんなに焦らないでしょ。
なんだったんだろ。
ガチャ
高橋「がりさん」
猪狩「あれ?優斗だけ?」
高橋「3人とも部屋。
はしもっちゃんとみずっくん知らないけど、
作ちゃんは勉強するって」
猪狩「ふーん。あなたは?」
高橋「ん」
優斗が座ってない方のソファを指差す。
俺がそっちを見ると、
あなたが規則正しい寝息をたてて寝ていた。
猪狩「寝てんじゃん……」
高橋「『そーやおそーい』って寝ちゃった」
猪狩「まじか。じゃあ朝風呂だね」
高橋「うん」
猪狩「あなた、明日には直ってるかなぁ…」
高橋「………」
俺がしゃがみこんで
あなたに触れようとすると……
グイッ
猪狩「………!?」
ダンッ!!!
猪狩「ッ!!!」
優斗が俺の服を引っ張って壁に打ち付ける。
高橋「………」
猪狩「ゆ、優斗……ッ?」
高橋「みずっくんの話、聞いてんでしょ……」
猪狩「瑞稀くんの……あ、うん」
高橋「なんで、なんで勝手に……」
猪狩「……ごめん。でも、
ちゃんとあなたには聞くよ?」
高橋「当たり前でしょ………」
猪狩「あんまり勝手に決めないから……」
高橋「そうして…。家族失うことが辛いの、
俺らが一番わかってんでしょ…」
猪狩「うん…」
高橋「ごめん。痛かったよね。
俺もう寝るから、
電気と戸締まりよろしく…」
猪狩「うん…」
そう言って優斗があなたを抱っこして
リビングを出ていく。
ビックリ、した……。
優斗、ちゃんと思ってたんだ………。
俺ら、ほんとに最低なこと
しようとしてるのかもしれない……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!