宿儺「落ち着いたか」
「……ん」
ぐすぐす鼻を鳴らす私の隣に、面倒くさそうにため息をこぼすおじいちゃん
もういい、おじいちゃんだ。お化けだろうと呪いだろうと知ったことか!
おじいちゃんにとっては意図せずできていた孫かもしれないけど!
その節はおばあちゃんが大変申し訳ありませんでしたとしか言えないけど!
───私の!おじいちゃんだもんね!!!
うとうとと閉じかける思考が、突拍子もないことを叫んでいる
泣き疲れたのか、瞼が重くなってきた。散々泣いて寝るなんて、ほんとに子供みたいだ
でも、
隣にいるおじいちゃんから感じる空気が、おばあちゃんととても似ていて………安心しちゃうから
「……おじい、ちゃ…」
宿儺「…さっさと寝てしまえ」
ぐらりと揺れた頭が重力に逆らえずに倒れる
大きな手に平に受けとめられたような気がして───
───目が覚めた
「……えっ?」
虎杖「あ、千歳起きた」
えっ???
近いところから声が聞こえて、反射的に顔を上げる
にっと笑ってこちらを見ていたのは、キュートタイプの虎杖くんだった。んん、近い……近い?
「……ん? あれ? んん?」
五条「あなた、まだ寝ぼけてる? あなたったら新幹線乗ってすぐ、悠仁を枕に寝ちゃったからねぇ」
「えっ!? ご、ごめん虎杖くん!」
虎杖「いーよ、平気平気」
電車って眠くなるよな、分かる。と頷いてくれる虎杖くんは圧倒的いい子
正面でニマニマ笑っている五条先生は悪い子…子じゃないか。先生、いくつなんだろ?
ようやく状況を思い出した頭が、落ち着こうと回り始める
そうだ。私は虎杖くんと五条先生と一緒に新幹線に乗って、初めはお喋りしてたのに眠くなって、それで───
………あれは、夢、だった?
ちらりと、隣の虎杖くんの顔を盗み見る。正確には目の下の傷を
……ううん
夢だけど、きっと、夢じゃなかった
五条「はーい、そろそろ着くよー」
虎杖「あーあっという間だったなー。結局一回も先生に勝てなかったし!」
五条「ババ抜きで僕に勝とうなんて千年早いね!」
「ずっとババ抜きやってたの……? 二人で?」
車内アナウンスが終点を告げる
次々と立ち上がる人に押されるように、私たちも席を立った
喧騒
人混み
空気が既に、だいぶ違う
先にホームに降りたった五条先生が、くるりと振り返って言った
五条「ようこそ! 東京へ!」
一章 Fin.












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。