第104話

レストラン
546
2022/07/10 17:30
@白夜あなた
この度、35歳となりました。
いつまでもハーレー乗って男の心を盗む泥棒で
いたいです。(๑˃̵ᴗ˂̵)
【ラーメン屋の前でピースする白夜】




@aaa
おめでとう!!!




@bbb
おめでとうございまーす!!




@ccc
大丈夫ですよ
あなた何人の男の心盗んでると思って




@ddd
白夜あなたに落ちない男いるの?




@aaa
女も落ちてます!!




@谷山紀章
最近俺らの歌頻繁に聴いてくれて
ちょっと嬉しいゾo(`ω´ )o
【白夜の手にあるスマホにGRANRODEOの曲名】





@白夜あなた
隠し撮りだな





@谷山紀章
いっぱいしてる(╹◡╹)♡
【引用RT】





@ccc
きーやんのフォルダあなたちゃんでいっぱい説





@eee
誕生日プレゼントでもらった一眼レフカメラのフィルムも全部白夜さん説





@谷山紀章
今日はいっぱい撮った
お疲れさん
【一眼レフカメラの画像】





@aaa
好きすぎ……




@bbb
純粋に想ってるの素晴らしい




@白夜あなた
この前同期に奢るとか言われて散々酔っ払ったのは、あれがアイツらの誕生日プレゼントだったらしい。
ツンデレかよ




@前野智昭
@白夜あなた
お前よりマシ




@白夜あなた
な訳ない。
って言ったら紀章さんに「は?」って顔された
なぜ?




@aaa
いやあなたが1番ツンデレ……




@bbb
まさかの自覚無し。w




@谷山紀章
それもまたいいのよ




@白夜あなた
だそうだぞ
よかったな前野




@前野智昭
なんか煽られてる?





@ccc
かわいそwww





@eee
これぞ同期組(?)
















杏里君達と別れてから、散歩して買い物して

普段と変わらないデートをしている。

けど、本人はすごく楽しそう。

いつも頬が赤い。




『はぁ…楽しかったっ』

「もういいの?」

『うん。もういっぱい色んなところ行って、満足!』

「そっか。じゃああと1つね」

『え?』

「予約してるって言ってたでしょ?」

『あ。ところで何の予約?』

「まぁ、まずは一旦家に帰ろうか」

『分かった』




一度家に帰って、買った物を整理して

あなたちゃんに着替えるように言った。

なぜ?って顔してたけど、まぁその理由はすぐわかる。

俺もシャツにジャケットという正装に着替えて、あなたちゃんの準備が終わるのを待った。




『紀章さーん』

「ん?」

『これでいい?』




あなたちゃんは青藍色のパーティドレスを着ていた。

ホント、何でも似合うなぁ。




「綺麗だね」

『…ありがと』

「照れ屋さん」

『仕方ないでしょ…!』

「ふふ、じゃあ行こうか」

『うん。』




手を繋いで家を出て、タクシーで店まで。

あなたちゃんはどこに連れて行かれるのか分かってないから、ずっとソワソワしてる。

外の景色を眺めて、その姿が綺麗で

自分のバッグの中に入っている一眼レフカメラを取り出して、シャッター音がならないように設定して

こっそり撮った。




「お客さん、こちらで?」

「あ、そうです。」

『ここは…?』

「レストラン。誕生日くらい良い思いしてよ」




あなたちゃんを連れてきたのは、ジビエ料理の有名なレストラン。

ワイン好きのあなたちゃんがよく話してたからね。

ワインの香りに合う料理はジビエが多いって。




『だから正装に着替えたんだ』

「いつもの格好のまま行く所じゃないからね」




中に入ると豪華過ぎない内装に魅了された。

あなたちゃんも気に入ったようで、辺りを回っている。

予約していたから、席は決まっていて

なるべく端の席を頼んだ。

2人で話をするなら端じゃないと落ち着かない。

居酒屋もいつもそう。




「こちらで宜しいですか?」

「大丈夫です。ありがとうございます」

『わぁ、綺麗な夜景…』

「あなたちゃん、どうぞ」

『ありがとう。』




イスを引いて、あなたちゃんを座らせて

夜景を見つめる姿に、また惚れた。

いや元から惚れてるけど。




「メニューをお持ちしました。」

「ありがとうございます」

『わぁ、カモシカのお肉まであるんだ…』

「当店はコースを始め、ジビエに合うワインを選ぶものになっております。ワインかコースどちらかをお先にお選びください」

『いっぱいあるなぁ…』

「クセが少ないのがいいな」

『じゃあワニ?』

「ワニ食べたことない」

『じゃあ私は、イノシシで』

「かしこまりました。」

「ワインはあなたちゃんが決めて。」

『そう?じゃあ、やっぱりジビエだと……北海道ワインの赤で。』

「かしこまりました。ご準備致します」




ジビエもワインも楽しみなのか、肩をリズムよく動かしてる。

可愛い…




「お気に召していただけました?お嬢様」

『お気に召したっ』

「それは良かった」

『ホント、ここ最近1番良い誕生日だよ』

「そうなの?笑」

『去年はライブ重なったし。その前は仕事納めだったし。』

「売れっ子は大変だね」

『どの口が言ってんのよ』




いや、なんで反抗する?

まぁいっか。

そうこうしてるうちに、ワインと前菜が。




「北海道赤ワインです。冷やして甘さを強調させ、ジビエとの程良い味を楽しむことができます」

『綺麗な色…』

「前菜はサーモンカルパッチョに、茄子のチョコレートプレッセです。」

「チョコレート?」

「チャイルという薄い板状のビスケットをチョコレートで作りました。ほのかな甘さがフォアグラのクセと合います」

「フォアグラって…」

『まぁ肝臓だね』

「苦手…」

『一回食べてみたら?』

「………ん、上手い!」

『ふふっ』

「人生で肝臓美味しいと思ったのこれで4回目」

『良かったね笑』

「ワインどう?」

『すごく美味しいよ。やっぱり日本のワインはクセのないあっさりした味が特徴だなぁ』

「あなたちゃんの1番好きなワインってなんなの?」

『うーん……やっぱロマネ・コンティかな』

「ロマネってなんか聞いたことある」

『そりゃワイン好きと限らずお酒好きなら聞いたことあるでしょうよ!ロマネは絶対に裏切らない!』

「う、うん」

『爽やかだけど飽きないあの独特な味が癖になるんだ』

「さすがワインが好きすぎてソムリエの資格取っただけあるね笑」

『難しかったなぁ。試験』




今思えば、いろいろあった人生。

これで終わりなんて微塵も思ってない。

けどそれでもいろいろあった。




『紀章さん』

「ん?」

『ありがとう。』

「…」

『改めて、ありがとう。』

「…どういたしまして?笑」

『分かってないでしょー』

「ごめんごめん笑」

『もう…笑』

「あ、そうだ。はい」

『何これ…』

「お義父さんから送られてきたよ」

『パパから?』




パパからの贈り物らしきプレゼントは、何やら綺麗な包み紙。




『ん!イヤリングだ!』

「綺麗だねぇ」

『何色なんだろこれ』

「赤っぽいけどちょっと深め?紫?」




中の箱にはメッセージカードも付いていた。




「「あなたへ。12月1日の色言葉はフューシャ。魅力を意味するんだ。あなたは魅力ある気品で美しい女性と成長してくれた。パパの自慢だよ。35歳おめでとう」だってさ。」

『フューシャって言うんだ。この色』

「魅力か。ぴったりじゃん」

『そう?』

「あなたちゃんに惚れない男はいないんだよ。非常にむしゃくしゃするけど」

『ふふ。まぁそんな自覚ある』

「あるの?」

『そうやって生きてきたからね』

「ふぅん……あ、後これ」

『これは?』




もう一つは可愛い刺繍やバッジがたくさん付いた可愛いキャスケット。

すごく私好み。




「姪っ子」

『ん!姪っ子ちゃん!』

「この前ライブで山口帰った時渡せって言われた」

『可愛い〜』

「似合いそう」

『姪っ子ちゃんにお礼言わなきゃ。お返しもしよ!』

「なら会ってあげて?」

『え?』

「あなたちゃんに会いたい会いたいって言って聞かないんだよ笑」

『なるほどね笑。そっかそっか。』











『美味しかったー!』

「美味かったねぇ」

『久々にコース食べたぁ』

「楽しかった?」

『楽しかった!』

「良かった。」

『紀章さん妙に大人しいね?』

「大人しいって何よ」

『だっていつもなら一緒にふざけるじゃん?』

「抑えてるだけですー」

『?』




家に着いて、家事やお風呂を張ったり

ごく普通な時間を過ごした。

あなたちゃんはまださっきのレストランで気分が良いのか、ずっと浮いてる。

っていうかお酒もまぁまぁ呑んでたからふわふわしてる。

可愛い……




「あ、そうだ」

『ん…?』




寝室に行って、2つのプレゼントを持ってきた。




「はい」

『?』

「どっちがいい?」




1つは赤いラッピング、もう1つは青いラッピング。




『何が入ってるの?』

「開けてみてのお楽しみ〜」

『えー。じゃあ……こっち』




赤いラッピングのプレゼントを選んだ。

リボンを解いて中を見ると、パッと笑顔になった。




『イッキのぬいぐるみだー!』

「嬉しそう笑」

『可愛い!しかも私持ってないやつ!』

「赤か…」

『赤が何?』

「えっと。ちなみにこっちの青い方は」




中を開けると、あなたちゃんは悲しい顔をした。




「じゃーん」

『うたプリの……ピヨちゃーん!』




青いラッピングのプレゼントには、ピヨちゃんのぬいぐるみが入っていた。

どっちか悩んだ末、選ばせようという魂胆だった。




「ダーメ!」

『なんで!ピヨちゃん!』

「イッキ当てたでしょー」

『イッキ欲しいけど……ピヨちゃんも…』

「イッキ選んだんだから、イッキが運命だよ」

『ピヨちゃん…』

「ま、赤って言うのは赤のイッキだとイッキのセリフ言ってあげるっていうやつ。青のピヨちゃんだとピヨちゃんの歌をなっちゃんで歌ってあげるってやつ」

『どっちも聴きたい…』

「赤引いたからイッキのセリフかって。正直セリフの方が恥ずかしい」

『あーもー!ピヨちゃーん!』

「ピヨちゃんは歌わないよ?」

『ん、お願いしたら紀章さん絶対歌ってくれるもん』

「それはどうかなー?」

『だめ…?』




イッキのぬいぐるみで顔をちょっとだけ隠して、上目遣いでそんなこと言って

お願い叶えたくなるじゃねーかあざといな!




「……………………………分かったよもう…」

『んふふっ』

「イッキのセリフ、何がいい?」

『んーと、何にしよっかなぁ』




PlayStationのソフトからオプションを開いて、セリフを選んでいる。

豪華なものとか綺麗な物とかにしようと思ったけど、こういうプレゼントの方が嬉しそう。

なんてほのぼのしていたら、あなたちゃんはとんでもないセリフを選んできた。




「え…」

『言って!』

「えぇ…」




目の前に座ってイッキのぬいぐるみを膝の上に乗せて、ジーッとセリフを待っている。

クッソぉ…カッコつかねぇなぁ……

こうなったらやってやる。




「っ…」

『ぅわ!』




押し倒して、腕を組み敷いて

ガッツリ演技モードに入った。




「いい加減分かってるよね?君が好きなんだよ。本気で好きなんだ」

『あ…』

「出来るものなら一日中一緒にいて、抱き締めて、キスして、飽きるほど抱きたいんだよ!」

『っ…』

「…………満足?」

『まんぞくです…』

「そりゃ良かった」




うん。やっぱ何があっても恥ずかしい。




『イッキだぁ…』

「イッキだよ?」

『カッコいい…』

「俺本人はイッキじゃないからね?」

『んふふっ!』




デレデレしちゃって、可愛い。
















結局その後、ピヨちゃんの歌はなんとか歌わされることはなかったけど

ピヨちゃんのぬいぐるみは奪われ、ベッドでイッキとピヨちゃんのぬいぐるみを抱き締めながら

ぐっすり眠った。

お誕生日おめでとう。

生まれてきてくれてありがとう。

出会ってくれて、ありがとう。

あと俺も抱き締めて!








 

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