廊下を歩けば後ろから声がする
別にサボってる訳じゃないけど、彼が言うならきっと僕はサボっていたのだろう
決めつけとは怖いものだ、
やってる訳じゃないけど
別に彼の言葉は間違ってない、書類をするのは当たり前だから
当たり前が出来ない僕は一体何なのだろうかとつくづく思う
カツカツカツ
足音が聞こえる
僕の部屋に向かっているようだ
きっと仕事の事だろう
ガチャ
僕は、もう何も入っていないかもしれない頭のスカスカの引き出しをあけて、どれ位大事なのか探す
そう言って部屋を出てった
彼は僕より忙しい
なのに僕は休憩を言い訳にサボる
無能であり屑だ
その時部屋にコンコンと音が鳴った
入ってきたのはコネシマ達の部下だ
僕が返事をする前に入ってきたから注意したかったけど、そんな気力も残ってない
捨て台詞のように悪口を吐く部下に怒ることもしなかった
彼の方が仕事ができるのだ敬語で話さないのも悪口も当たり前当たり前
僕は使い始めて長らく経つ机に向かって腰掛ける
昔は綺麗な茶色だった木の机も、書類で隠され書類をどかせば綺麗な茶色とは程遠い赤黒く時間が経ち濃い茶色となった汚い汚ればかりだ
だけど、掃除しようとは思わない
これを見ると自分が今までどれほど無能で自分で勝手に傷ついたか形になって分かるから
少し楽になれる気がする
そして僕は、押し付けとも思えよう書類を黙黙と片付ける
休みたくなれば、机の引き出しから今じゃ相棒とも言える鋭く尖ったカッターを取り出す
昔は痛かった気もするが、今じゃ痛覚も無能なのか痛みも感じない
僕の傷は僕が頑張った傷だから
悪いのは僕で皆じゃない、僕は頑張んないでサボってる僕はみんなに見合ってない
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。