第6話

4,906
2018/04/15 13:31
まふまふ
アチッ
そらる
そんなガッつくなよ
付き合いの長いこいつの子供っぽい姿は、初めて見たかもしれない。

実はあの後、まふは泣き疲れたのか、俺の肩で寝てしまったのだ。……恥ずかしながら、まふに解放させてもらえなかった俺も、一緒に寝てしまったという失態を犯してしまった。
まふまふ
そらるさんも食べますか?
そらる
いや、いらない
まふまふ
ちなみに、おかわりあります?
そらる
ありません。お前もう熱下がったんじゃね?
まふまふ
いえ!ちゃんと熱ありますよ!
そらる
にしては元気な気が…
まふまふ
まだ病人ですよぉ!あ、ビール取ってきてください
そらる
元気だな
本当に元気なのか、はたまたただのアホなのか…そんなことは考えても意味がないと思い、俺は部屋を出て冷蔵庫へ向かった。
そらる
なぜ食材はギリギリで酒は多いのか…あいつ弱いだろ
初回のCDもらって見たけど、特典DVDでまふは酒に弱いことが判明した。多く飲むと何するかよくわからない。弱い時もあるし、強い時もある謎の男…。

嫌な予感を感じながらも、俺はビールを二本持ってまふの元へ向かった。
そらる
ほらビール
まふまふ
ありがとうございます。…って、これノンアルじゃないですか!
そらる
病人にはそもそも飲ませたくなかったけどね
まふまふ
嫌です!何日禁酒したと思ってるんですか!
そらる
どうせ一日だろ?…おわっ!?
俺がフタを開けてアルコールの入ったヒールを飲もうとすると、まふがサッと自分のノンアルと取り替えた。

そしてガブガブと飲む。
まふまふ
プッ、ハ〜!
そらる
この仮病人め
まふまふ
いやいや!ぼくはびょーにんでふよぉ?
そらる
酔うのはやっ!?
結構勢いよかったから、恐らく缶の中は半分──いや、半分以下くらいにはなつているのだろうか。

でも早い気がする。
そらる
もぅダメだ…水取ってくる──うわっ!
立ち上がって部屋を出ようとした、そのとき。俺の体は前にではなく、後ろへ傾いた。

流石に床に倒れると思って、反射的に目を瞑る──が、衝撃は無く、代わりに軋む音がして、体が小さく跳ねた。そして目を開けると、俺はまふに覆いかぶされていた。
まふまふ
そらるさん…
そらる
おま、流石に今はやめ──んんっ
俺の体をおさえるまふの手は熱く、吐息も熱かった。
まふまふ
そらるさん、顔赤いですよ?
そらる
いや、ンなわけ…ないって…
まふまふ
ふふっ、かわいいですね
そらる
ひゃっ!
まふは俺の首に顔を埋め、口を吸い付けてきた。

違うからな。これは──そう!まふの熱がうつったんだ!俺は断じて感じてなんかいない!

…なのに体は、どんどん熱を帯びていく一方だった。

プリ小説オーディオドラマ