第4話

ハット帽の男
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2018/07/31 04:20
時間が経ち、今は夜
ルカはソファーに座り、ニュースを見ていた
ルカ「… ねぇ碧月」
すると、急にルカが俺を呼んだ。なんだろ? と思いながら
碧月「ん?なに?」
と返事をした
ルカ「俺 ……. しばらく出掛ける」
碧月「え ……また?」
突然の言葉に驚いていると、真剣な顔で俺を見つめている。…… いや、真剣と言うよりかは、ピリピリしている感じの雰囲気。たまにこういう時があるが、その時のルカは少し怖くて俺は苦手だ
ルカ「 … うん 。ちょっと野暮用」
前と同じ理由 … 。5ヶ月くらい前もその前も、ルカはそう言って数日帰ってこなかった時期があった。ルカと出会って、一緒に暮らすようになって4年。ある日からルカは数ヶ月に1度か2度、居なくなる時があり始めた。理由は前に何度か聞いたことがあったけど、答えてくれなかった
碧月「 …. そっか。この頃多いね」
そう。去年あたりかな?その頃から居なくなる日が段々多くなっている
ルカ「まぁね」
碧月「いつ行くの?」
ルカ「ん ~ …… さっさと終わらせたいから … 今から
行こうかな」
少し考え、立ち上がるとそう言いながら服を着替え始めた。ルカの邪魔するのは駄目だなと思い、寂しいのを我慢した
碧月「…… そっか 」
ルカ「…ごめん。寂しい思いさせて」
俺が寂しいと思っているのを察したのか、そう言いながら俺の頭を撫でた。吸血鬼だからかルカの手は冷たい。でもどこか心地良い
碧月「ううん。大丈夫」
ルカの着替えが終わり、玄関へと向かう
扉を開けると、俺の方を向き
ルカ「俺がいない間は、気をつけるんだよ?知らない
人について行かないで、用事が済んだらすぐ家
に帰るようにね」
碧月「もう、ルカは俺のお母さんじゃ無いんだから」
ルカ「ははっ、そうだね」
ルカ「あ、忘れるとこだった」
そう言い、俺に近づいてくると俺の額にキスをした
ルカ「行ってきますのちゅーう」
碧月「… んなっ」
そう言ってクスッと笑うと、行ってきますと言って家を出た
碧月「い、行ってらっしゃい」
多分耳まで赤くなっていただろう
あれは不意打ち過ぎる!!そう俺は思った


リビングに戻ってくると、つけっぱなしになっているテレビを見た。殺人事件のニュースだ。その死体には、"首元に噛まれた跡"があったらしい
────家をあとにしたルカ────
ルカの目前にはハット帽を被ったスーツ姿の男が立っていた。目の色は血の様に赤い。鋭い牙が、月明かりに照らされてギラリと光る
??「やぁ、ルカ君。久しぶりだねぇ」
ルカ「 ……また来たのかよ。雑魚風情が俺の名前を気
安く呼ぶな。気色悪い」
??「おやおや。私を雑魚呼ばわりするなんて…
そこらの虫けらと一緒にしないで頂きたい」
ルカ「… はっ …似たようなもんだろ」
??「まぁ、こんな話しはどうでもいいとして…
まだ私と一緒に来るつもりは無いのですか?」
ルカ「何度も同じ事言わせんなよ」
??「ふむ …… 仕方が無いですね」

「…………… あ、そうそう
"大切なモノ"は、手の届く場所に置いておいた
方が良いですよ。ただてさえ我々を引き寄せる
のですから。ではまた」
ハット帽の男は、そう言い残すと姿を消した
ルカ「……大切なモノ?…………」
その言葉に、俺はなんとなくだが碧月が思い浮かんだ
ルカ「大丈夫……だよ…ね?」

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