"ガチャ"
彼が帰ってきたんだろう。
いつもなら彼の寝室で静かに待っているのだが、今日は何故だか今すぐに会いたかった、私を壊して欲しかった。
そんなこといつもなら思うはずないのに何故…?
私は玄関へ走った。
そして微笑む、
「おかえりなさい」
彼はニコッと笑って、私の顎を掴む
そして私の唇に彼の長くて細い人差し指が当たる
「ちょうどいい、これを着て来い」
「はい」
私は返事をして彼の寝室で着替えようとする為に向かおうとした
その時彼は私の手首を引っ張った。
「やっぱやめた」
彼はニヤニヤしながら靴を脱いで私の所へ近付いてくる
「俺が着させてやるよ」
私なんかに拒否権は無い
返事はただ1つ
「はい」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。