第253話

天沢くんは一言目がセクハラでしたから、
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2022/06/26 10:00
部活も終わり、帰り道。天沢は楪さんと、2人きりで歩いていた。

こう、頭の中で言葉にすると2人きりという言葉を何となく気恥ずかしく感じながらも、彼女の後ろ姿を見ながら歩く。
…ねぇ、天沢くん。
その声は、唐突なものだった。
今日は天沢くんと、出会った日なんですよ。
唐突な内容に驚いた。そんなの、意識していなかったし……
天沢
楪さんって記念日とか気にする系…?(俺結構忘れるから喧嘩とかなったら嫌なんだけど……)
あっ、やッ違います!たまたまお母さんの誕生日の次の日だったから覚えてるだけですから!
あぁ、なるほどと思うと同時。なにかとてつもない申し訳なさに駆られた。
天沢
俺はお母さんの誕生日の次の日にセクハラかましたのか……
wwww覚えてるんですね。天沢くんは一言目がセクハラでしたから、
少し俺をからかうような、愉快そうに笑う彼女がまた可愛らしい。

デートの日から思っていたけれど、前も良かったが、メガネをとったことによってより瞳がよく写って。それがまた、綺麗だ。
天沢
覚えてるって言うか…初対面の人にはだいたいセクハラしてたからなぁ…
………………うわぁ…
天沢
え、ガチ引きじゃないですか楪さん。
さっきの愉快そうな顔とは打って変わって「こいつ、、、」みたいな顔をされて内心焦る。
半眼とかですらなかった、目は見開いていたのに失望が伝わってきた。
…冗談ですよ、事情は知ってますしね。それにしても、純粋だった頃の私にとって天沢くんの発言は衝撃的でしたよ…
天沢
え、俺そんな変なこと言った?
うぅん…まぁあくまで昔の私にとってって話ですし、セクハラという前提があれば変では無いかもしれませんが……覚えてませんか?
天沢
………………まぁ。
いやいやいや、全員の女子の顔とセクハラ台詞を律儀に覚えませんよ、
なんて言おうとも思ったが…今は、その。彼女である楪さんなわけだし。あまりほかの女にセクハラした話はしたくない。まぁついさっきして「うわぁ…」って言われたばっかなのだが。いやだからこそだが。
じゃあモノマネします。
天沢
…………ほう…。
天沢
ん?…えッん?!モノマネ?!
「ゴホンッ……ンンッ」と楪さんが声を整え出すものだから、いっそう焦った。

モノマネ?楪さんが?俺のセクハラのモノマネ……だ…と。

ただでさえ自分が過去にしたセクハラのセリフなんて思い出したくもないのに、それを今の彼女、そのした相手にモノマネされるというのだ。
恥ずかしいやらなんやらでどうなるかは自分でも分からない。
……………………ふぅ…
…委員長ってさ、何色のパンツ履いてんの?






それはもう、見事なドヤ顔でありながら。しかもそのドヤ顔は俺の昔のクズを演じていた頃の顔を想像させる。
身振りまでつけながら、心做しか声を低くさせたようにも感じるが楪さんの地声で、「パンツ」という言葉が飛び出したことへの高揚感も重なりながらも、
自分の昔の黒歴史やその他もろもろの記憶が蘇り…………もう…なんというか…!
天沢
………………ボッ///
顔が真っ赤になる。



それが悪かったのかもしれない。
次回予告
次回、最終話第250話「元委員長ってさ、何色のパンツ履いてんの?」

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