あれから私の膝で目を閉じた彼は
本当に寝てしまった。
するとすぐに体を起こして
そう言って
彼はトイレに行った。
お風呂に入ったとき
思い出したくないものが頭に浮かぶ。
自分の感情が
どんどんわからなくなってくる。
でも、これだけは言える。
しっかり愛してあげよう、と。
そう考えたら
これから先がどうなるかはわからないけど
少し明るい気がした。
リビングで彼が待っている。
行かなきゃ。
少し冷えた体をよそにして、
急いでお風呂から出た。
リビングに彼の姿はなかった
作業部屋を開けると
彼はパソコンに向かっていた
仕事の急用が入ったのだろうか
彼は真剣に画面を見ていた。
ちょっと寂しさが残るまま
テレビを見ているが
内容が全く理解できない。
40分が経ってもぼーっとしたまま。
なんでだろう。
それから30分が経って
彼が部屋から出てきた。
彼は私を見ながら
名前を呼んでいる
なんらかの我慢の限界だった。
彼は優しく微笑んだのか
嬉しそうに笑ったのか忘れたが
そう言ってお風呂に入った
お風呂から上がった彼は
どこか色気があった。
髪から落ちる雫、
シャツから見える鎖骨に二の腕。
いつも見ている首筋までもが
どこか男らしさを感じた。
ドライヤーを髪にあて
サラサラになるまで乾かした
今の時間は
23:30
また仕事が入ったのかな。
行動も甘えたさんになってしまったのか。
そう思ったが、中身は獣だった。
あれから体を重ねた
何度も何度も
何かを確かめるように
一度だけその言葉が聞こえた。
嫉妬してるんだね。、
私だって、今日あなたが仕事してるとき
嫉妬したんだから。
なんなら、人にじゃなくて
仕事に嫉妬してるんだから。
私の方が異常だ。
でも、その言葉よりも
その言葉のほうが
何十回も何百回も私に降ってきた。
彼も仕事に連れて行って
ずっと隣にいて欲しいと思った
翌日の朝だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。