なんて場合ではなくて。
割れたカップを拾っていると
手が切れた。
痛い。痛い。
チクチクする。
手も、心も全部。
あなたはいじわる。
私をどうしたいの?
壊したいの?
好きって気持ちはどこに捨てればいいの?
変な感情がどんどんどんどん
芽生えてくる中
心の器が小さくて。
表面張力では追いつかなくて、
溢れていく。
うずくまって泣く私を見て
彼が怒りだす。
そのまま手を掴んで
洗面所に連れていかれた。
目がとろんとして
頬も赤い彼が
私を心配する。
真剣に。素直に。
親指でさっと涙を拭かれ
訳もなく、目的もなく、
外に出た。
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ミンギュside
体調を心配して仕事も休んでくれて
リビングにいた彼女が
どうしてこんなに泣いているのか
訳がわからなかった。
床にガラスの破片を散りばめて
手をちょっと赤く染めて泣いていた
原因は
絶対あの人だ。
外の空気を吸った方がいい。
それは素直にそう思った。
彼女に俺の携帯を持たせた。
その間に彼女の携帯を開いて
着信ボタンを押そうとする前に
メッセージを
見てしまった。
「俺 は 社 員 の あなた も 必 要 。
で も 、 お っ ぱ の あなた の 方 が
も っ と 必 要 な ん だ よ ? 」
笑わせないで欲しい。
いつ
どこで
あなたのあなたになったのか。
迷う暇もなく
着信ボタンを押した。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。