ブレスレットの着いた方で
私の指を絡めてつなぐその手は
細いけど大きかった。
最近たくさん言われている
彼のすきは
前から知ってる
手を引かれ向かったのは
いつもの彼の作業部屋。
ちょっとだけ
恥ずかしそうにする彼がかわいかった。
どんな返事をしようかな
そう考えていると
そう言われて
私を襲った。
強いけど
その中の優しいもの。
彼に飲み込まれるのは
苦ではなかった。
私も彼を受け入れ、
彼もすぐに受け入れていた。
包装を破り
彼は自分の口に含んでから
私の口にうつしたんだ。
彼は今日
チョコレートくらい甘かった。
冷蔵庫に入れ忘れた
ドロドロのアイスを持って
202に帰った。
その後
私もお酒を飲み始めたが
酔わなかった。
酔えなかった。
ずっと絡む指。
繋がれた手。
すると彼が耳元で
と言うから
私は
そう返した。
流したものの
身体の熱は治まることなく
一日が終わった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。