額に手を当ててみると
私の名前を呼び放って
私に抱きついた
何かを悟ったのだろうか。
とても必死だった。
彼の顔に手を添えて
こちらを向かせると
寂しくて。
不安で。
そんな表情だった。
急に泣きそうな顔になるから
こちらが余計心配になる。
急に目つきが変わった。
私をもう一度強く抱きしめて
キスをした。
変な言い訳をされながら
彼に飲み込まれていく。
最初は今にも泣きそうな
子犬のようだったのに
全然違う。
ポかポカポカと
彼の頬が赤くて
目はうつろ。
熱が上がったのかな?
自分の欲求か、
熱が出てるから寒いのか、
どちらを信じようか。
やっぱりね。
その日
私は、私の意思を持って
彼に身体を預けた。
適当に生きる。
そう決めたんだ。
彼に愛される。
それだけでもいい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。