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ウォヌside
平然としているように見せつつ
心ではとても怒っている。
チクッと刺さる。
でも、負けてられない。
その困惑している顔。
嘘にも聞こえるが
これは事実。
あなたの会社は社内恋愛禁止で有名。
だから、付き合っているカップルは
自ら辞めるか、辞めさせられるかしてる。
新入社員じゃない俺が、
どうして知っているかと聞かれると
2年前までそこに務めていたから。
そして自ら辞めた。
付き合ってる人がいたから。
でも、別れた。
あなたに出会ったから。
涙をこらえる彼女。
ごめんね。
でも、部長のため、
あなたのためでもあるから
教えてあげてるんだ。
別に悪いことはしてない。
泣いている彼女の傍へよって
抱きしめてあげた。
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あなたside
確かに付き合ってる人の噂なんて聞かない。
会社の人に
そう聞かれて、いませんって答えたら
あぁ、そう言うことだったのか。
あの日の言葉をやっと理解することが出来た。
部長、なんで言ってくれないの?
いけないことしてるじゃん、
私たち。
好き。
好き。
大好き。
わかってる。
でもいけない。
どうしたらいい?
これは自分勝手は通じない。
言いたくない言葉を口にして
涙を流して
落ち着かせた。
あと20分で昼休憩が終わる。
抱きしめてくれる彼の胸の中で
静かに目を閉じる。
目を開けたら違う世界だといいのに。
誰もいない
私だけの。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!