玄関の先の廊下で
服を脱がそうとする彼と
泣きじゃくっていた私が固まる。
彼女が玄関を開けて
私たちを見ている。
そう言って
靴を履いたまま
私に近づき
私は頬を叩かれた。
急にドアが
閉まったと思ったら
おっぱは彼を見ていた
私は203に飛び込んだ。
みんなを置いて。
私だけがこんなに辛いと思っていた。
でも、彼も辛かった。
おっぱも、どこかで辛かっただろう。
そして、彼女も辛かったんだ。
あの二人が帰ってから
彼は帰ってきた。
好 き な ん だ
ず っ と ず っ と 好 き な ん だ 。
頭に浮かぶ
彼の言葉。
いつか絶対に忘れられる
そう思いたい日々がずっと続いている。
彼は私が眠るまで
ずっと起きていた。
私が泣くのをやめるまで
ずっと背中を撫でてくれた。
そして私が寝てからも
抱きしめてくれていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!