次の日は
5:30起床。
ちょっと焦げちゃった卵焼き。
タコさんウインナー。
マカロニグラタンを小分けにして、
サラダも入れて、
おにぎりも握って、
小さなメッセージカードに
「ミンギュ
い つ も あ り が と う 。
あなた」
こっそり忍ばせて
お弁当入れにいれて、
机の上に置いておいた。
彼を起こしに行くのは初めて。
彼も寝起きが悪いもんだ
人の事言えないじゃんか。
彼を揺すって、
起こした。
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ミンギュside
夢かな。
彼女の起こす声。
なんか、いいなぁ。
この感じ。
彼女に起こしてもらったのは
初めて。
重たい体を起こして
朝ごはんを食べる。
机の上には
いつものお弁当入れ。
そうだ。今日は
中身が違うんだ。
彼女が作った
愛 妻 弁 当
とでも言ってしまおうか。
出勤して、昼が待ちきれなかった。
お弁当入れのファスナーをあけると
メッセージカードが一枚。
「ミンギュ
い つ も あ り が と う 。
あなた」
お弁当を開ける前に
お腹がいっぱいになりそう。
開けてみると、すごいおいしそうだった。
いや、美味しかった。
ちょっとだけ、焦げた卵焼きも
とっても美味しかった。
たまには作ってもらおうかな。
今日の昼休憩は
特別な昼休憩だった。
心の片隅で、
あ の 男 に は 渡 せ な い な 。
渡 し た く な い 。
そう思っている。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!