心当たりひとつ。
憶測が飛び交う。
でも、絶対に彼女が関係していると思う。
心にもないことを言う。
それはダメだ。
彼な何かあるなんて、絶対に嫌。
そんなことになってしまったら
私は彼女を許さないし、
そんなことになってしまった彼にも
少し怒るだろう。
やっぱり、もう一度。
彼が欲しい。
彼とまた良い意味で、巡り会えるように。
ピーンポーンとインターホンがなり、
ドアをあけると
人がひとり。
あの日、あの女の人が来たこと。
別れろ言われたこと、
じゃないと、私が危ない目にあうから
彼は意を決して、別れを決断したこと。
全てを聞いた。
私が彼女に会いに行けば
彼がどうなるか。
彼に会えば
私がどうなるか。
私なんかどうなったっていい。
でも、彼が傷つくのは許さない。
私は彼がリビングにいるのを見計らって
こっそりと、音を立てず
作業室に入った。
この香り、このベッド。
大切なものばかり。
私の大好きな場所。
ブーッ と携帯がなった。
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私の中で、何かが始まった。
彼にとってはお節介かもしれない。
でも、いいでしょ。
最後の意地悪させてよ。
これでお互い
好きになるか
嫌いになるか。
ど っ ち 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!