突然不安そうになる声
今返事をしてしまったら
もう戻れないような気がして。
私はキスをして誤魔化して
彼の口を塞いだ。
どんどん深くなるキス。
スーツのボタンを
ひとつひとつ取られていく。
急に
ぐーと鳴るお腹の音。
一瞬固まった。
私が出した答えは
結局まだ蹴りをつけれていない。
ホテルから出て
近くのご飯屋さんに食べに行った。
全部美味しくて
お腹はパンパン
コンビニによって
アイスを買ってからホテルに帰った
私に抱きついた彼。
ギュッと強く抱きしめられた。
彼らしい答えだと思った。
目を丸くした彼。
すると少し微笑んで
私にキスをした。
これも彼らしい答えだと思った。
そのままお風呂に行こうとしたが
離してくれない。
お、怒り出した。
抱かれたまま
どんどん顔との距離が近くなって
恥ずかしくなった。
「 今 だ け ね 。」
心の中でそう言い聞かせた。
言ったらすぐに
口を塞がれた。
ニコニコしながらキスをしてきた。
寂しかったのかもしれない。
もう一度
ボタンをひとつひとつ取られていく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!