たとえ勘づかれても知らせない。
壮馬まで巻き込んではダメだ。
このまま、やり過ごせるかな………
そう思った矢先、
もう知られちゃってたか……
そこまで知ってたか…
もし壮馬が真実を知って萌愛莉の所に行くような
ことがあってはならない。
ここは心を鬼にしてでも止める。
知られてしまったって関係ない。
壮馬は信じられないというふうに私を見て、
嘘。こんなこと思ってない。
本当は今すぐにでも終わらせたい。
でも自分で止めたいの。
あやねるのために。
ために?
私はあやねるの気持ちを聞いてない。
勝手に、自分で萌愛莉に復讐したいって思っただけ。
あやねるの為なんかじゃない。
自分の為だ。
私がしようとしている事は、ただの自己満足だ。
自己満足で、他人に攻撃しようとしている。
自分の愚かさに気づいて、腹が立った。
いきなり態度が変わった私に戸惑っている壮馬に、
私はこれまでの全てを話すことを決意した。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。