第7話

Story4
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2021/05/14 15:47
そして出発の日




制服、下着、筆記用具、ノート…その他もろもろ




必要最低限の物をトランクに詰めた




トランクと言っても、手提げカバン型の物だ




お気に入りの本を最後に入れて、トランクを閉じる




自室に鍵をかけ、外に出ると




5台の馬車があった




黒い影のような馭者




寮カラーと金色を基調にしている




白馬は時折足踏みをしている
ジュリア・フィアス
ジュリア・フィアス
っひゃー……相変わらず贅沢…………
ラウェル・フリーナ
ラウェル・フリーナ
そうかな?
まあ確かに、1人あたりとしてはおっきいよね
シャナル・ミドリア
シャナル・ミドリア
滅多に使わない割に……か
黒い馭者
お荷物……預かり……ます………
あなた

え、あ……どうもありがとう

シャナル・ミドリア
シャナル・ミドリア
……喋ったらさらに不気味だろ?
あなた

シャナル先輩は……
お話されたことあるんですね

シャナル・ミドリア
シャナル・ミドリア
まあ、去年から寮長というのもあるが、
警護隊として馭者管理は時々あった
警護隊




運動能力や分析力が優れた生徒で構成される




主に校内の警護を担当する




襲撃があれば、授業中だろうと緊急収集




確か……私が1年の時に野生のドラゴンが接近したことがあった




あの時の警護隊がかっこよかった記憶がある
黒い馭者
お乗り……下さい……
あなた

ありがとう

確かに不気味だけど、動作は上品




場所の扉を開け、手を差し伸べてきた




シャナル先輩によると、これは人ではなく




魔獣の仲間……らしい
あなた

(初めて馬車に乗ったけど……
クッションすごくふかふか………)

黒い馭者
ここから……賢者の島まで……
7時間……です………
黒い馭者
お手洗い……お食事……お飲み物……
全て……常備……してあります……
黒い馭者
ご自由に……お使い……ください……
あなた

ええ、そうさせてもらいます

パタンと扉が閉められる




現在時刻午前8時




到着の頃は放課後だろう




窓の外を眺めていると、ガタンと場所が揺れる




途端に、景色が後ろに流れて行った




初めての景色に、僅かに興奮した
あなた

こんなに早いのに全く揺れない………すごい……

何時間見ても飽きないだろう




実家の近所や学校内以外は見たことがなかった




お昼を過ぎてお腹が鳴るまで、時が過ぎるのに気づかなかった




ちなみに、ノーブルシャドーカレッジがあるのは




賢者の島の離島だ




離島と言っても、絶海の孤島という訳では無い




海は、学校から少しだけ見たことがあった




だけど今は、海の上を馬車が入っている




少し窓を開ける




潮の匂いの飛沫が馬車の中に入ってくる




懐かしい故郷の匂いがした




私は直ぐに、窓を閉めた




そして、昼食のハムのサンドイッチを手に取り




パンの端っこを小さくかじった

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