第60話

2-35
665
2021/09/05 05:26
翔也
翔也
あっカブトムシ
翔也が木を覗き込む。
侑
えっどこどこどこ???
侑ちゃんが走り寄る。



日が傾きかけたからか、神社から連なる提灯にあかりが灯り始めた。
あなた

どうしたの?

急に立ち止まり神社への階段を見つめるあや
あや
あや
んっ、なんでもない
近づかなければ大丈夫だから
あやは階段上の境内を見つめた




一緒に遊ぼう・・・


あなた

えっあやちゃん何か言った??

あれ?虫の音が聞こえない

さっきまで、大合唱していたカエルや蝉の鳴き声も今は全く聞こえない。




振り返り、声をかけながらあやに近づく
立ち尽くすあやの視線は不自然に曲げられた
自分の指を見つめていた
まるで何かを握っているかのような手を



あやが手を引かれるように足を踏み出した。


虚な視線、あなたの声は届いていない。
あなた

待って!どこに行く気!?

慌てて肩を掴んだ
あや
あや
あれ?
・・・私??
侑
どうしたの〜
と侑がもどってくる
あなた

うわっ!

急に蝉がぶつかってきた
あなた

せ・・せみ?

飛んできた方を見れば、小さな男の子が
走り去っていく後ろ姿が見えた気がした。


急に虫の音が鳴り出す
あや
あや
大丈夫!?
侑
セミ飛んできた??
侑ちゃんが顔を覗き込んでくる。
奨
そろそろ、買い物行こう!
蓮
お土産見る時間なくなっちゃうよ〜
侑
はーい!
それにしてもさっきから、蝉うるさすぎ!!
侑ちゃんはまた私達の手を繋ぎ歩き出した。
あなた

さっき虫の鳴き声止んだよね?

侑
え〜?ずっとうるさかったよね
あや
あや
うん、特に蝉が
とあやも微笑んでいた。

プリ小説オーディオドラマ