雨が降り続く中、
武装探偵社───
唸り声をあげて机に突っ伏したまま動かない太宰に、国木田は手帳でぺしんと叩く。
小さく「痛っ」と聞こえたかと思うと、太宰は漸く上半身をあげる。
再びだらける太宰に国木田が舌打ちをしていると、その机の横へあなたが現れた。
少し予想外の返事だったのか、太宰は少し目を見開いた後、優しく呟いた。
外は流石と云うべきか中々の豪雨だ。
もちろんこんな中で探偵社に依頼人が来るはずもなく、社員の谷崎と敦は暇を持て余していた。
国木田が呆れながら机に積まれた書類を指さす。
そこには少し触れるだけで倒れてしまいそうな書類の山があった。
その山を見るなり、太宰は更にだらけ始める。
柔らかそうな白いタオルを手に、与謝野はあなたへ声をかける。
あなたの金色の髪を一束手に取り少し眺める。
そう云っている間にも、与謝野は黙々とあなたの髪を乾かしていく。
使い終わったタオルを畳みながら、与謝野はそう微笑むのだった。
髪を乾かしてもらった後、すぐに太宰のもとへ駆け寄ったあなたは、太宰へ声をかける。
太宰は少し、「うーん………」と悩んだ末、自分の隣を指さし、
太宰は満足そうに微笑むと、
少し嫌そうに書類の山へと手を伸ばした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。