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第5話

人生万事塞翁が虎
僕の名前は中島敦。
故あって、餓死寸前です───。
〖お前など孤児院にも要らぬ!〗

〖どこぞで野垂れ死んだ方が世間様の為よ!〗

孤児院で云われた言葉が蘇る。
中島 敦
中島 敦
(五月蝿い...!)
中島 敦
中島 敦
(僕は死なないぞ...!)
中島 敦
中島 敦
(よし、この次に通りかかったやつを襲って、そいつから金品を奪ってやる...!!!)
バッ(川から気配っ!)
敦が振り向くと、そこには人が川に流されていた。
中島 敦
中島 敦
いや...流石に此れはノーカンでしょ...
どんどんと流されてゆくその足を、烏が止まってつついている。
中島 敦
中島 敦
ノ...ノーカンに...!!!

.........ええい!
結果的に人命救助をした、中島敦。
中島 敦
中島 敦
あ、あの...川に、流されてましたけど...?
恐る恐る男に尋ねる敦。

ギロッ...!

急に男の目が開かれた。

敦)ビクーーーー!
太宰 治
太宰 治
助かったか...チッ
思いっきり舌打ちをする男。
中島 敦
中島 敦
(え、今、チッって云わなかった!?)
太宰 治
太宰 治
君かい。私の入水を邪魔したのは
中島 敦
中島 敦
そんなっ!ってえっ!じゅ...入水!?
敦は驚きで飛び跳ねた。
太宰 治
太宰 治
知らんかね。入水───自殺だよ
何事でもないかのように云う男。
中島 敦
中島 敦
えっ、じ...自殺!?
太宰 治
太宰 治
だが、まぁ。人に迷惑をかけないクリーンな自殺が私の心情だ。今回の事は私の落ち度。何か詫びなければいけないね───
中島 敦
中島 敦
(え、なに!?クリーンな自殺ってなに!?)
You
You
───治、やっと見つけた
敦が心の中でツッコんでいると、後方から少女が走ってきた。
太宰 治
太宰 治
おお、私の愛しいあなたじゃあないか。
私を探してくれたのかい?
少女が男の元に駆け寄ると男はさぞかし嬉しそうにへにゃりと笑う。

少女は黙ったままこくんと頷いた。

その様子が可愛くて仕方がなかったのか、男は少女の頭をにこにこしながら撫でまくった。
敦)ぐうううう...!

突然敦の腹の虫がなった。

太宰 治
太宰 治
少年、空腹なのかい?
撫でる手を止めずに男が問う。
中島 敦
中島 敦
実は数日前から、何も食べてなくて...
男)ぐうううう...!

男の腹からもだ。
太宰 治
太宰 治
奇遇だな。私もだ
中島 敦
中島 敦
そ、それじゃあ...!
───男が奢ってくれるのではないか?
そんな考えを少しでも持った敦は考えが甘かった様だ。
太宰 治
太宰 治
因みに財布は、川に流されたようだ
敦は項垂れた。
其処に...
国木田 独歩
国木田 独歩
こんな処におったか唐変木!っ、あなたまでっ!
川の向かいから一人の男が叫ぶ。
太宰 治
太宰 治
国木田くーん、ご苦労さまぁ!
男が呑気に返す。
国木田 独歩
国木田 独歩
何がご苦労様だ、この自殺嗜癖!苦労は全てお前の仕業だ!お前はどれだけ俺の計画を乱せば気が済むんだ!
等と川の向かいの男は叫んでいるが、そんなことは少しも気に止めていない男。
太宰 治
太宰 治
そうだ。いいことを思いついた。彼は私の同僚なのだよ。彼に奢ってもらおう!
男はポン!と手で合点して云った。
You
You
それ、良い
少女も賛同した。
国木田 独歩
国木田 独歩
人の話を聞けや!!!!!
またも川の向かいから怒鳴り声が聞こえてくるが、矢張り気にしない。
太宰 治
太宰 治
少年、名前は?
中島 敦
中島 敦
中島...敦ですけど
太宰 治
太宰 治
では、着いて来給え敦君。何が食べたい?
中島 敦
中島 敦
あの、出来れば...
敦は遠慮気味に話し出す。
太宰 治
太宰 治
なァに、遠慮は要らないよ
中島 敦
中島 敦
茶漬けが...食べたいです
敦の言葉に男がぶはっと吹き、笑う。
太宰 治
太宰 治
いいよ!国木田君に三十杯くらい奢らせよう!
You
You
賛成
国木田 独歩
国木田 独歩
俺の金で太っ腹になるな太宰!
すかさず川の向かいからツッコミが飛んでくる。
少女の呟きは幸い耳に届かなかった様だ。
中島 敦
中島 敦
太宰...?
太宰 治
太宰 治
ああ、私の名だよ。私の名は太宰、太宰治だ
男は此処で漸く自己紹介をする。
太宰 治
太宰 治
そして、この愛らしい子が、あなただ
あなたの頭の上に手を乗せながら、云った。
You
You
...よろしく
あなたは矢張り無表情なまま、無愛想ながらも応えた。