第13話

或る爆弾-其ノ参
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2019/08/23 12:09
国木田 独歩
国木田 独歩
おぉ、そうだ!
太宰の馬鹿を相手にして、一分も無駄にしてしまった
国木田は漸く要件を思い出した様。
国木田 独歩
国木田 独歩
探偵社に急ぐぞ!
太宰 治
太宰 治
何でぇ?
国木田 独歩
国木田 独歩
緊急事態だ。爆弾魔が人質を持って、探偵社に盾籠った
太宰の表情が段々と険しいものになる。
中島 敦
中島 敦
爆弾魔···!?
───処を変え、赤を基調とした煉瓦造りの探偵社が入っているビルヂング前···
中島 敦
中島 敦
あの···
国木田 独歩
国木田 独歩
何だ。探偵社はこのビルの四階だが
中島 敦
中島 敦
否、そうゆう事じゃなくて···
太宰 治
太宰 治
念の為に、階段で行こう
中島 敦
中島 敦
あのですね···!!!
国木田 独歩
国木田 独歩
静かに!!
中島 敦
中島 敦
済みません···
太宰 治
太宰 治
行くよ、敦君···!
中島 敦
中島 敦
はい···?
You
You
···
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
嫌だ···もう嫌だ···

全部お前等の所為せいだ···

武装探偵社が悪いんだ···!!!
四人はそこそこと入り、近くの植木の影に隠れる。
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
社長は何処だ···
早く社長を出せ!

でないと、爆弾で皆吹き飛んで死んじゃうよ···?
猿轡を噛まされた少女が、机に座る爆弾魔の足元に座り込んでいる。
太宰 治
太宰 治
怨恨か···面倒な性質タイプだねぇ···
国木田 独歩
国木田 独歩
ああ
You
You
うん···
中島 敦
中島 敦
僕は何故此処に居るんだ···?
国木田 独歩
国木田 独歩
探偵社は余程、探偵社に怒り心頭らしい
中島 敦
中島 敦
役に立ちそうも無いので帰っていいですか···?
敦は一刻も早くこの場を去りたいが···
太宰 治
太宰 治
うちは色んな処から怨み買うからねぇ···
中島 敦
中島 敦
無視ですか···
生憎他三人は全く以てスルーである。
太宰 治
太宰 治
それに在れ、高性能爆薬だよ。、

犯人の云う通り在れが爆発すれば、このフロアぐらい簡単に吹き飛ぶね
中島 敦
中島 敦
そんなぁ···
太宰 治
太宰 治
爆弾に何かを被せれば、ある程度は防げるかもしれないが、此の状況じゃあねぇ。 

それに女性を人質にとるとは···卑怯な
中島 敦
中島 敦
あの女の子は?
太宰 治
太宰 治
彼女はナオミちゃん。バイトの事務員さんだ
中島 敦
中島 敦
バイトさん!?それじゃあ完全にとばっちりじゃないですか···!?
You
You
(···本人は喜んでるみたいだけど。
というか、ナオミさん迫真の演技···)
国木田 独歩
国木田 独歩
どうする?
太宰 治
太宰 治
会わせてあげたら?社長に
国木田 独歩
国木田 独歩
殺そうとするに決まっているだろう···!

そんな処にむざむざと社長を出せるか!
出張中で良かった···
太宰 治
太宰 治
となると、方法はひとつ
You
You
(ああ、私やらなくて良いか···)
太宰が右手を構える。

国木田も続いて手を構えた。
中島 敦
中島 敦
(異能力を使うのか···!?)
「「───はッ···はッ、はッ!!!」」
ポン、ポン、ポン
───否、両拳ジャンケンだった。

勝負は太宰の勝ち、国木田の負け。
太宰 治
太宰 治
にゃははははは〜
国木田 独歩
国木田 独歩
くッ···!
太宰 治
太宰 治
ほれほれ〜、ほれ行け〜
国木田 独歩
国木田 独歩
───おい
国木田は爆弾魔の元へと向かった。
国木田 独歩
国木田 独歩
落ち着け少年
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
来るな!
社長以外に用はない!
爆弾魔は爆弾のものであろうスイッチを、国木田の方に見せながら構える。
You
You
(谷崎さんも迫真の演技だ···)
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
妙な素振りを見せたら···吹き飛ばすよ!
国木田 独歩
国木田 独歩
解った
国木田は両の手を上げて、降参の格好ポーズをとる。
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
知ってるぞ···あんたは国木田だ···

僕を油断させて、あの嫌味な異能力を使うつもりだろう!

そうはいかないぞ···!

机の上に四つん這いになり、両手を見える処に置け!
国木田 独歩
国木田 独歩
あ?
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
ひッ···ゆ、云う通りにしないと、皆道連れだぞ!
国木田 独歩
国木田 独歩
···はぁ
国木田は諦めて近くの机の上に四つん這いになった。
太宰 治
太宰 治
───不味いな。

探偵社に私怨を持つだけあって、社員の顔と名前を把握している。
これでは社員の私やあなたが行っても、彼をしげきするだけだ。

···説法、どうしたものか?(チラッ)
中島 敦
中島 敦
(ギクッ!

今なんか、猛烈に嫌な予感が···)
敦が太宰の方を見ると···
太宰 治
太宰 治
あーつーしーくーん
中島 敦
中島 敦
嫌です···!
太宰 治
太宰 治
未だ何も云ってないよ?
中島 敦
中島 敦
云われなくても分かります!
太宰 治
太宰 治
聞いてくれ、敦君。

社員ではなく、犯人に面が割れていないのは君だけだ。
中島 敦
中島 敦
···でも。
僕が行っても、何も出来ませんよ···!
太宰 治
太宰 治
あなた、用意して
You
You
解った
太宰に何かを云われたあなたは、こくんと頷きコソコソと後ろの方に行った。
太宰 治
太宰 治
大丈夫。
少しの間、犯人の気を逸らしてくれればいい。
後は我々がやるから···そうだなぁ、君なら、相手の意表を突く様な落伍者の演技でもして、気を引くというのはどうだろう?
You
You
はい、小道具
そこで敦はあなたから新聞の束と白い襷を渡される。
太宰 治
太宰 治
信用し給え。
この程度の揉め事、我々探偵社にとっては朝飯前だよ、敦君?
中島 敦
中島 敦
はぁ···

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