試合観戦で盛り上がり、愚痴も全て出きって、
お二人は泥酔して寝てしまった。
私は、お酒には強い方だし、
二人に毛布を掛けて、お風呂に入り、
洗い物をして、テキパキと家事を進めた。
どうせ、明日は休み。
明後日からはまた、日本代表の専属医師として、
皆に会えるんだし。
それが、世界大会で優勝してか、はたまた、
準優勝かは分からないが、
どちらにせよ、もう日本としては快挙だ。
さて…私も寝なければ。
家の扉にはしっかり鍵を閉めたのを確認して、
お二人が酔って外に出ないようにする。
にしても、綺麗な二人なのに、
どうして彼氏様が居ないのだろう…
お似合いな方が二人ずついらっしゃるのに…
あぁ、こんな部外者の私が口出すことではないか。
きっと、これからなんだから。
私も恋をしてから恋話に詳しくなったな…
と思いながら、眠りについた。
次の日。午前7時。
少し眠りすぎたか────
朝ごはんは何にしようか考えて、リビングへ。
リコさんは、凄い格好で寝て、布団は部屋の端に。
さつきさんは、寝ていた場所から離れ、
キッチン近くまで来ていた。
私はその二人を元の状態に戻して、
カーテンを開き、日が射し込む。
今日も晴天、青い空が広がっていた。
二人は朝ごはんを作れば起きるかなと思うから、
起こさず、料理を始めた。
まぁ、簡単な朝ごはん。
サラダと目玉焼き、油少なめの鮭。
塩分控えめのお味噌汁のご飯。
一般的だけど、栄養バランスを考えてある。
作り終わってテーブルに並べていると、
スマホが鳴った。
何かと思うと、
良かった、助かった。
二人を送るのは大変だから。
待てよ…このままお二人が起きないと、朝ごはん、
どうしようか……
とりあえず、サラダ達はラップしておこう。
二人は熟睡中だし、邪魔は出来ない。
そして、朝のニュースで飛び込んできたのは、
〝日本、アメリカに破れ準優勝〟
残念なことの筈だが、日本的には快挙らしく、
大々的に報道されていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!