第13話

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2022/12/29 04:09
小さな女の子

女の子は首を少し横に傾ける
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
こんなところで
夜中に1人で何してたの?
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
パパやママはどうしたの?
小さな女の子
お母さんは…
小さな女の子
お母さんは…もう私いらないって
フェネス・オズワルド
え?
ハウレス・クリフォード
まさか家を追い出されたのか?
小さな女の子
……。
ムー
ひどいです!
こんな小さな子になんてことを…!
小さな女の子
わたし…。
もうすぐでタヒぬの…。
アモン・リード
タヒぬ?それはいったい?
小さな女の子
……いっそ、
あのまま天使に消された方がよかった…
アモン・リード
イザベラちゃん…
ハウレス・クリフォード
アモン。今はこれ以上話を聞くのはやめておこう
ハウレス・クリフォード
可哀想に…。
まだこんな小さい子に辛い思いをさせるなんて…
ムー
元気にしてあげたいですけど…
いったいどうすれば…
フェネス・オズワルド
うーん…あ!そうだ!
ボスキ・アリーナス
どうした?フェネス?
フェネス・オズワルド
ねぇ イザベラちゃん
これから俺が良いところに招待してあげようか
小さな女の子
良いところ?
フェネス・オズワルド
うん。きっと気に入るはずだよ
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
今から何処に行くんだ?フェネス
フェネス・オズワルド
フフ 秘密です 着いてきてください

私達はフェネスに着いていくことにした

辿り着いた場所は 中央の大地 森の草原
小さな女の子
ここが…いいところ?
フェネス・オズワルド
そうだよ
小さな女の子
こんな森の草原にいったい何が…?
フェネス・オズワルド
今夜は新月だからね
あ!ほら、もうすぐだよ

するとフェネスが女の子の隣に膝をつき
女の子の視線を誘導するように地面を指差す


その直後 地面から無数の青白い光が浮かび上がった
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
綺麗だな
ムー
とても幻想的です!
フェネス・オズワルド
新月の夜にサナギから羽化する夜月蝶よづきちょう
この森は夜月蝶が多く生息している場所なんだ
小さな女の子
これ…全部蝶なの?
フェネス・オズワルド
うん、そうだよ
小さな女の子
綺麗…
小さな女の子
こんなに美しい景色見たことない
フェネス・オズワルド
草原を歩いてみたらどうかな?
近くで見るともっと綺麗だよ
小さな女の子
…うん

女の子は一歩一歩足を踏み入れる
小さな女の子
凄い!凄い!
まるで星の中を歩いてみるみたい!
ボスキ・アリーナス
楽しそうだな

私達は女の子が楽しむ姿を眺めていた
アモン・リード
やっと笑ったっすね!
フェネス・オズワルド
どう?少しは元気出た?
小さな女の子
…うん
フェネス・オズワルド
実はさ…俺は子ども頃
親に捨てられたんだ
小さな女の子
え?お兄ちゃんも?
フェネス・オズワルド
うん。イザベラちゃんと
同い年くらいの頃だったかな
フェネス・オズワルド
俺と姉さん。俺たちは両親に捨てられて
路頭を迷っていた
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
フェネス・オズワルド
だからイザベラちゃんの気持ち…
少しは分かるんだ
フェネス・オズワルド
両親に捨てられて心にぽっかり
穴が空くような喪失感
フェネス・オズワルド
当時の俺もどう生きていけばいいのか
分からなくて不安だった
フェネス・オズワルド
きっとイザベラちゃんも
今、不安なんだよね?
小さな女の子
……
フェネス・オズワルド
お母さんに酷いこと言われて
キミの心は今とても傷ついている
フェネス・オズワルド
俺も…
同じだったから…わかるよ。
小さな女の子
お兄ちゃん…
フェネス・オズワルド
けどね、昔俺の姉さんが教えてくれたんだ
フェネス・オズワルド
「今は辛いことばかりだけど…
まだ出会えていないだけ」
フェネス・オズワルド
「きっと楽しいことや嬉しいことは
これから沢山あるんだよ」って
小さな女の子
楽しいことや嬉しいことが…沢山?
フェネス・オズワルド
そう。その証拠に俺は今こうして
仲間に囲まれて大切な主様と楽しい日々を過ごせてる
フェネス・オズワルド
だから、イザベラちゃんも
どうか元気出して

大丈夫。キミはきっと幸せになれる
フェネス・オズワルド
俺の言葉じゃ頼り無い
かもしれないけど、
フェネス・オズワルド
キミにはここに居る皆がついてるから
小さな女の子
お兄ちゃん…
小さな女の子
うっ…うっ…

私達はフェネスと女の子を
何も言わず見守っていた

フェネスの話を聞いていた女の子は
落ち着いたのか涙を流していた
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
こっちにおいで

膝をつき 両手を広げ
女の子に呼びかけると

女の子はこちらに向かってきた
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
辛かったな ヨシヨシ
抱きしめ頭を撫でる
ボスキ・アリーナス
よく そんな恥ずかしいセリフを
堂々と言えるな…お前は
フェネス・オズワルド
べ、別にいいでしょ?
本当のことなんだから
フェネス・オズワルド
ボスキもいつもありがとう
俺なんかを仲間として受け入れてくれて
ボスキ・アリーナス
ッチ…いきなり礼言われて
意味わかんねぇよ
ボスキ・アリーナス
もう長い付き合いだってのに、、
今更、何をかしこまって
フェネス・オズワルド
ご、ごめん…
ボスキ・アリーナス
だから謝んなって
ったく、お前は相変わらずだな
アモン・リード
まぁまぁボスキさん 
落ち着いて、落ち着いて…
ボスキ・アリーナス
ッチ!おいアモン!
肩に腕を乗せるな!
小さな女の子
いいなぁ
小さな女の子
すごく暖かくて…
みんな家族みたい
ハウレス・クリフォード
明日、俺たちの仕事が終わったら
キミが安心して暮らせる場所に連れて行ってあげる
ハウレス・クリフォード
だから、心配せず俺たちに全てを預けてくれ
小さな女の子
…ありがとう…ございます
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
ひとまず今日は私達が泊まる宿においで
小さな女の子
いいの?
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
可愛らしいお嬢さんを
1人にはできないからね
小さな女の子
エヘヘ(*´∀`*)
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
お嬢さん お手をどうぞ。
小さな女の子
うん!
ハウレス・クリフォード
主様 足元に気をつけてください
ビルダ・ロロ・スカーレット
ビルダ・ロロ・スカーレット
ありがとう


そうして 私達は宿に向かった

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