第15話

じゅうよん
190
2019/05/12 07:54
明日から夏休み。

まあ、宿題が多すぎて休める気がしないけど‥‥‥
ふぁ‥‥‥
あくびをかきながら夜空の下を歩く。

ここは都会でもないが田舎でもない曖昧な場所だけど、都会と同じで星はあまり見えない。


それに、今日は新月だから暗い。
夜の散歩って良いなぁ
そんなことを呟きながら暫く歩いていると、人影が見えた。
こんな時間に珍しいな‥‥‥
私は人影に目を凝らす。


────────────三田くん。
えっ!?み、三田くん!どうしt‥‥‥
三田 咲祈
あ‥さ‥‥ひ‥‥‥‥
─────────バタ


三田くんは、その場に崩れ落ちた。
‥‥‥‥‥え?
み、三田くん‥‥?
私は三田くんに駆け寄った。
‥‥‥‥‥なに、これ‥‥
三田くんの頭からは、血が出ていた。
腕には沢山の深い切り傷、大きな痣、顔色はとても悪かった。
は、早く救急車を‥‥‥!!



そして、三田くんは救急車で搬送された。


























柚木 海斗
ひぐっちゃん!!
息を切らしながら、柚木くんと井沢さんは緊急手術室の前に現れた。
井沢 紫乃
三田くんが倒れたって本当!?
珍しく、井沢さんは取り乱している。
うん
後頭部強打、右足は骨折、両腕は切り傷と痣で埋め尽くされている‥‥‥‥凄く危険な状態。死ぬかもだって
私は、医師から言われたことを二人に伝える。
柚木 海斗
‥‥‥は?
井沢 紫乃
何でそんな重傷負ったの!?
知らないよ、そんなの
夜道を歩いてたら三田くんが倒れたのを見たってだけで、何でこんなことになったのか分からない
柚木 海斗
そんな‥‥‥
大丈夫。きっと
三田くんなら、きっと‥‥‥
私は笑ってみせた。
「大丈夫」と自分に言い聞かせるように。
‥‥‥‥‥‥え?
突然、ふわっと良い匂いがしたかと思えば、井沢さんが私を抱き締めていた。
井沢 紫乃
うん、大丈夫。朝陽の言う通りだよ
井沢 紫乃
きっと
井沢 紫乃
だから‥‥‥‥
井沢さんはそっと腕をほどいて、私に笑いかけた。

────────私の震える手を握って。
っ‥‥‥‥
駄目だ。今にも泣きそうになる。
こんなところで、泣きたくないのに‥‥‥‥
看護師
あの、すみません!
突然、看護師が電話を持って私たちに駆け寄った。
井沢 紫乃
何ですか?
看護師
三田咲祈様のご両親をご存じですか?
その言葉に、柚木くんと井沢さんと目を見合わせた。

そして、首を横に振る。
柚木 海斗
知りませんけど‥‥‥どうしたんですか?
看護師
連絡がつかないのです
‥‥‥‥え?
看護師
何度、何度、電話しても出てもらえません‥‥‥
看護師
もしかしたら、ご家庭で何らかの事件が起きたのかと
事件‥‥‥
柚木 海斗
警察に連絡は?
看護師
しました。警察は今頃、三田さんのご自宅へ向かわれていると思われます
そうですか‥‥‥
三田くんが一言も口に出さなかった家族の話。


それにきっと、何かが隠れている──────。


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