あれから何日かたった
まだ、堕姫ねぇは帰ってこない
遅すぎる
私はあれからずっと布団にいて寂しいのに
たまに誰か来てくれるけど、だいたいの時間は暇
うーん、迎えにいこっかな
堕姫ねぇと少し話すくらいなら血鬼術も続くでしょ
よし、決めた!
今からいこーっと
パキパキパキ
あ、でもやっぱり結構きついな
一時間も続かないかもしれない
ベベン
ドサッ
目の前には、必死に逃げている人々がいた
私はその中の1人に声をかけた
人「お嬢ちゃん、早く逃げた方がいい。今、向こうで人が戦ってんだ。」
……え、うそ
人「知らねぇが、次々と店を壊してんだよ。だからこんなに慌ててるわけだ。早く逃げな!」
私はその人の言葉を聞かないまま騒ぎの方へ
走った
人「おい、嬢ちゃん!やめな!」
ハア,ハア
どうして?
堕姫ねぇじゃないよね?
違う鬼だよね?
だって鬼殺隊に堕姫ねぇの居場所が分かるわけない
体が上手く動かない
速く走りたいのに
早く堕姫ねぇの所に行きたいのに
騒ぎの場所は……
そう叫んだ瞬間、私の目に入ったのは
頸が斬られた堕姫ねぇと妓夫にぃだった
(妓夫にぃとは、堕姫ねぇの兄です)
私は、声を失った
だって、頸を斬ったのは……
炭治郎、善逸、伊之助、天元さんだったから
私があの時、鬼として殺していれば。
仲良くなんてしなければ。
……ああ、ごめんね、二人とも。
私は過ちを犯した
でもね、
私はあの4人を恨めない。
私に仲良くしてくれたから
あんなにはしゃいだのは、初めてだったの
だとしても、あの4人は私の大切な人を奪った
私、ちょっとだけ、怒ってもいいよね……?
そして私は、込みあがる怒りを抑えることもなく
斬られた頸のある場所まで、静かに歩いた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。