第2話

一話 満月の夜の拾い者 マレウス視点
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2022/01/08 17:48
────────星が点々と輝く満月の夜。

夜の散歩ついでに間近で月を眺めるため、僕は学校の屋根の上へ飛んだ。
何も無い静かな屋根に足を着けると、奥にキラリと輝く一つの長い影が見えた。
その影は人の形を成しており、確認するため躊躇いなく影の傍まで近づく。
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
(屋根に、僕以外の誰かが……?)
影の正体は、目を閉じて横たわる若々しくも大人びた顔立ちの娘。身に付けている服は趣あるも一風変わっている。
腰元に布らしき物を巻いていて、全体の衣装は淡い白と水色のグラデーションが実に鮮やかだ。
一方で、娘が立った際に地面まで着くのではないか?と言いたくなる程の長すぎるストレートヘアーは、透明感ある氷のように……純度の高い水のように流れ、透き通っていて、月の光でより輝いて見える。
先程遠くから見えた光は、この美しい髪だったのだろう。
月から来たと言われても納得出来るぐらい、儚げで神秘的。何者かが人に化けて姿を現したとも言える程、娘は色白で浮世離れした容姿をしていた。
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
(目を奪われる……とはこのことを言うのだろうか。この娘、まるで純白の化身だな)
立ったまま足元で眠る娘を見下ろし目を凝らすと、穢れの無さそうな娘の身体には似合わないかすり傷が所々付いている。微かに流れる血で白い肌が際立って見えるけれど、それでも娘の氷肌玉骨ひょうきぎょっこつさは変わらない。
いや、それよりも先程から気になっていたが、娘の隣に金で装飾された白い剣が落ちているのだ。
僕が知る剣とは少し変わった形をしているが。
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
(何があったんだ?それに、何者だこの娘。魔力は感じないが人の子……なのか?)
娘の隣でしゃがみ、息があることを確認する。
近寄る事に躊躇いは無かったが、“純白”の化身とも言える娘に触れても良いのだろうかと一瞬迷いながらも恐る恐る娘の首元に触れた。……人にしては冷たい。
このまま見て見ぬふりをするのも忍びないと思い、落ちていた剣を拾ってから娘を両手でゆっくりと抱える。
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
(……人にしては体温が低いな。
髪の色や雰囲気からしても、ただの人の子とは思えないが仕方あるまい)
帰ったらリリア辺りが驚いて何か言われるだろう……なんて予想をしながらも、僕は魔法を使ってその場から消え、ディアソムニア寮へと帰った。

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