午後の授業に飛行術の授業があり、私が先に着替えたあとデュースとエースが着替え終わるのを廊下で待つ。グリムに関しては、更衣室にあるイスで仮眠している。
廊下で一人待っていると「おや?」と誰かの声が聞こえ、顔を上げる。
私が感心していると、ジェイドは笑顔のまま「お金に困ったら、モストロ・ラウンジでアルバイトをするのも可能なので。お待ちしておりますよ。では、失礼します」と言い、彼はそのまま去って行った。
グリムに話を聞くと、どうやらオクタヴィネル寮の寮生はほとんどが“人魚”で、薬を飲んで人間の姿になっているらしい。
そして、アズールはタコの人魚で、ジェイドには双子の片割れのフロイドがおり、二人はウツボの人魚。この三人は幼馴染だという。
ディアソムニア寮の面々やハーツラビュル寮の先輩方もだが、生徒個人だけでなく、寮全体でのイメージや傾向も話を聞いている限りあるにはあるらしい。
箒で空を飛ぶ……短刀達や鶴丸国永辺りが見たらどんな反応をするのだろうか。
想像するのはいいが、同時にこのまま元の世界に帰れなかった時のことも考えてしまう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!