第6話

五話 異世界
1,842
2022/01/09 16:12
マレウス殿にお礼を言ったあと、何故異世界に来てしまったのか、自身の正体を最低限伏せつつ彼等に話した。
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
そちらの世界には歴史改変を目論む者が居て、おぬしは仲間と一緒に戦っていたが謎の渦が現れた際、渦の中へ突き飛ばされたのが原因でこちらへ来てしまった、と
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
戦えるのか。あの剣を持って?
あなた
あなた
一応な。
あと、私が使用しているのは“刀”だ
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
過去へ遡り、歴史を変える方法があるのにも驚いたが……おぬしのような若い娘が戦うとは。通りで逞しそうな娘じゃ。同時に、やはり戦とは虚しいものじゃな
時間遡行軍は長年の宿敵。
私が使用する刀は霊力ある刀。
私もただの“人では無い”。
ある一族の末裔で、本来ならば魔法と同等の力が使える。けれど、何故か今は“魔力が無い”。
故に魔法が使えなくなってしまった。
魔法が使えることは、彼等には言っていないが。
あなた
あなた
(審神者としての“霊力”はあるから霊術の類は使えるか)
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
そう言えばまだ名前を聞いていなかったな。先程セベクが呼んでいたが、わしはリリア・ヴァンルージュじゃ
あなた
あなた
名前?
長年“真名”どころか、“審神者名”すら名乗っていないので、改めて聞かれると妙な気分だ。
忘れていないだけマシだが。
あなた
あなた
立場上本名を名乗ることは出来ないが“あなた”と呼んでくれ。
表向き名乗っているもう一つの名だ
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
そうか、分かった
あなた
あなた
しかし……異世界の学校というのは変わって居るな。元の世界の学校にも通ったことは無いが
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
そうなのか?
あなた
あなた
私の生まれは田舎の閉鎖的な村だったから
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
おぬしも中々苦労してそうじゃな
あなた
あなた
仲間達のおかげでそれなりに豊かな暮らしを送れるようにはなったけどな
マレウス殿は私をジッと見てから静かに口を開き「お前と出会ったのもきっと何かの縁だろう。歴史あるナイトレイブンカレッジに元の世界に帰る為の手掛かりがあるかもしれん。学園長のクロウリーにも相談してみるか」と言った。
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
クロウリーに話すのか?
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
あなたはこちらの世界に帰る場所は無い。その辺りもクロウリーに相談する。寮内では寮生達が居るからな。
泊まらせるにしても落ち着かないだろう
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
手助けする気満々じゃな
内容は理解したが二人の間で話が進んでいき、口を挟む間もなくマレウス殿に「立て」と言われ、その場に立つ。すると、ワンピース風のパジャマの上に黒いフード付きのロングマントが現れ、魔法をかけられたのだと察した。
マレウス・ドラコニア
マレウス・ドラコニア
善は急げだ。早速クロウリーの元へ行く。共に来い
あなた
あなた
手助けは有難いが、良いのか?
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
迷惑だと感じているなら心配無用じゃ。マレウスが好きでやっていることだしのう。世話をしたのはわしだが、おぬしを拾ったのはマレウス。一度拾ったのなら、最後まで責任をとるものであろう?
あなた
あなた
私はペットでは無いが……一人何も知らない世界をふらついていても意味が無いしな。頼りにさせてもらおう
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
セベクは図々しいと言うかもしれんが、気にするな。わしらに下手に遠慮せず、素直に受け入れるあたり肝が据わっている。わしは良いと思うぞ
あなた
あなた
それは褒めているのか?
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
勿論じゃ
「フードを被っておけ」と言われ、マントに着いていたフードを被る。リリア殿に着物が入った袋と刀を渡され部屋から出ていくが、一人の銀髪の青年とすれ違う。
シルバー
シルバー
今のはマレウス様と……
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
“眠り姫”じゃ
シルバー
シルバー
もしや、例の娘が目を……?
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
結局クロウリーの元へ行くらしい。
面倒は最後まで見んとな
シルバー
シルバー
は、はぁ
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
あの娘が眠り姫なら、よく寝るおぬしは眠り王子だろうか
シルバー
シルバー
何の話ですか

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