授業が終わり昼休みになると、あなたが何か思い出したのか、「そうだ。二人とも、少し良いか」と声を掛けてくる。
そこまで言いかけ、デュースはハッとして頬を若干赤くさせ、「やっぱ何でもない」と発言を無かったことにする。
デュースがウブ過ぎるのはともかく、デュースが言いかけていたようにあなたが着るなら、先輩達の服じゃなくても俺達の服で十分入ると思うが、返答が怖くて聞けなかった。
食堂に行き、テーブルをグリムに確保してもらったあと、先に来ていたケイト先輩の元へ行く。早速デュースが要件を話すと、ケイト先輩は少し考えてから「あーあるよ」と笑顔で答えた。
ケイト先輩が聞くと、あなたは迷いなく「エース達のでも良かったんだが、大は小を兼ねる、だ。多少大きめの方が使い勝手が良さそうだし」と言った。
あなたは他にも何か言いたげな表情を浮かべていたが、諦めた様子で困ったように笑った。その後は、食事をとってからグリムがいるテーブルへと戻る。
俺が聞くと、グリムが「金が無いから裏方としてバイトするんだゾ」と教えてくれる。
あなたは「私は別に構わないが、飲食店に連れて行って良いのか?」とグリムに対して言うが、グリムは「オレ様を猫かたぬきかと勘違いしてねーか!?」と更にツッコミを入れる。
俺はデュースとグリムと苦笑いしながら視線を逸らし、デュースが渋々説明しようとするが「グリムとあなたで一人の生徒なんだし、グリムも暇ならそばに居るぐらいは良いんじゃねーの?」と俺が遮ってはぐらかした。
なんてやり取りをグリムとしていると、クスッとあなたが笑う声が聞こえたが、あなたの方を向いた時には既に無表情に戻っていた。
何したらあなたは笑うのだろうか、だなんてらしくもないことを考えてしまったのは秘密だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!