第26話

二十五話 秘密 エース視点
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2022/07/07 18:29
授業が終わり昼休みになると、あなたが何か思い出したのか、「そうだ。二人とも、少し良いか」と声を掛けてくる。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
何?
あなた
あなた
ちょっと頼みたいことがあるんだが……
デュース・スペード
デュース・スペード
頼みたいこと?僕に出来ることなら
あなた
あなた
君達の先輩に、いらない服はないか聞いて欲しいんだ。本当なら私一人で聞きに行くべきだが、昨日会ったばかりでそんなに話してないからな。少々頼みづらい
デュース・スペード
デュース・スペード
服?あぁ、もしかして着る服が無いからか?それなら僕の服を……
そこまで言いかけ、デュースはハッとして頬を若干赤くさせ、「やっぱ何でもない」と発言を無かったことにする。
デュースがウブ過ぎるのはともかく、デュースが言いかけていたようにあなたが着るなら、先輩達の服じゃなくても俺達の服で十分入ると思うが、返答が怖くて聞けなかった。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
(俺達じゃいけない理由でもあるわけ?)
デュース・スペード
デュース・スペード
食堂で会ったらダイヤモンド先輩達に聞いてみよう
あなた
あなた
すまないな。助かる
食堂に行き、テーブルをグリムに確保してもらったあと、先に来ていたケイト先輩の元へ行く。早速デュースが要件を話すと、ケイト先輩は少し考えてから「あーあるよ」と笑顔で答えた。
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
流行りの服とか買ったりするんだけど、ただでさえ私服着る時間の方がこの学校じゃ少ないからね。買って使わなかったやつあげるよ。でも、俺のじゃあなたちゃんには大きくない?身長的にエーデュースちゃん達とか、カリム君辺りの方がまだサイズ合ってる気するけど
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
(やっぱ聞いちゃうよなーそこ)
ケイト先輩が聞くと、あなたは迷いなく「エース達のでも良かったんだが、大は小を兼ねる、だ。多少大きめの方が使い勝手が良さそうだし」と言った。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
(あなたは女子にしては少し背がある方だし……そういう理由なら分からなくはないけど、大は小を兼ねるつってもケイト先輩のじゃ大き過ぎじゃね?)
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
んじゃ、放課後是非ハーツラビュル寮にきてよ。俺ので良ければ何着かあげるよ
あなた
あなた
有難う
あなたは他にも何か言いたげな表情を浮かべていたが、諦めた様子で困ったように笑った。その後は、食事をとってからグリムがいるテーブルへと戻る。
グリム
グリム
どうだった?
デュース・スペード
デュース・スペード
ダイヤモンド先輩がくれるみたいだ
グリム
グリム
良かったじゃねぇかあなた
あなた
あなた
あぁ。放課後、モストロ・ラウンジに行く前に早めにハーツラビュル寮に寄るか
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
え、モストロ・ラウンジ行くの?
俺が聞くと、グリムが「金が無いから裏方としてバイトするんだゾ」と教えてくれる。
デュース・スペード
デュース・スペード
そうだったんだな。モストロ・ラウンジってことはオクタヴィネル寮か。頑張れよ?色々と……。愚痴なら僕達が聞いてやるから
あなた
あなた
不安がない訳では無いが、私が働ける場所と言えばそこぐらいだしな
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
あなたがただの村娘ってのは聞いたけどさ、バイトしたことあんの?
あなた
あなた
ない
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
即答かよ
あなた
あなた
だからこそ、今回のバイトは裏方で雑用とは言え経験になるだろう?
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
んじゃ、金がある時にでも遊びに行くわ。裏方つっても、ちょっとぐらいは表で会えるんじゃね?
あなた
あなた
見られていると何だかやりづらい気もするが、来たいならそうすればいい
デュース・スペード
デュース・スペード
グリムも働くのか?
グリム
グリム
オレ様は行かねーんだゾ。でも、どうしてもって言うなら一緒にいてやらなくも無い
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
一人じゃ心細いから近くに居させて欲しいってさ
グリム
グリム
んなこと言ってねーんだゾ!何をどう聞いたらそんな解釈になるんだ!
あなたは「私は別に構わないが、飲食店に連れて行って良いのか?」とグリムに対して言うが、グリムは「オレ様を猫かたぬきかと勘違いしてねーか!?」と更にツッコミを入れる。
デュース・スペード
デュース・スペード
とにかく、グリムならそこの心配は必要無いはずだ。何せ、イソギンチャク事件の時にモストロ・ラウンジの台所で皿洗いさせられてたしな。一緒にいても問題ない。業務妨害やつまみ食いさえしなければな
あなた
あなた
イソギンチャク?
俺はデュースとグリムと苦笑いしながら視線を逸らし、デュースが渋々説明しようとするが「グリムとあなたで一人の生徒なんだし、グリムも暇ならそばに居るぐらいは良いんじゃねーの?」と俺が遮ってはぐらかした。
グリム
グリム
帰っても特にやることねーしな。
仕方ねーんだゾ
あなた
あなた
問題事は起こさないでくれよ
デュース・スペード
デュース・スペード
僕達からも頼む。お前が問題事起こすと何故か僕達にもとばっちりが来るからな
グリム
グリム
オレ様だって学習してるからやらねーんだゾ!馬鹿にすんな!
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
お前そう言ってなんかしらやらかすからな
グリム
グリム
オマエ等が言えないんだゾ
なんてやり取りをグリムとしていると、クスッとあなたが笑う声が聞こえたが、あなたの方を向いた時には既に無表情に戻っていた。
あなた
あなた
君達は元気だな
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
(ホントに表情硬いってか、もう少し笑えばいいのに)
何したらあなたは笑うのだろうか、だなんてらしくもないことを考えてしまったのは秘密だ。

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