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第12話

駆け落ち
ふたりで庭園を歩きながら、
私は紅狼の横顔を見上げる。

目が合うと、
紅狼はふっと笑みをこぼした。
一夜紅狼
一夜紅狼
母上は、ハンターに殺された
宮野 まりあ
宮野 まりあ
殺……され……た?
自分の耳を疑って、
言葉を紡げないでいる私に、紅狼は続ける。
一夜紅狼
一夜紅狼
だから父上も、
人間には否定的でな
宮野 まりあ
宮野 まりあ
そんなことがあったら、
当然だよ
一夜紅狼
一夜紅狼
だが、人外だって
人間の命を奪っている
宮野 まりあ
宮野 まりあ
それは……
(銀のお母さんも、人外に殺された。
お互いに因縁が深いのかも)
一夜紅狼
一夜紅狼
憎みあっていても、
なにも生まれない。俺は……
紅狼が私に向き直る。
一夜紅狼
一夜紅狼
お前たち人間とも
共存していけると、
証明したいんだ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
紅狼、私に協力できる
ことはない?
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあ……
宮野 まりあ
宮野 まりあ
紅狼とオオカミ一族のみんなに
出会って、人間も人外も差なんて
ないんだって思った
私は紅狼の両手を握り、
その目をまっすぐに見据える。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
私もみんなで一緒にいられる
道を探したい。だから、ふたりで
力を合わせよう
一夜紅狼
一夜紅狼
やっぱり、まりあはいい女だな
宮野 まりあ
宮野 まりあ
からかってる?
今は真剣な話をしてるのに
ぷっくりと頬を膨らませると、
紅狼はふっと笑った。
一夜紅狼
一夜紅狼
いいや、褒めている
優しい眼差しを向けてくる紅狼に、
胸がドキドキしだす。

(なんだろう……。
紅狼の言葉に、どうして
こんなに落ち着かなくなるの?)

自分の感情を持て余していると──。
???
???
人間とともに歩むなど、
愚かな
そんな声が聞こえると同時に、
紅狼に強く抱き寄せられる。

(え……)
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあ!!
紅狼が私を抱きかかえたまま、
大きく後ろに飛び退いた。

とっさに目をつぶると、
紅狼が地面に着地したのを衝撃で感じる。
一夜紅狼
一夜紅狼
どういうつもりだ、父上
(父上?)

目を開けると、そこには紅狼と同じ
オオカミの耳と尻尾を持つ、
四十代くらいの男性がいた。
紅狼の父
紅狼の父
どういうつもりか、
聞きたいのは俺のほうだ
(この人が、紅狼のお父さん……)

鋭い目に射竦められて、
私はごくりと唾を飲み込む。
紅狼の父
紅狼の父
まだ、人間の女に執着して
いるのか?
一夜紅狼
一夜紅狼
人間に恋をしようが、
オオカミに恋をしようが、
俺の自由だ
(恋……)

紅狼の真剣な顔を見ると、
また胸が高鳴ってしまう。

(紅狼、本当に私のことが好きなんだ)
紅狼の父
紅狼の父
まだ、そんな世迷言を……。
お前が考えを変えないのなら、
仕方がない
紅狼のお父さんは片手を上げる。

すると、茂みから数十頭のオオカミ
たちが現れた。
紅狼の父
紅狼の父
その女を殺して、
お前をこの館に監禁する
一夜紅狼
一夜紅狼
……どんなに話しても
相容れないのなら、もうこれ以上は
話しても無駄なんだろうな
抱きしめてくる腕の力が強くなるのを感じ、
私は紅狼を見上げる。

その瞳は悲しそうで、胸がチクリと痛んだ。
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあ、俺と駆け落ちしよう
宮野 まりあ
宮野 まりあ
え……
一夜紅狼
一夜紅狼
俺は、お前がいない世界で
生きる気はない。だから……
紅狼はいきなり、私を横抱きにする。
一夜紅狼
一夜紅狼
俺と来てくれるか?
向けられた熱い視線に、
胸の奥からなにかが込み上げてくる。

(紅狼はあの日、私が助けた日から
ずっと私を好きでいてくれた)

(もうきっと、こんなにも自分を想ってく
れる存在は現れない)
宮野 まりあ
宮野 まりあ
うん、行くよ。
紅狼と一緒に、どこまでも