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第10話

垂れた耳と尻尾には、敵いません。
(好きな女……)

紅狼の視線が私に向いて、どきっとする。
オオカミ一族の少女
オオカミ一族の少女
紅狼はこんな感じだからさ。
厳しい立場に立たされてるんだ。
だから、あたしはあんたを……
そう言い淀んだのは、きっと──。

あとに続く言葉が『殺すつもりだった』、
だからだろう。

(私が死ねば、紅狼は人間との共存を
諦めてくれるかもしれないから……)
宮野 まりあ
宮野 まりあ
……大丈夫、あなたの気持ちは
ちゃんと伝わってるよ
オオカミ一族の少女
オオカミ一族の少女
え?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
殺されそうになったのは、
確かに許せないけど、
紅狼が大事だったんだよね?
オオカミ一族の少女
オオカミ一族の少女
うん……
宮野 まりあ
宮野 まりあ
仲間を大切にする気持ちは、
私にもわかるよ
話しながら、私は教会の孤児たちを
思い出す。

教会のみんなは私にとって、
血の繋がらない家族で、友人で、仲間だ。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
守るためだった。それなら、
私はあなたを責められない
オオカミ一族の少女
オオカミ一族の少女
……っ、ありがとう。
でもあんた、すっごくお人好しで、
心配になるよ
泣き笑いで私の膝の上にトレイを
置いたオオカミ一族の女の子は、
手を差し出してくる。
オオカミ一族の少女
オオカミ一族の少女
改めて、あたしは朱里じゅり
よろしく!
ニカッと笑った朱里に、私は笑顔を返す。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
よろしくね、朱里。
私のことは、まりあって呼んで
くれたら、うれしいな?
朱里
朱里
うん! まりあ、これお昼ごはん。
お詫びもかねて、あたしが作ったんだ。
食べて食べて!
宮野 まりあ
宮野 まりあ
ありがとう
私は勧められるまま、
トレイの上にあるシチューを
スプーンで掬おうとした。

けれど、ズキッと肩が痛む。

(利き手の肩を撃たれちゃったから、
腕を上げると痛むな……)

思わず顔をしかめると、いち早く気づいた紅狼に、
横からスプーンを奪われた。
一夜紅狼
一夜紅狼
まだ、腕を動かすのはしんどい
だろう。俺が食べさせよう
宮野 まりあ
宮野 まりあ
え!? それはいいよ!
恥ずかしいし、申し訳ないし……っ
一夜紅狼
一夜紅狼
遠慮するな。
人間は看病をするとき、こうして
食事を食べさせるのだろう?
(それも、時と場合によるといいますか……)

私の言い分など聞かずに、
紅狼はスプーンでシチューを掬う。

それから、ふーっと息を吹きかけて、
私の口元に運んだ。
一夜紅狼
一夜紅狼
ほら、いっぱい食べたほうがいい
宮野 まりあ
宮野 まりあ
いや、でも……
一夜紅狼
一夜紅狼
……? また俺は間違えたか?
口移しのほうが正しいか?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
口移し!?
一夜紅狼
一夜紅狼
熱に浮かされて薬が飲めないとき、
人間は口移しで水や薬を飲ませるん
だろう?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
あの、ちなみにそれは……
なにで勉強したの?
朱里
朱里
少女漫画だよ。
あたしが、その……はまってて
朱里は頬をぽりぽりと掻きながら、
照れくさそうに目をそらす。
朱里
朱里
それを教えたら教科書代わりに
貸してほしいって言い出したから
宮野 まりあ
宮野 まりあ
どおりで……
(いろいろ、おかしいと思った)

原因が判明して、私は苦笑いする。
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあ、食べてくれないのか?
悲しそうな声が聞こえて、
紅狼を見ると……。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
うっ……
耳と尻尾がダランッと下がっていた。

(そんな顔で見られたら、断れないよ……!)