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第5話

敵襲
──放課後。

なんだかどっと疲れた私は、
なぜか銀と紅狼に挟まれながら、
教会に帰る。

今日は入学式だけなので、
午前中だけで学校は終わりだ。
神上 銀
神上 銀
なんで、お前までついてくるんだ
一夜 紅狼
一夜 紅狼
まりあのそばに、いたいからだ
いがみ合うふたりを横目に、
私はため息をつく。

(銀なんてさっき銃を出しかけてたし、
こんな調子で学校生活は大丈夫なの
かな……)

先行きが心配になっていると、
教会に続く森の道でふたりが足を止めた。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
ふたりとも、どうしたの?
一夜 紅狼
一夜 紅狼
殺気だ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
え……
神上 銀
神上 銀
俺の後ろにいろよ?
敵は複数いる
一気に張り詰めた空気に、
私はごくりと息を呑む。

(殺気だなんて……怖いっ)

胸の前で、汗が滲む両手を握りしめる。

すると森の茂みの中から、
数頭のオオカミが現れた。
神上 銀
神上 銀
お前、俺たちを罠にはめたのか?
こいつらはお前の仲間だろ
銀は射貫くような視線を紅狼に向ける。

それには答えずに、
紅狼はオオカミたちを見回した。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
どういうつもりだ。
誰の指示で、ここにいる
オオカミ1
オオカミ一族、現頭領の指示です
オオカミ2
紅狼様がご執心になられている
女を連れてこいと
一夜 紅狼
一夜 紅狼
父上の仕業だったか。
まりあが狙いらしい
紅狼の視線が私に向けられ、
どきっとする。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
私!?
神上 銀
神上 銀
やっぱり、お前の仲間か。
まりあは連れて行かせない
銀は吐き捨てるように言って、
銃を構えた。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
ここは下がれ。
まりあを巻き込むな。
父上とは俺が話をつける
そう紅狼が言うも、オオカミたちは、
引き下がる気配を見せない。
オオカミ3
それはできません。
現頭領の命令は絶対です
オオカミたちはそう言って、
いっせいに襲いかかってきた。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
きゃーっ
一夜 紅狼
一夜 紅狼
頭の固い連中だな

ぼそっとそう呟いた紅狼の頭には、
大きなオオカミの耳が現れる。
一夜紅狼
一夜紅狼
怖がらせて悪い、まりあ。
ケガはさせない。
そこで待っていてくれ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
紅狼……
申し訳なさそうな顔をする紅狼から、
目をそらせないでいると──。
神上 銀
神上 銀
まりあ、人外を信じるな!
銀の怒号が鼓膜を破るような勢いで、
飛んでくる。
神上 銀
神上 銀
忘れたわけじゃないだろ、
人外に襲われたこと!
宮野 まりあ
宮野 まりあ
うん……
神上 銀
神上 銀
だったら、教会まで走れ!
それまで、俺が時間を稼ぐ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
そんなっ、私だけ逃げるなんて、
できるわけないよ!
神上 銀
神上 銀
お前がいると、戦いにくいんだよ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
……っ、それは……
(たしかに、私がいたら足手まとい
になる。だったら……)
宮野 まりあ
宮野 まりあ
絶対に無事に帰ってきて
神上 銀
神上 銀
当たり前だろ。
お前が俺の帰る場所なんだからな
私を安心させるためか、
ふっと笑って銀はオオカミに対峙する。

銀に背を向けた私は、教会に向かって駆け出した。
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあ、戻れ!
今はひとりになるほうが危険だ
そんな紅狼の声が背中に届いたが、
私は銀の言葉を信じて走った。