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第3話

埋まらない溝
宮野 まりあ
宮野 まりあ
いち……紅狼、さん
一夜紅狼
一夜紅狼
〝さん〟もいらない。
お前と俺は、同い年だ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
く、紅狼……。
あの、どうして私のことを
知ってるの?
(名前も年齢も、どうして?)
一夜紅狼
一夜紅狼
……昔、お前に助けられた
ことがある
宮野 まりあ
宮野 まりあ
私が、紅狼を?
(どうしよう、覚えてない)

改めて紅狼を見つめると、
精悍な顔立ちに意思の強さを宿した
金の瞳と目が合う。

ほどよく焼けた小麦色の肌に、
筋肉質の身体も合わさって、
男らしいという言葉がぴったりの人だった。

(うーん、紅狼みたいにかっこいい人、
一度見たら忘れないと思うけど……)
宮野 まりあ
宮野 まりあ
人違い、じゃないかな?
一夜紅狼
一夜紅狼
俺がお前を見間違えるはずがない。
ずっと、見守ってきたんだからな
自信満々に言われた私は、戸惑う。

(ずっと見守ってきたって、
どういう意味?)

首を傾げていると、
紅狼さんが私の前まで歩いてきた。
一夜紅狼
一夜紅狼
ずっと、伝えたかった言葉がある
紅狼さんは鋭い爪をしまい、
私の手を取ると──。
一夜紅狼
一夜紅狼
お前が好きだ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
え……
一夜紅狼
一夜紅狼
ずっと好きだった。
まりあのことが、ずっと
宮野 まりあ
宮野 まりあ
……っ
(こんな、まっすぐな告白されたら……。
ドキドキしないなんて、無理っ)

私は熱くなる顔を俯ける。
一夜紅狼
一夜紅狼
もっと、顔を見せてくれ。
いつも近くで見たいと思っていた
宮野 まりあ
宮野 まりあ
私の顔なんて、
見ても楽しくない……と思います
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあは自分の価値を
わかっていない
(価値、なんて……)

生まれてすぐに、
教会に捨てられた私にはない。

(そう思ってたのに……)
一夜紅狼
一夜紅狼
俺にとってまりあは、
命よりも大事な女だ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
……!
一夜紅狼
一夜紅狼
その顔を見られただけで、
心が満たされる
(紅狼は簡単に、ないと思っていた
私の価値を認めてしまう)

しばらく、紅狼の瞳に囚われていると……。
神上 銀
神上 銀
その手を離せ、人外が
──パーンッ!

冷酷な一声と銃声が夜道に響き渡る。

紅狼さんは空高く飛び、
そのまま屋根の上に着地した。
神上 銀
神上 銀
ここ最近の連続殺人事件は、
お前が犯人だな
宮野 まりあ
宮野 まりあ
銀!
決めつけるようにそう言って、
銀が紅狼に銃口を向けながら、
私の隣に立つ。
一夜紅狼
一夜紅狼
ハンターか。
犯人は俺じゃない
神上 銀
神上 銀
信じられるか、人外の言葉なんて
(でも、紅狼じゃない気がする。
だって私を守ってくれた人だから)
宮野 まりあ
宮野 まりあ
待って、銀。
紅狼は本当に、犯人じゃないと思う
神上 銀
神上 銀
紅、狼……?
お前、人外と知り合いだったのか?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
あ……さっき、知り合ったの。
とにかく、紅狼は犯人じゃない
神上 銀
神上 銀
なんでそう言い切れんだよ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
私、紅狼じゃない人外に
襲われそうになったの
(きっと、あの猫耳の男の人が犯人だ)
神上 銀
神上 銀
なっ、ケガはしてないか?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
あ、うん。それは大丈夫。
紅狼が助けてくれたから……
神上 銀
神上 銀
……まりあ、気安く
その人外の名前を呼ぶな