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第20話

永遠の首輪
5,008
2020/04/13 04:00
神上 銀
神上 銀
喉元を噛み切られる前に、
俺の銃弾がお前の額をぶち抜く
ほうが早いだろ
一夜紅狼
一夜紅狼
もう一戦、しても構わないが?
ふたりの不穏な空気に、
ハラハラしていると……。
神上 銀
神上 銀
次の一戦は今度にとっておく。
親父のところに行くなら、
さっさと行け
一夜 紅狼
一夜 紅狼
…………
神上 銀
神上 銀
朝のミサが始まれば、
親父は神父の仕事があるからな。
今日中に会えなくなるぞ
そう助言をして背を向ける銀に、
私は声をかける。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
銀、ありがとう!
お礼を言えば、銀は片手を上げて
去っていった。

それから、私たちは銀のお父さんの
ところへ行った。

すると、銀が事前に話しておいて
くれたらしい。

紅狼のお父さんみたいに、
いきなり分かり合うのは難しいけれど、

銀の『ふたりを信じてほしい』という言葉を
信じると言ってくれた。

こうして、一緒にいることを許された
私たちは、学校に復帰することになって……。

***
一夜 紅狼
一夜 紅狼
まりあ、他の男の匂いをさせるな
私は学校の階段の踊り場で、
紅狼に壁へ追い詰められていた。

お昼休みだけれど、踊り場には誰もいない。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
これは教会で転びそうに
なったときに、銀が抱きとめて
くれて……だから不可抗力だよ!
そう説明しても、私の首筋をくんくんと
嗅いでいる紅狼は不満そうだ。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
……決めたぞ。まずは同棲の
許可を取りつける
宮野 まりあ
宮野 まりあ
ええっ、それは
まだ早いんじゃ……
一夜 紅狼
一夜 紅狼
早くなどない。俺は待てない。
お前にもっと触れたい
紅狼は私の腰を引き寄せて、
ぎゅうっと抱きしめてくる。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
今も十分、触れてるでしょう?
一夜 紅狼
一夜 紅狼
お前は人目を気にするからな。
これでも抑えてるんだ
紅狼は私の顎を掴むと、軽く持ち上げた。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
まりあは、今のままで十分か?
俺に、触れたくはないのか?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
……それ、は……
一夜 紅狼
一夜 紅狼
まりあ?
懇願するような、甘い声。

前髪をくすぐる吐息に、鼓動が加速する。

(ああ、もうダメだ。
認めざる負えないよ……)
宮野 まりあ
宮野 まりあ
私だって、もっと……
一夜 紅狼
一夜 紅狼
もっと?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
触れて、ほしい。
触れられ、たい……です
一夜 紅狼
一夜 紅狼
その答えを聞けて嬉しい。
なら、飽きるほどまりあを
堪能させてくれ
紅狼の語尾は掠れていた。

その顔が傾いて、
私の唇に紅狼のそれが深く重なる。

(どんなに口で否定しても、
私はやっぱり紅狼に触れられたくて
たまらなかったんだ)
一夜 紅狼
一夜 紅狼
……まりあ、この先もずっと
俺だけのまりあでいてくれ
顔を離した紅狼は、
私の濡れた唇を親指で拭う。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
……うん、紅狼だけの
私でいる。紅狼も……
一夜 紅狼
一夜 紅狼
ん?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
私だけの……
紅狼、で……いて?
恥ずかしくて、言葉尻が萎む。

熱くなる顔を俯けると、
下から紅狼に顔を覗き込まれた。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
まりあ、俺にマーキングしろ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
え!?
紅狼は自分の首筋を指でとんとんと、
叩いている。

(まさか、キスマークってこと?)

私は口をぱくぱくさせながら、
しばらく迷って……。

(ええいっ、どうにでもなれ!)
宮野 まりあ
宮野 まりあ
ん!
紅狼の首筋にキスをすると、
ためらいがちに吸った。

(うう、どのくらいの強さで吸うの? 
ああっ、加減がわからないよ……っ)

唇を離せば、紅狼の首筋には
赤い痕が残っている。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
ついたか?
宮野 まりあ
宮野 まりあ
あっ、う、うん……
一夜 紅狼
一夜 紅狼
まるで首輪だな。
俺を縛れるのは、あとにも先にも、
お前だけだ。まりあ
そう言って、
紅狼は私の首筋に唇を押しつけた。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
それから、お前を縛れるのも
──俺だけだ

紅狼は至近距離で不敵に笑うと、
私の首筋にも首輪という名のキスマークをつける。

(うん、紅狼だけ……だよ。
私の身も心も満たせるのは──)

(END)

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