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第1話

不穏な夜
今年の春、高校生になる私──
宮野みやのまりあは、教会育ちの孤児だ。
教会のシスター1
教会のシスター1
まりあ、買い出しを頼んでも
いいかい?
年配のシスターが幼い孤児の遊び
相手をしながら、声をかけてきた。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
はい、シスター
教会のシスター1
教会のシスター1
これが買い出しのリストね
私はシスターから買い物リストが
書かれた紙を受け取る。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
買い物から帰ってきたら、
私も夕食作り手伝いますね!
教会のシスター1
教会のシスター1
いつもありがとうね。
まりあちゃんが手伝ってくれるから
助かるわ
勇太
勇太
まりあ、買い物に行くの?
シスターの腰に抱き着いている
孤児の男の子──勇太ゆうたが私を見上げる。

私は腰を屈めて、勇太に目線を
合わせた。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
うん、スーパーまでね
勇太
勇太
僕も行きたい!
教会のシスター1
教会のシスター1
勇太はお留守番だよ
勇太
勇太
えー
宮野 まりあ
宮野 まりあ
もう外も暗いし、危ないから。
外に行くのは、また今度ね
時刻は午後6時。

教会の窓の外には、星が煌いていた。

(こんな時間に、子供を連れていく
のは、よくないよね)
教会のシスター1
教会のシスター1
最近、物騒な事件が起きてるからね。
まりあ、ぎんを連れていきな
神上かみじょう銀──この教会の神父様の息子で、
私と同い年の幼なじみだ。

実は変わった仕事をしているの
だけれど……。
???
???
物騒な事件、ね
宮野 まりあ
宮野 まりあ
銀!

声が聞こえて振り返ると、
真黒の薄手のコートに身を包んだ銀がいた。

銀は長身だけど、
整った中世的な顔立ちのせいか、
女の私から見ても綺麗な人だと思う。
神上 銀
神上 銀
また人外じんがいのやつらが、
暴れ回ってんだろ
(人外……)

文字通り、吸血鬼や悪魔、オオカミ男といった
人間以外の種族のことだ。

一般的には知られていないけれど、
教会の中でも一部の人が知っている事実。

私は、〝ある出来事〟がきっかけでそれを知った。

そのときの記憶が蘇ろうとしたとき──。
神上 銀
神上 銀
まりあ、買出しに行くなら、支度しろ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
あっ、うん!
銀の声で開きかけた記憶の扉は閉じ、
私はすぐにコートを取りに部屋へ走った。

***
宮野 まりあ
宮野 まりあ
銀、忙しいのにごめんね?
私は夜道を並んで歩いてくれて
いる銀を見上げる。
神上 銀
神上 銀
別に、この時期に女ひとりで
歩かせるほど、俺は薄情じゃないからな
(この時期……)

最近この界隈では、
首元を嚙み千切られるという
連続殺人事件が起こっている。

(銀はきっと、そのことを言ってるんだ)

そんなことを考えていたとき──。
女性
女性
きゃーっ
女性の悲鳴が夜道に響き渡る。

私はすぐさま、隣の銀を見上げた。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
神上 銀
神上 銀
まりあ、人通りの多いところに行け。
場所は俺のスマホに送っておけよ?
コクリと頷くと、
銀は腰の銃を手に駆け出した。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
銀、気をつけてね……
遠ざかる背中を見つめて、
そう声をかける。

銀の変わった仕事、
それは罪を犯した人外を狩るハンターだ。

(今は信じるしかないよね)

私は銀に言われた通り、
人が多い大通りに向かって歩き出そうとした。

そのとき……。
男性
男性
お嬢さん、ちょっといいかな
宮野 まりあ
宮野 まりあ
え?
背後から声をかけられて、振り返る。

その瞬間、鋭い爪が眼前に迫って
いるのに気づいた。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
きゃ──
悲鳴をあげた瞬間、
頭上から大きな物体が降ってくる。
???
???
その女に触るな
地を這うような低い声。

ガキーンッとなにかがぶつかった
ような音とともに、

私を爪で切り裂こうとした男が
後ろに飛び退く。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
あなたは……
私を庇うように立つ、
フードを被った男は、私を振り返る。
一夜 紅狼
一夜 紅狼
一夜紅狼いちやくろう