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第17話

踏み出す一歩
銀は結局、あれ以来
私の話を聞いてはくれなかった。

(紅狼のこと認めてもらいたいけど、
どうしたら……)

部屋の窓辺に頬杖をついて、
ため息をこぼしたとき──。
一夜紅狼
一夜紅狼
憂い顔も美しいな、まりあ
夜風とともに開いた窓の向こうに
現れたのは、会いたくてたまらなかった人。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
紅狼!
思わず声をあげてしまい、
私はすぐに両手で口を覆う。

紅狼は窓に身を乗り出して、
そんな私の頭を引き寄せた。
一夜紅狼
一夜紅狼
会いたかった
宮野 まりあ
宮野 まりあ
わ、私も……!
無事で、本当に……っ
想いがあふれて、言葉がつかえる。

そんな私の頭を紅狼が撫でてくれる。
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあ、今日はお前に話したい
ことがあって来た
宮野 まりあ
宮野 まりあ
話したいこと?
一夜紅狼
一夜紅狼
館に帰ったら、朱里に物凄く
怒られてな。他のオオカミ一族の
みんなにも心配をかけた
宮野 まりあ
宮野 まりあ
うん。私も幼なじみと
教会のみんなをすごく
心配させちゃってた
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあもか。俺たちは、
自分たちの気持ちばかり優先して、
身近にいた仲間や家族をないがしろに
していたのかもしれない
(紅狼……紅狼も同じことを考えてたんだ)
一夜紅狼
一夜紅狼
みんなに認められなければ、
俺たちは向き合わずに逃げた
者たちのことをずっと引きずる
宮野 まりあ
宮野 まりあ
紅狼、私も同じ気持ちだよ。
なにより、私は紅狼からオオカミ一族の
みんなを奪いたくない
一夜紅狼
一夜紅狼
まりあ、俺もだ。
お前が大事に思う家族や幼なじみの
ことも守りたいと思っている
宮野 まりあ
宮野 まりあ
なにも切り捨てない道を探そう。
ふたりで乗り越えよう、紅狼
一夜紅狼
一夜紅狼
ああ、さすがは俺の愛した女だ
私たちは心を決めると、
指を絡めるように両手を握り合って、
口づけを交わす。

(私は紅狼のことも、
紅狼が大事に思うオオカミ一族のことも
大切にしたい。だから……)

(向き合おう、銀とも)

***

翌日──。

真夜中に、私はハンターが外に出払っている
時間を見計らって、紅狼と教会を出た。

目的地は……。
一夜紅狼
一夜紅狼
父上、話があります
オオカミ一族の館だ。
紅狼の父
紅狼の父
話だと? 人間の女を連れて、
なにを話そうと言うのだ
一夜紅狼
一夜紅狼
俺とまりあの仲を認めてほしい
紅狼の父
紅狼の父
またその話か
他のオオカミ一族にも見守られながら、
私たちは紅狼のお父さんに対峙する。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
紅狼のお父さん、私はオオカミ
一族のみなさんのことを人間にも
知ってほしいと思っています
紅狼の父
紅狼の父
人間風情が口を挟むな。
言葉を発することを許した
覚えはない
紅狼のお父さんから放たれる
威圧感に萎縮していると、
紅狼に手を握られる。
一夜紅狼
一夜紅狼
大丈夫だ。話せ、まりあ
宮野 まりあ
宮野 まりあ
紅狼……うん
私は紅狼に勇気をもらって、
再び口を開く。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
オオカミ一族のみんなは
私の看病をしてくれたり、
話してみると気さくで、
仲間思いで……
短い時間だけれど、オオカミ一族の館で
暮らした日々を思い出し、笑みをこぼす。
宮野 まりあ
宮野 まりあ
少し言葉を交わしただけなのに、
大好きになりました。
だから堂々と、オオカミ一族の
みなさんと一緒に生きていきたい
一夜紅狼
一夜紅狼
俺たちが結ばれることで、
人間と人外が手を取り合って
生きていくきっかけになればいいと
思っている
紅狼の父
紅狼の父
紅狼、お前まで……。
人間がなにをしたのか、
忘れたわけではないだろう
一夜紅狼
一夜紅狼
それはお互いさまだ。
まりあは俺たちに命を狙われた
というのに、オオカミ一族を
庇って銃弾を受けた
朱里
朱里
そ、そうです!
あたしをハンターから守って
くれたんです!
(朱里……)
一夜紅狼
一夜紅狼
そういう人間もいると、
父上が認めなければ、
いつまでたってもオオカミ一族は
閉鎖的で、いつか絶滅してしまう
紅狼の父
紅狼の父
だが……妻を殺された憎しみは、
どうしたって消えない