嵐という台風の目は突然やってくるものだった
授業返し前のHRで先生が定番の言葉を吐き捨てる
ドアが開き、1人の男子生徒が教室内に入ってくる
先生は彼の名前を黒板に書いた
【明石直緒】
それが彼の名前のようだった
そう言ってニカッと笑い
口から八重歯がそっと覗いた
笑顔が素敵な感じの人だな
と思いつつも私は
何も言わずにただただ空を仰ぐ
どうせ今日さとみ先輩から
お昼休みお呼び出しがあり
そこまで体力を温存しておく必要がある
転校生まできを使えないのだった
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
席替えの結果
私は窓側の後ろから2番目
隣の席はころん
後ろの唯一の一人席は転校生の明石直緒となった
…嫌な予感がする←
今日ほど担任が嫌いになった日はないニコッ
私はさとみ先輩に昼休みごめんなさいという
連絡を入れておきそのまま長い長い一日が始まった
るぅとに会いたいが、るぅとは別の学校
…ほかの女に垂らされてたらどうしよう
という、ネガティブ思考がぐるぐると回った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!