前の話
一覧へ
次の話

第1話

少女
120
2021/04/10 15:14
私は物心ついた時から病院にずっといた

暗くて静かで

私にとって大好きな場所だった

朝は元気を装いニコニコと笑って生きる

夜は周りの目等気にせずほぼ何もない状態で生きる

そんなことが日常だった
先生
今日の体調はどうだい?
いつものように先生と言う人が私に話かけてくる

いつものように装うだけ

私は口角ににっこりと上げた
少女
大丈夫です。
そうか、と先生が呟く

いつもならこのまま先生は部屋を出ていく

でも今日は違った
先生
君に聞いてもらいたいモノがあるんだよ
そう言うと先生は少し大きなカバンのような物を取り出した
先生
少し大きな音が出るけど落ち着いてね
先生がそのカバンのような物についたつまみを押すと何か流れ始めた

何かわからないが何故か楽しい
先生
どうした?!何か刺激が強すぎたか?!
先生が驚いた様子でこちらを見る

私の目と頬は濡れていた
少女
いえ、先生大丈夫です。
それよりこれは…
初めて私が興味を持ったソレについて私は濡れている原因より知りたかった
先生
あぁ、これは音楽と言ってね。
君は初めてかな。
音楽というその音はとても心地良かった
先生
実はねこれ、君の父親が作った曲なんだよ。
父親という単語に私はハテナの記号しか頭に浮かばなかった

母親ならわかるが父親とか一体なんなんだろうか
少女
先生、父親ってなに?
先生
父親とは、君と母親を守ってくれる大切な家族だよ。
家族という単語にも私は首を傾げた
少女
先生、家族ってなに?
先生
家族とは、君と血の繋がっている大切な仲間みたいな人たちのことだよ。
仲間…



私は先生に初めておねがいをした
少女
先生、もう一度流して、その音楽っていうの。
先生は少しびっくりしたように見えたがすぐにふんわりの笑った
先生
わかったよ、今流すね。
そういうと先生はまたつまみを押した

懐かしいような心地良い音が流れる

私はこの音を聞いてふと思う

これを自分で作れないか

少女
先生、私これを作りたい。
先生は目を丸くした

私がここまで強請るのは初めてだった為先生はとてつもなく驚いていた
先生
ぁ、あぁ。
これを作りたいのか…
会話の間に少し間ができた
先生
ふぅ…いいだろう。
私は何故か溢れてくる感情に胸がはちきれそうだった
先生
ただし、
ただし…?
先生
最後までやり切ってね。
機材を持ってくるよ。
先生が部屋から出ようとする
少女
先生!
こんなに声をあげようと必死になったのは産声をあげた時以来だろうか
少女
ありがとう!
先生はまたやさしく微笑んで部屋を出て行った

プリ小説オーディオドラマ