第20話

紛れる人形
935
2020/06/08 11:13

【トントン目線】


真っ黒な空間。だが自分の姿はハッキリと見える。何処からか、鈍い水の音も聞こえる。

















トントン
トントン
...........








無意識に歩く。足元は真っ暗なのに、水の音や砂を踏みしめる感覚がある。






















ずっと、ずっと真っ直ぐ歩く。
トントン
トントン
あれなんや?





歩き続けていると、遠くの方に誰かが居た。俺は夢中で走った。




するとそこには、























血塗れの俺が、泣いていた。



トントン
トントン
........っ!......


さすがに1歩退いた。だが何か血塗れの俺は、何か言っているようで、耳を済ませてみた。












トントン?
................俺のせいだ。
トントン?
嫌だ。
トントン?
ミタクナイ......
トントン?
マタシンデシマウ............
トントン
トントン
それってどういうこt((





✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -





トントン
トントン
........夢?
汗が頬をつたう。夢は大抵見ていたと言う記憶しかないのに、さっきの夢は鮮明に覚えている。自分の事を憎んでいる口調だった。
トントン
トントン
俺のせいか.......




少し引っかかる所もあるが、所詮夢、いつもの様に二度寝を決めずに、身支度をする。
トントン
トントン
さてと、
トントン
トントン
行きますか










✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -


【ショッピ目線】
ショッピ
ショッピ
ふわぁ....



いつもの朝、季節は春。最近は戦争も暴走も無く、どっかの総統は禁断症状が出そうらしいが、今が続けばいいなと思う。
ショッピ
ショッピ
............書類は昨日終わらせたし、トントンさんに出しに行ってこようかな。



顔を洗い、軽く眠気覚ましにシャワーを浴びる。そして着替えに手をかける。
いつものシャツ、いつものジャケット、そしていつものヘルメット、このヘルメットはコネシマさんが俺と出会って10年記念として俺にくれた物だ。最初は照れくさかったが、馴染んで慣れてしまった。俺くらいの高さがある鏡の前に立って、服を着る。鏡に映るのは、いつもの「俺」
ショッピ
ショッピ
さてと、行こう。



自室のドアノブを回し廊下に出る。
ゾム
ゾム
ばぁ!
ショッピ
ショッピ
あびゃぁああああ!!
廊下に出た瞬間、ダクトから逆さにゾムさんが顔を覗かせて来た。叫んでしまって、恥ずかしい....一方ゾムさんは満足そうに笑っている。
ショッピ
ショッピ
何するんですか!
ゾム
ゾム
ええ反応やなぁ
ゾム
ゾム
......ショッピ君は今から朝飯?
ショッピ
ショッピ
はぁ....そうですけど、
ゾム
ゾム
じゃあ一緒に行こ!
「ペかー」と字幕が出るかのような笑顔で歩き出す。食害が怖いが、まぁ、大丈夫かな..............
ショッピ
ショッピ
待ってください!





✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
【ロボロ目線】
ロボロ
ロボロ
なんでお前がおるねん。
いつもの様に仕事をしようと、監視室に入る、そこには何故か大先生がモニターの前で座っていた。
だがその姿は、何か引っかかるものがあった。
ウツ
ウツ
いや〜、トントンから逃げてきてん、
ロボロ
ロボロ
ふーん....
コイツがクズだと分かり、トントンに言ってやろうと、インカムに手をかざす。
ウツ
ウツ
あっ!ちょっと待って、マジで言わんといて!
ロボロ
ロボロ
.........
ウツ
ウツ
大切な書類無くしてしまって......
ロボロ
ロボロ
それはお前が悪い。
ウツ
ウツ
それ以外はちゃんと出して来たんやけど.....
ウツ
ウツ
いつその書類がないかバレたらと思うと恐ろしくてな
ロボロ
ロボロ
知らんわ
何故コイツは正直に言うことが出来ひんのや、書類無くしたから、もう一枚くれといえばいいものを、何故ここまで隠すんや。そんな事を思いながらもう一回インカムに手をかざす。
ウツ
ウツ
あぁ!ロボロ様ぁぁぁ
ロボロ
ロボロ
..........
ロボロ
ロボロ
じゃあ、ここに書いてある名前のやつのパソコンハックして
ウツ
ウツ
え〜
ロボロ
ロボロ
なんや?ちくられたいんか?
ウツ
ウツ
はいやらせていただきます。
あせりながらパソコンの前に座り作業を始める。俺も監視カメラに異常がないか確認したり、点検をする。


無音の部屋に響くのは、何処かぎこちないキーボードの音。

部屋に入った時の違和感が確信に変わって来た。それと同時に、自分の監視が不十分である事に責める気持ちもあった。
ウツ
ウツ
..............
ロボロ
ロボロ
なぁ、大先生、
ウツ
ウツ
ん?
ロボロ
ロボロ
そこにさ、お前の名前入っとるやろ
ウツ
ウツ
俺の名前?なんでハックされる必要があるん?
ロボロ
ロボロ
大先生、お前の名前やない。
ロボロ
ロボロ
「お前や」
ウツ
ウツ
..............
???
???
なんだ、バレてたんですか、
異様な光景だが、大先生の顔が剥がれ落ち、作りものだった顔の裏に、本当の顔を覗かせる。
???
???
まぁ、邪魔はさせませんけど、
ロボロ
ロボロ
!?
真っ直ぐ拳が飛んでくる。上手く避けたが、そこからすかさず第二激第三激と攻撃してくる。
???
???
なんで分かったんですか?
ロボロ
ロボロ
キーボードの音がいつもより若干遅かったんでね!
くっそ、反撃出来ない。能力で事はみんなに教えたけど、俺だけでコイツを逃がさずに足止め出来るかが心配なんやけど、その瞬間、何かが俺の服を力強く引っ張った。
ロボロ
ロボロ
なんや!
いきなり過ぎて引っ張られた方向に倒れる。チラッと目線を向けると、こんなのがたくさん居た。
こんなの⥣
よく見ると、俺の服と床を縫い付けている。..............これって、
???
???
じゃあそゆうことで
???
???
そいつ短気なので怒らせると肌で縫い付けられますよ?
ロボロ
ロボロ
ッ!待て!
どこかへ、ダクトの中へ入って消えていった。
それに動けないし、能力が何故か使えない……クソ……





早く…誰か来てくれて!










続く

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