【トントン目線】
真っ黒な空間。だが自分の姿はハッキリと見える。何処からか、鈍い水の音も聞こえる。
無意識に歩く。足元は真っ暗なのに、水の音や砂を踏みしめる感覚がある。
ずっと、ずっと真っ直ぐ歩く。
歩き続けていると、遠くの方に誰かが居た。俺は夢中で走った。
するとそこには、
血塗れの俺が、泣いていた。
さすがに1歩退いた。だが何か血塗れの俺は、何か言っているようで、耳を済ませてみた。
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汗が頬をつたう。夢は大抵見ていたと言う記憶しかないのに、さっきの夢は鮮明に覚えている。自分の事を憎んでいる口調だった。
少し引っかかる所もあるが、所詮夢、いつもの様に二度寝を決めずに、身支度をする。
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【ショッピ目線】
いつもの朝、季節は春。最近は戦争も暴走も無く、どっかの総統は禁断症状が出そうらしいが、今が続けばいいなと思う。
顔を洗い、軽く眠気覚ましにシャワーを浴びる。そして着替えに手をかける。
いつものシャツ、いつものジャケット、そしていつものヘルメット、このヘルメットはコネシマさんが俺と出会って10年記念として俺にくれた物だ。最初は照れくさかったが、馴染んで慣れてしまった。俺くらいの高さがある鏡の前に立って、服を着る。鏡に映るのは、いつもの「俺」
自室のドアノブを回し廊下に出る。
廊下に出た瞬間、ダクトから逆さにゾムさんが顔を覗かせて来た。叫んでしまって、恥ずかしい....一方ゾムさんは満足そうに笑っている。
「ペかー」と字幕が出るかのような笑顔で歩き出す。食害が怖いが、まぁ、大丈夫かな..............
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【ロボロ目線】
いつもの様に仕事をしようと、監視室に入る、そこには何故か大先生がモニターの前で座っていた。
だがその姿は、何か引っかかるものがあった。
コイツがクズだと分かり、トントンに言ってやろうと、インカムに手をかざす。
何故コイツは正直に言うことが出来ひんのや、書類無くしたから、もう一枚くれといえばいいものを、何故ここまで隠すんや。そんな事を思いながらもう一回インカムに手をかざす。
あせりながらパソコンの前に座り作業を始める。俺も監視カメラに異常がないか確認したり、点検をする。
無音の部屋に響くのは、何処かぎこちないキーボードの音。
部屋に入った時の違和感が確信に変わって来た。それと同時に、自分の監視が不十分である事に責める気持ちもあった。
異様な光景だが、大先生の顔が剥がれ落ち、作りものだった顔の裏に、本当の顔を覗かせる。
真っ直ぐ拳が飛んでくる。上手く避けたが、そこからすかさず第二激第三激と攻撃してくる。
くっそ、反撃出来ない。能力で事はみんなに教えたけど、俺だけでコイツを逃がさずに足止め出来るかが心配なんやけど、その瞬間、何かが俺の服を力強く引っ張った。
いきなり過ぎて引っ張られた方向に倒れる。チラッと目線を向けると、こんなのがたくさん居た。
こんなの⥣
よく見ると、俺の服と床を縫い付けている。..............これって、
どこかへ、ダクトの中へ入って消えていった。
それに動けないし、能力が何故か使えない……クソ……
早く…誰か来てくれて!
続く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。