第2話

笑顔
1,971
2020/03/02 06:21
???
……お…t…だいj……
ん?この声、ロボロか?身動きが取れん、一体何があったんや?
トントン
トントン
いっ!
体に力を入れると確かに痛みがある。冷静になってしっかりといま掬える情報を確認する。
……多分だけど、瓦礫に潰されたんか?硬いし痛いし、研究所もコンクリートで作られとったし…
何でいきなり……あと眼鏡が無い。
ロボロ
ロボロ
………おい!トントン!無事か?



そんな事を考えていると、ロボロから焦った声で、生死?を確認してきた。
幸いにも感覚的に痛みは無い。
直ぐにロボロに念を送り、生きている事をロボロに知らせる。
「まっててな、すぐ助けるから!」と言ってプツリと能力が切れてしまった。
痛いなぁとしか思えない。だが信じて待とう、きっと来てくれる。
しばらくすると、ブワッと何かが体を包み、瓦礫の重さがパッと消え、直ぐに日の光が差してきた
暗さに慣れてしまった目が、久しぶりに感じる天然の光にチカチカと反射している。
だんだんと光に慣れ、目の靄が、無くなり、自分の事を助けてくれただろう
ゾムの姿がモヤーッと見えてきた。
眼鏡が無いのでよく見えないのだが
多分ニカッと笑いながら、手を差し伸べてきたので、俺はためらう事なくその手を右の手で取った。
ゾム
ゾム
大丈夫かトントン。
トントン
トントン
すまんな、ありがとう


純粋にお礼を言うと、今度は明確にゾムの笑顔が見えた。
ロボロ
ロボロ
トントーン、無事かー!
すると遠くの方からロボロの声が聞こえてきた。
息を切らしながらロボロは何があったのか教えてくれた。
ロボロ
ロボロ
グルッペンのやつが能力を一気に放出し過ぎて建物が粉砕したんやけど、
トントンはそれの下敷きになってしまったというわけや、怒るんやったらグルッペンにおこってな、
あいつの仕業かい!粉砕ってもう眼鏡かけんでも分かる、何も無いやんけ!整地されとるやん!
ホンマ呆れるくらい強い能力で、
ゾム
ゾム
あっ、トントン眼鏡無いやん。
ゾム
ゾム
おーいエミさーん!
今更感があったがそれに気づいたゾムはエーミールを呼んでいた。
よく見えないがエーミールが走って来ているのが分かる。
エーミール
エーミール
どうしたんですかゾムさん。
ゾム
ゾム
これで眼鏡創れる?
エーミール
エーミール
ええもちろんです。………………どうでしょう出来ました!
するとエーミールの笑顔と一緒に何かが差し出された。
そっと触れる。温度、肌触りから慣れた、お気に入りの眼鏡そっくりである。
ありがたくその眼鏡を受け取り、かけた。すると、透き通るようなフワフワな雲が目に映った。
トントン
トントン
エミさん、眼鏡の度もバッチリやん。ありがとう。
エーミール
エーミール
いえ、それほどでも
改めて辺りを見回すと、みんなと、瓦礫、血痕、研究員達の死体などが転がっていた
トントン
トントン
お前らやり過ぎとちゃうか?綺麗にすんの大変やん。
ゾム
ゾム
俺が喰ってやるぞ!
ロボロ
ロボロ
埋めれば?
エーミール
エーミール
物騒ですねw
だが俺が思ったのは、こいつらが本当に犯罪者なのか、と疑うくらい笑顔が眩しかったことだった。










続く

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